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第四話「愛と悲しみの青春と哀愁と恋のMBX物語(出発時編)」
1999年8月7日00:45 日本 新宿
一行はいつまでもふざけていて少しもアルタ前に到着しない、
無警戒にだらだらと、アルタ前を練り歩いただけだったので、当然MBXは発見できなかった。
午前一時近くだというのに新宿東口は多くの若者であふれかえっていた。
とりあえず、マイシティ横であつこに荷物の番をさせると同時に団長とゼンソン号を探す役目にした。
ミケくんとheadsは、それぞれ逆周りに東口界隈を一周してMBXを捕捉する作戦だった。
なぜならば、すでに待つことに痺れを切らして危険な野獣と化して辺りを徘徊している可能性が高かった。
すでにあちこちで道を聞かれたりミケくんたちの写真を見せられてる無実の犠牲者が出ていても
おかしくないのだっっっ!二人は先を急いだっっ
「headsちゃんはあっちから、おではこっちから」
その場に居合せないとワケのワカらん打ち合わせを手短に終えるやいなや二人は飛び出した。
喧騒の中人込みをクロ〜ル状態でかき分けながらミケくんは進んだ。
そこかしこに気の滅入るような湿気を含んだ大都会の憂鬱が息を殺して漂っていた。
遠く人込みを透かしてheadsが走っているのが見えた。
ミケくんも足早に人込みをくぐり抜け、”魔待ち合わせ場所”のアルタ前に辿り着いた。
数人の若者が気だるそうに地面に座り込んだまま、無気力な眼差しでこちらをボーっと眺めていた。
居ない・・・どこにもMBXの姿は無かった。向こうから息を切らせてheaadsがやって来た。
「いたか?」先にミケくんが口を開いた。
即座にheadsが答える
「どこにもっっ」
二人の顔に形ばかりの不安が拡がっていった。
危険だっっあまりにも危険過ぎるぅ
「よし、ではもう一周回るか・・・」
とミケくんが言いかけて、ふとアルタの方面を振り返るとドコかで見たような、
夏休みということで田舎のお婆ちゃん家に遊びに来たのはイイけれど、空気に馴染めず地元の盆踊りの輪に入るタイミングを失い、
夜店で時代遅れのお面を買ってしまったが、どうしたモンかと悩んでいるような
なにやら操り人形然とした表情の男が車道側のガードレールに寄り掛かって、一心不乱に怪しげな書物に目を落としていた。
まるで何かに取り憑かれたようなその姿は、自然に周りに人を寄せ付けないナゾのバミュ〜ダ真空エリアを形成していた。
街の景色に溶け込んでいるとゆーよりも、それはより具体的に道路や看板にリアルに溶け込んでいる感じであった。
周りにせせこましく行き交う人々にはにはこの男が、後に云うMBXだとは誰も知らなかった。
だからとゆって、呼び止めてコイツがMBXだよ、と教えてやるのもかなり迷惑な話ではアルのだが・・・
ミケくんたちは、しばらく様子を見ようかとも思ったのだが、さしがに出発時刻が差し迫ってるとのこともアルので
ありもしない額の汗をぬぐうと足早に男に歩み寄り息を殊更荒げたて言った。
「いやぁーやっと見つけた。はぁはぁ」
とミケくんとheadsは何気に心臓バクバクだが不幸にも皮膚呼吸が出来ない犬のように自らを演出した。
面食らったMBXは
「あ・・こんばんわ、」簡単な挨拶とその表情には驚きとも落胆ともいえない何かが醸し出されていた。
「遅くなってすまんでしー、国家の安全がかかってたモンで」ミケくんは、早くも善良なMBXをケムに巻こうとしていた。
一時間近く待たされたというのにMBXの表情には特に変化もなく、そう聞かされてもむしろ淡々としていた。
ミケくんは、即座に仲間を売って話を逸らした。
「団長のヤローまだ来ねぇーんだお、シャレになんねぇ〜つ〜の」
MBXに先をうながしながら、待ち合わせの方角を指さした。
「団長も遅れるっていってましたよね」headsの言葉にミケくんは目を剥いて唸った。
「”団長も”ぢゃねぃ、(<●> <●>;)”団長が”、だ!とにかく行くべぇ早く」
傍からみてると、ワケのワカらぬままCIAに両脇を押さえられた宇宙人のようにMBXは夜霧の向こうに拉致されていった。


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