第六話「西銀河レッカ〜部隊出動セヨ!」 1998年8月8日午前6時30分 |
無事松代SAにゼンソン号が到着した時、完全にあたりは明るくなっていた。 日の出直後とはいえ真夏の太陽は容赦なく隊員たちの体力を奪っていった。 『カニカニ団』のはホっと一息つく間もなくまたもや喰うのであった。 団長だけが、これからの苦難の道を乗り切って行かねばならないという任務の重大さを噛みしめていた。 「団長!ソバ喰わないの?うまいってよ」の誘惑にも、 「喰うと眠くなるからいいっす」見上げた根性である。 団長は律義な男らしくMaro救出の約束の時間をひどく気にしていた。 もやしくんとは大違いである。 取りあえず懸案のガスを給油しなければならない。 SA内のスタンドでゼンソン号を腹一杯にしてやり乗り込もうとした矢先、副団長がゼンソン号の致命的な故障を発見して叫んだ。 「オイルが洩れているぞ!」 副団長の指さした先を見ると、おびただしい量の不気味な液体がゼンソン号から滴り落ちているではないか。 いいかげん慣れて来てるはずなのにまたもや隊員達の顔に不安の影が拡がっていく。 隊員たちがざわついて居るのを不審がってSAの整備員が近づいて来た。 確かにク〜ラの排水にしては、臭いし黄色の半透明な液体なのはおかしい。 整備員の指示に従いゼンソン号をスタンドの脇に停めボンネットを開ける。 と、すぐさま鼻をつくような揮発類特有の刺激臭が漂った。あれこれ探ってみたのだが液体の正体も特定できず、 もはや『カニカニ団』の力ではどうにもならなかった。 我々は迷わずJAFを呼ぶことにした。 目的地まで300Km・・故障などしている時間はないのだが・・・ 爽かな夏の朝とは裏腹に隊員達は青春座りで途方に暮れていた。 もはや時間どおりの到着はどうみても不可能であった。 7時30分、しょこでい掲示板でも御存知のとおり、カニカニ団水戸支部長のしょこでいから電話で現状を確認されてしまい、 うかつにも笑われてしまった。 まもなくJAFが救出のために来てくれた。 さすがプロ、ゼンソン号に近づきながらつぶやいた 「こりゃ軽油だね」 隊員達の顔から一瞬にして血の気が失せた。 一番ヤバイものが洩れていたのだ。(宇宙シャトルが軽油で飛ぶなよ) これでさっきからヤケに燃料の減りが早かったのもうなずける。 部品の持ち合わせが無いとのことで、その場で近くの修理センタ〜行き決定! それでも団長は食い下がった、 「このまま走ると危険ですか? 」JAF整備員の伊良部は笑って答えた。 「燃料をまき散らしながら走るのはお勧め出来ないねぇ、ガソリンだったら爆発の危険もあったよ」 そこまでハッキリ言われればこっちも黙って震えるしかなかった。 伊良部は手際よくゼンソン号をレッカ〜で固定し、団長はレッカ〜車に、 他の隊員たちは哀れにも動力を失ったゼンソン号に乗り込んで長野市内にある修理センタ〜に向かった。 こんな珍しい体験はめったに無いと感激している隊員をよそにミケくんは複雑な気持ちで唇を噛みしめた。 まさかこのような形で、自分が長野に来るとは思ってもみなかった。 レッカ〜車に牽かれながらいつしか気づくとミケくんは食い入るように長野の街並みを見つめていた。 |