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第二十二話「フィッシャーマンズは燃えているかい?」
1999年8月7日10:30 日本 七尾其の弐
Maroと代わる代わる握手をしてる団員たち、相変わらずデカいなぁのMaroであった。
「あれ?Yayoiさんは?」目ざとくheadsが気づいてキョロキョロとあたりを見回してる。
「ん?ドッカいったみたいayoiちゃん。さっきまでいたんやケド」何気にMaroがのたまった。
初めて会った団員はこれがうわさのMaroかと感慨も一入のようでジロジロと見回していたのであった。
それにしても今日の七尾は雲一つない絶好の快晴だった。
強烈な太陽のエネルギーによって作り出された熱気がフィッシャ〜マンズワ〜フの向こうに蜃気楼となってゆらゆらと海風に煽られていた。
ミケくんはドコかに後のライバルとなる男、Yayoiの姿を探していた。
しかしYayoiの姿形はおろか、声すら聞いたコトがないのだ。
すぐそばを歩いていたとしても、向こうはわかるが、ミケくんは全然気づかないという不利な状況だった。
いったいどんなヤツなんだろー??想像は激しくも燃え上がったのであった。
和やかに談笑するうちにも、獰猛なYayoiが物陰から襲い掛かってくるカモしれないのだ。
あまりにも危険だった。
巨大なフィッシャ〜マンズワ〜フは七尾港の中心地らしく、大勢家族連れやカップルたちの観光客で賑わっていた。
真昼に差しかかろうとする日差しは優に35度を越えていた。
「メチャクチャ暑いんで早く中に入りましょう」
やけに冷静に状況をノベるMBXはかなり暑さで参っているように見えた。
どこか妙に懐かしく、ついこの間訪れたばかりのような錯覚を覚えた。
大柄なコンクリート生打ちの武骨な建物で、どこかヒンヤリとしたフィッシャ〜マンズワ〜フ屋内だが、
ちょうど昼食時ということもあってか、一歩足を踏み入れると異様なまでに熱気があり、レストランはどこも満員だった。
はるばる長旅を続けて来たカニカニ団の団員にとって天国のように映っただろう。
買い物客でごったがえす屋内を練り歩くカニカニ団。
色とりどりのお土産ものに目を奪われながらウロついていた。
その頃Yayoiはスルスルと音もなく手すりの陰に降り立ち、秋葉カニカニ団の一行を厳しい表情で見つめていた。
陳列台に鏤められた宝石のような土産物を縫うようにしてMaroを先頭にフィッシャーマンズ内部に侵攻していくカニカニ団
前回ココを訪れたのは、陽も落ち夕暮れに迷うようなボロ雑巾状熊でようやくたどり着いたものだった。
あの時は二階のイカしたカフェに行ったんだった・・・窓が紫色になっていた事をつい昨日の事のように思い出した。
気づくと早くも団長が中学校用の土産物を物色し始めていた。一度足を止めてしまったら最後、
あっという間にカニカニ団は、ワラワラと商品に集り吟味しし始めた唯の観光客と化してしまった。
すでにYayoiの事はどっかにブッッ飛んでいたのだった。
顔すら忘れてしまっていた(最初から知らねぇーつーの)
そんな物見遊山気分のフイイキの中にもミケくんは緊張感を隠せなかった。
「土産物は帰りに買った方がいいですね、お腹空いてないんですかミナサン?」団長の過酷な命令が翔んだ。
不承不承土産物を手放し、今度は2Fのレストラン街を目指すカニカニ団、
ミケくんは何気にトイレに行くとぶっきらぼうに言い残し、隊列を離れた。
「じゃー二階にいるけん」Maroの巨体がカニカニ団を引き連れて階段をゆっくり上っていく。
そしてミケくんはトイレに行くふりをして、物陰に隠れて混雑するフィッシャーマンズの様子を窺った。


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