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第十七話「『カニカニ団』、(笛)ロケット発射っっ!!」
1998年8月10日00時00分
海岸沿いの松林の中の駐車場に乗り入れる。
ワサワサと月明かりの中を音もなく林を駆け抜ける『カニカニ団』。
海岸線の松林にはキャンプ場があった。
食事も済み、楽しい語らいの一時を過ごし、さて寝る準備に入ったであろう善良な市民たちがいた。
その脇を通り抜け真っ暗な砂浜に出る。また印象の違った黒くうねる日本海が目前に広がる。
柔らかい満月の光が夏の夜の海に跳ねかえって踊っていた。
昼間来ていたので暗やみでも勝手は知ってる。
『カニカニ団』の他には砂浜には誰もいなかった。(よく考えるとイヤな砂浜だなぁ・・カニカニ団しかいないなんて)
獲物にありついた鮫さながらに『カニカニ団』は花火のビニ〜ル袋を食いちぎった。
笛ロケット発射司令官のMaroが手際よく砂の上にロケット基地を着々と建設していた。
”キュィ〜〜〜ン・・・・パソン”なんの前触れもなく突然至近距離で発射音が響く。
「わっバカっあぶねぇ〜よおめ〜」
各自が勝手に打ち上げているので、危ないったらありゃしない。
しかも静寂を破りまくって超ウルサイ音であった。
「バカヤロ〜、ロケットは手持ちだお!手持ち」
ミケくんがお手本をみせてやるとばかりに火を付けて手に持って発射っっ。
”クィ〜〜〜ン・・・・・プパン”そのうち手持ちが流行りだした。
なにしろロケットは6、7袋は買ってきた。
”コゥィ〜〜〜ン・・・・・”・・アレ?鳴んない・・・よくある夏の夜の不発弾である。
ふと横をみると団長がデッカイ打ち上げを手に持って火を付けていた。
「あっ・・団長〜そりは・・」間に合わなかった。
”ドッグァン”という大音量とともに筒の上からも下からもバズ〜カ状態で火花が飛びだした。
あまりの衝撃と熱さに団長は声も出なかった。
暗くて見分けがつかなかったのであろう、置いて火を付けないとアブナい打ち上げ花火だった。
月明かりの中、海に向かって打ち上げる花火は最高の眺めだった。
ようやく目が暗さに慣れてきて遥か沖合まで見渡せるようになった。
大量の花火もあっと言う間に無くなってきた。
ミケくんがチョ〜シコイてロケットやりまくっていたら、思いっきし火花がK(カニ)シャツに飛んでしまい、皆が
「服が燃えてる燃えてるよミケくん」
「えっ?・・・アッチぃ〜〜っっっっ」
ともちゃん(カニシャツをアイロンプリントして作ってくれた)ごめんなさいKシャツに穴が開いてしまいました。
正味45分ほどであっただろうか、見物客など誰も来なかった(寝てるよフツ〜こんな時間)。
そそくさとゴミをかたずけて(行儀がイイぞっっ『カニカニ団』)キャビンに戻って酒を飲もうということになった。
なにしろたつゆきが地元の仙台のオイシい地酒を持ってきているのだった。
・・・マサカそのオイシい地酒に今も悩まされている者がいようとは、この時は誰ひとり予測出来なかった。


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