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第十九話「嗚呼・・強者たちの夢の跡」
1998年8月10日10時00分
体中のから匂い立つアセトアルデヒドの香りで目が覚めた。
そいえば、たつゆきはひと足早くキャビンを出て行ったんだっけ。
あれは8時頃だっただろうか、叩き起こされて、眠い目をこするとたっちゃんが
「ミケくん、お先に失礼」なんてヤケに寂しいじゃないの。
また一人見捨てリ〜ツア〜in 能登から去って行く・・・すでに珠洲の上には雲一つ無い青空が広がっていた。
遠くにビ−チホテルがクッキリと見える。
4人はゾロゾロと起き始め、団長はシャワ〜を浴びに、Maroと色ツンは、まだ中で話し込んでいた。
ミケくんはぶらりと敷地内のキャンプ場を散歩しようと暢気に服を着た。
キャビンに付いてる広さ10帖ほどの物干し台のような所から2、3段の階段を下りて
周遊道路に出るやいなや強い照り返しに思わず目を細めた。
心地よい風が傍らをすり抜けて行く。
朝食も済んだキャンパ〜たちがのんびりとコ〜ヒ〜を楽しんでいた。
10分ほど園内を散策してキャビンに戻った。
まだMaroと色ツンは、まだ中で話し込んでいた。好きだねぃ
あまりにも天気が良かったので急に陽に焼こうと思い、Kシャツを脱いで物干し台にゴロリと転がった。
サングラスを持って来ればよかったと思いながら視界のすべてに見渡す空は、混じり気なしの真っ青だった。
しばらくすると団長も帰ってきて、みんなで転がった。
そうだっっコメットも日光浴だっっっ!そそくさと団長が室内に安置されていたコメットを持って来る。
手すりの上に載せるとバックの景色と相まって、スゴくカッコイイ!記念撮影だっっ!
ゴロゴロしながら傍らに停めてあるゼンソン号の勇姿が見える。
明るいところで見るとオ〜バ〜ランして芝生地帯にカナリ食い込んでいた。
そのすぐ脇に哀れにも根元から引っこ抜かれたカンバンの丸太が静かに横たわっているのがイヤでも目に入る。
「まぁ・・・・なんだな・・」と言ったきり無言になってミケくんはモクモクと陽に焼いた。
「いいところだおなぁ〜しかし」誰ともなくそう言うと、うなずいて時間だけがゆっくりと流れていった。
そんな風流な状況も団長の腹の虫の泣き声がデカくなり始め、みんなの会話に支障を来すホドになってきた。
「そいや、カニ喰ってねぇ〜な」
ゴソゴソと色ツンがどこかで買ってきた「カニの丸ごと唐揚げおつまみ」を取りだした。
「おおお〜コレコレっっ!」とムサボるように隊員たちは次々に口に運んだ。
だが余計に腹が減ったのであった。傍から見てもかなりブキミな光景だったろう。
我々はSakaが来るのを待っていたのである。Maroがさっき電話したらSakaのおやじが出たらしい。
「昨日の夜、どっかほっつき歩いていたらしくまだ眠りコケてるんですよぉ〜、Maroさん知りませんか?」
と聞かれたMaroは、「ぜんぜん知りません!」とソッコ〜で答えたらしい。
それから2時間ほど経ったので、もう一度電話をかけてみた。
今度はSakaが出た。すぐにこちらに来るらしい。
団長の腹の虫はもはやゼッコ〜チョ〜で喚き散らしていた。
また、ご近所にウルサイとか言われたらどうしよう・・・・。
12時ころ、そうこうしているうちにSakaが現れた、
眠そうである。どこをど〜〜〜う考えても、メシに行こうということになり、
ハラペコ『カニカニ団』はSakaの提案で一路ビ〜チに向かおうということになった。
しかしロッジを出るときの精算では10時チェックアウトということなので・・3000円ほどペナルティをとられた。
海の家に着くとすこしでも居心地のイイ席をもとめて、ガマワワに皿やコップ持って海の方へ次々とテ〜ブルを
移っていく『カニカニ団』。それはまるで歩く出世魚のようであった。
店のオネ〜さんに矢継ぎ早に注文が飛ぶ。
真昼ということもあって浜辺は大勢の観光客で賑わっていた。
とは言ってもよほど穴場なのだろうか、いい感じの込み具合に思えるから不思議だった。
昨日にも増して海は青く輝いていた。
昨晩俺達が花火を打ち上げた所あたりで無邪気に子供たちが走り回っていた。
きのうはあんなふうに子供だったんだね・・・
無精髭の5人は黙って海を眺めていた。


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