第三話「味方を騙すには、まず敵から・・・そりがカニカニ団」 1999年8月6日24:30 日本 新宿 |
乱暴に体を揺すられて目が覚めた、あつこはすでに網棚から荷物を降ろしていた。 寝ぼけ眼のまま立ち上がると、ミケくんはよだれを無造作に拭って、そそくさと降りる支度をした。 電車はとっくに新宿駅に到着しており、お盆真っ盛りの休日前ということもあってか 真夜中だというのにプラットホ〜ムは大勢の人でに賑わっていた。 大きな荷物を両腕にもって人込みをかき分けて二人は、headsとの待ち合わせ場所であるMy Cityへと急いだ。 あれ?待ち合わせはアルタ前零時丁度なのでは?と思ったアナタっっっシルドいです。 確かに前日までの待ち合わせはその通りだった、しかし先ほどの電話での会話で ゼンソン号でくる団長とは駐車の点でフル〜ツパ〜ラ〜高野の前がよかろうと、 headsちゃんとは電話で遅れると告げた折りに、アルタに行く途中で遭遇することを考えてお互いに見つけやすい My Cityの出口付近に変更したのだった。 第一アルタ前は混雑しており待ち合わせには不適格だと思ったからだ。 (誰がアルタ前にしようと言い出したのかは、この時には忘れていた) つまり、まことに言いにくいのだが、不運にも場所も時間も変更されてしまったワケで。 MBXの待ち合わせ自体、まったくこの世に存在しない「魔待ち合わせ」になっていたのだ。 お剃るべしっっっカニカニ団、まさに「味方を騙すには、まず敵から」という格言を思い出さずにはいられなかった。 ミケくんとあつこが新宿の地上に出た時には、すでに零時40分近かった、 零時丁度と教えられたMBXの足は 棒度81(片足40.5)をかるく上回っていたであろう。 My Cityの出口付近にはheadsは発見できなかった。 ミケくんとあつこがしばし付近を探していると、向こうから手持ちぶさたであるいてくるheadsを見つけた。 正面ではなく横で待っていたようである。 「headsちゃん、久しぶり」 と駆け寄るあつことは違い、ミケくんはカニカニ団独特の儀式を始めたのだった。 headsもそれは心得ていた。 所謂「出会いは無視の儀式」である。 最初に視認したときはもとより、至近距離まで近づいても相手と決して目を合わせてはいけないのだ。 お互いにぶつかり合い、足が縺れ目玉が抉れるくらいに鬩ぎあって初めて、 「あ・・・headsちゃんシサシブシ」 「ありゃ!コラさんじゃないの」なのがカニカニ流の挨拶なのだ。 まわりに大笑いの人だかりができても怯んではいけない、こりがカニカニ団の普通の挨拶なのだ。 団長はまだ到着してはいなかった。 道の向こうに高野が見えるがゼンソン号らしき車の姿はドコにもなかった。 「団長、来てないおねぇ」とミケくんが、とりあえず聞いた。 そのとき顔を見合わせた三人はほぼ同時にアル人物の顔を思い浮かべたっっ!おおっっ! 長髪で伝説的な男の事が脳裏を掠めたのだった。 いきおいheads が叫んだっっ 「今のシト、スティ〜ブ・ジョブズににていなかった?」 [本当だっっ!変な金魚鉢型のノ〜ト持ってる〜〜」 三人は、ノロノロと歩きながら 「おお!経営学修士号っっっっ」 「そりは、MBAでしょ〜〜〜がっっっっ」 などと悪乗りが始まりMMR, MMC, MTR, B.B.King ・・・と果てしなく続き、アルタへの道を阻んでいたのだった。 (ちなみに一番近かったのがBMX, 一番遠かったのがPhotoShop5.5Jだった 編集部調べ) すでに、うだるような蒸し暑さの中、売人MBXの足の棒度は98(片足49)を越えようとしていた。 |