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第十八話「Yayoiって誰?誰?」
1999年8月7日09:00 日本 新湊
赤子にさえも手をヒネられるようにして、東へ西へと彷徨うカニカニ団。
疲労の極致に達したのか、論理的な考えもまとまらず、ただ撞球の玉のように新湊界隈を走り回った。
何度となく同じ交差点を横切り、同じ店の前を通り、同じ風に吹かれた。
気はアセるばかりで、ただ能登半島の根元を這いずり回っているだけで、一向に石川県に入れなかった。
「海の方へ向かうんだぁー!海に出れば間違いないっっっ」ミケくんが叫ぶ。
おしいトコまでは行くのだが、すぐにまた、見当違いの方向に行ってしまう。
その時に、団長の携帯が鳴った。どー考えてもMaroからだった。救いの神かもしれない・・・
Maroよっっ!よくそ我らのピンチがワカったねぇ?? などと勝手なコトを云ってはわめいていた。
ちょうど、見通しの良い直線路でまわりは水田が広がっていた。
そこかしこに用水路と思われる小川が流れており、あちこちに、小さな橋が架かっていた。
ミケくんが団長から携帯を受け取ると、すぐさま聞きなれた声が聞こえてきた。
案の定電話の主はMaroだった。「ハイっっっカニカニ団の団長ですぅうう。Maroすゎんお電気ですかぁ?」
まだこの期に及んでも浮かれているミケくんはおもむろに似てないモノマネに入っていた。
隣で、「自分で団長です、なんて云いませんよぉ。それじゃ〜バカじゃないですかぁ」と本物の団長が喚いている。
Maroは笑って、「うぃうぃ♪どもども、団長元気ぃ?(わら」
「団長元気ですぅ〜、ポリタンの面倒みてるですぅ」チョ〜シに乗るミケくん
不愉快そうに「そんな言い方してますかぁ〜?」と団長
「もうYayoiちゃん来てスタンバってるゾ」唐突にMaroが云う。
「え?マジでYayoiちゃん来てんの〜?」ミケくんが笑っった。
「ええ?Yayoiさん、きてるんですか?」headsが聞き逃さなかった。
「Yayoiって誰?誰?」すかさず探りをいれるあつこであった。
「トコロで今ドコ走っとんねん?なにやっとんねん?団長」イキナシ聞かれたくない質問が鬼のように飛び出す。
「今、新湊あたりで順調に道に迷ってますぅ〜ヽ(^。^)ノ」ミケくんがまだマネを続ける。
「ははは、道わかる〜?今どこらへん?看板とか何が見える?」Maroが道案内を申し出る。
「えっと、キトキトはクリアしたんだが・・・・今、変な川渡りました」素に戻るミケくん
「その変な川って、デカい川?」すかさずMaroが聞いてくる。
「用水路みたいなヤツ・・・・」電話の向こうでMaroが倒れる音が聞こえた。
「それじゃワカらんよぉ〜(^_^;)ゞ用水路じゃ、なんかないの?目立つ建物とか」
「えっと、何かないか?ここら辺に?」後ろを振り返って団員たちに聞くミケくん
団長は後続車がないのを確認して徐行運転をしていた。
時折ゼンソン号の傍らを車が通り越してゆく。
「んじゃ、何号線とかわかる?今走ってる道が」しびれを切らせてMaroは質問を変えてきた。
その質問にはすぐに答えられた。先程から道路標識は嫌というほど見てたからだった。
「24号線だお」
「んじゃ、たぶんもうすぐ十字路に出るから、415号線に入る」やけに簡単なアドヴァイスだった。
「了解・・・じゃ〜待ってろよ〜」と云うなりheadsに電話を回す。
「おお〜Maroさんですかぁ、久しぶりっすねぇ、元気っすか?」さっそくやり取りが始まる。
「んじゃ、この道まっすぐな、団長」ミケくんが煙草に火を付けながら団長に話しかける。
「大丈夫ですかねぇ〜(^_^;)ゞ?本当にそれだけで」団長がウインカ〜を出しながら言った。
「なんとかなるべぇ〜!前回よりゃ〜イイだろ、わはは」
「優秀ですね、今回は」団長が笑ってアクセルを踏み込んだ。


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