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第二十九話「珠洲は総天然色」
1999年8月7日14:30 日本 珠洲
思い出した、一年前の記憶が総天然色で蘇ってくる。
「そうだ・・・・ココだったわ」団長が口をついてセリフが出てくる。
前回行った組にとっては、特に思いで深い街であったからだ。
なんか、次々といろいろな思い出が脳裏をかすめた。
「そゆやそんなコトもあったけ」意味もなく口をついて出てきた。
この街で本当にあったコト、無かったコト、まぜこぜになって出てきた。
最果ての街、珠洲が彼らを今迎えようとしていた。
一行はSakaの待つ珠洲蛸島駅を目指した。
なぜか去年迷いに迷ってココの地理を覚えたんだっけ。
不思議と街の道路はすべて頭に入ってるような錯覚を覚えた。
去年ここでSakaと別れたのだった。
「ついにいよいよココまで来たんだねぃ」ミケくんは思わず団長に話しかけた。
「そうですね、いよいよ珠洲に来たんですね」団長が言葉に詰まる。
珠洲市内にはいると、次第に脇に流れる電柱にもサカスタヂオの看板が目に付くようになってきた。
その時、数台信号待ちしている道路前方にカメラを構えたたヒゲをはやした細面の男が目に入った。
すぐに誰だかはわかったのだが、まさかこんなところで出迎えを受けるとは予想をしていなかった。
「あれっっっ、Sakaさんじゃないですか?」ハンドルを握りながら団長が小声でいった。
目を凝らしてみると、50mほど前方で盛んにシャッタ〜切りまくっている不審な男はどう見てもあのSaka兄ィだった。
「うっっわぁ懐かしいな、Sakaさんだ」感情的に団長が叫ぶと、後ろの席から身を乗り出して探してる団員
「おおっっっ、Sakaさんだっっっ」headsが目を凝らして見ていた。
その声にMBXやあつこもその男を見つめていた。
「パンダじゃないんだーら、兄ィーは」
「よっしゃーとりあえず気づかない振りしよ〜ぜ、兄ィの狙いをハズすんだっっ!うははは」うれしそうにミケくんが叫ぶ。
「あれ本物の兄ィーカナ・・・本物かどうかちょっと轢いてみて団長」
「わはは、悪いなあ〜〜ミケくん」団長が笑っていった。
歓迎の挨拶でパフォ〜マンスをしてくれているSakaにたいしてこの発言、ひどい話であった。
なんとこの団体は捻くれているのだろうか。
はるばるやっと会えた嬉しさをこう表現するしか無いのであった。
まさに「味方を欺くにはまず敵から」の発想であった。
Sakaは数枚カメラに収めると、前の車から挨拶をしながら側道を、ちょうど差しかかったゼンソン号の窓の所にやって来た。
宝塚じゃないんだーら・・・・相変わらずのスター性と愛嬌であった。
「いよぉーいよぉー久しぶりだねぇ。よく来たねぇー」まぎれもなく、それはカン高いSakaの声だった。
窓越しにガッチリ握手して、再会を確かめあった。
徐行しながらある者は久しぶりと、ある者は初めましてと、手短に挨拶を交わした。
Sakaは、後を追うのでとりあえず先に珠洲蛸島駅に行ってて欲しいといった。 しかし、なんと懐かしい町並みなんだろう、前回訪れたのが一年前だなんてウソのように思えた。
「いやぁー懐かしいなぁしかし・・・・」団長が呟いた。
あの家もこの自動販売機も見覚えがある。
そこらを歩いてる見知らぬオッサンまでも顔なじみのような気がした。
ほどなくして一行は思い出深い珠洲蛸島の駅舎に到着した。
小さなロータリーに4台が次々と滑り込んでエンジンを止めると、茜色の静寂が押し寄せてきた。
それは、奇しくも去年とは一日遅れだが、同じく快晴の同じ時間だった。


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