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第九話「夜明けのレボリュ〜ション(ありそでなさそな意味不明の邦楽のタイトルみたい)」
1999年8月7日03:00 日本 関越自動車道高坂
依然として前方視界不良今夜はバリバリだぜっっ!のなかを亀のように進む
ダルな雰囲気の中でミケくんは少しでも距離を稼ごうとしていた。
団長には次の運転を受け持ってもらうので、出来るだけ睡眠をとった方がよいとアドヴァイスが飛ぶ。
静かになったと思うと、隣で身じろぎしている団長の姿があった。
「何か眠れないんですよねぇ、落ち着かなくて」
それを聞いたミケくんの眉がピクリとつり上がった。
「テメっっっおでの運転がそんなに信用ないんかぁ?お?」
とミケくんは言おうとするのを察したように
「そういう意味じゃなくてですよぉ、いやだなぁ〜ミケくん」
笑いながら慌ててそう言い添える団長の目だけは、そういう意味で言ってる時の目だった。
団長があまり何度も繰り返すので、ミケくんは助手席側をガ〜ドレ〜ルにぶつけてやろうかと思った。
通り雨は一向にやむ気配はなく、むしろ雨脚は強くなってきた。
「うわ、マジでヤバっっ」
さすがに通り雨っぽかったので、どこか付近のS.A.でやり過ごしたらどうだろうという話になり
ゼンソン号は最寄りの高坂S.A.に這う這うの呈でスベり込んだ。
同じように考えた人たちで、いつになくS.A.は休憩する車の数が多かった。
「緊急避難だ、駐車場とかから歩いて売店まで行くの嫌だ〜ら、ココに止めるぞぉ」
ミケくんはガマワワにも売店にいちばん近い通路にゼンソン号を寄せると大雨の中さっさと売店に走っていった。
あとを追うように悲鳴を上げながら売店の建物に走ってくる団員たち。
『気まぐれな夏のスコ〜ル早起き版』風情であった。
遠く霞む山々の稜線には、まだ日の出の気配はない。
団員だちは夜明け前の熱いコ〜ヒ〜を啜り疲れを癒していた。
公衆電話に目を留めたミケくんは、Hirokoに連絡をすると約束していた事を思い出した。(こんな朝方に思い出すなよ)
Hirokoは明日土曜日に別の日帰り旅行に出かけるので、最初からはこの能登OFFには参加できないのだった。
日曜日の正午に珠洲の鉢が崎海岸で待ちあわせという、インド的な極く緩い待ち合わせをしていたのだった。
それ故、カニカニ団が宿泊している旅館の電話番号を唯一の連絡先として、Hirokoは知りたかったのだ。
雨のなかダッシュでボックスに入ると、Hirokoの番号を押した。2,3回のコ〜ルでHirokoが出た。
「はいはい、もしもし」Hirokoの声だった。
「ごめん、寝てた?」とミケくんは時計を見た。(かける前に見ろっっつ〜の)
「はい、だいじょうぶ」Hirokoはさすがに眠そうな声だった。
「あのさ、旅館の番号なんだケドさぁ」
遮るようにHirokoがツブやく
「もう、知ってる教えてもらったから、いい」
ガビ〜ン(<●> <●>;)この瞬間ミケくんは、単なる迷惑スト〜カ〜野郎状態になってしまったのだ。
「そなんだ・・・ぐみんに、ぐみんに、こんな朝方に」もうこれ自体スゴいコメントなのだが
「うん、いいよいいよ、大丈夫だから」Hirokoはやさしく気づかっていった。
ミケくんはとりあえず、懸案事項はクリアできたので一安心だった。
「雨の中疲れたでしょう。代わりますよ運転。どうせ眠れないから・・・」団長が鍵をよこせと手を差し伸べる
ミケくんもなんか疲れちゃったので、ここでちょっと団長に運転替わってもらう事にした。
すでに団員たちはゼンソン号に乗車して、待ちくたびれていた。雨はかなり小降りになっていた。
ミケくんが、助手席に乗り込むやいなやゼンソン号は団長の操縦で再び関越の大海原へと出帆していった。
真夏の早い黎明を待つばかりのカニカニ団にとって前途多難な旅立ちであった。


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