第三十話「焼き肉松玖(マック)出現」 1999年8月7日15:00 日本 珠洲其の弐 |
Sakaの到着を待って、駅構内にズカズカと入っていくカニカニ団。まるで駅の主のような振る舞いであった。 ヒナゲシも特急能登恋路号も去年のまま、まるで彼らを待っていてくれたかのように、そこにあった。 前回同様、善良そうな一般市民を捕まえては口八丁手八丁でにわかカメラマンに仕立て上げ、記念撮影をした。 「さぁー海だ海だぁ」やっと念願の鉢ケ崎海岸(ヘミングウェイ海岸)に行けると思ったheadsが子供のように嬉しそうだった。 しかしSakaの言葉がそれにかぶさった。 「とりあえず、見せたいトコがあるんだよ。今夜のディナーの店を紹介するよ」 ディナーと聞けば綴りは違っても世界中どこのカニカニ団にとって非常に弱いものがあるのだ。 「メチャメチャにウマいもの食わせるんだよね、とりあえず匂いだけでも嗅ぎに行こう」 噂はかねがね聞いていたので例によって一同の目つきが途端に険しくなった。 駅構内は一瞬にして総勢12匹の獣と化し、無言でダッシュで車に乗り込むと跳ね馬のように駅を後にした。 そのSakaお勧めの店は知り合いの能登牛専門の焼き肉屋で、SakaがMacに引きずり込んだ二人目の犠牲者が主だった。 その名もなんと「焼き肉松玖(マック)」というどこをどう考えても豪快な名前だった。 それは、ここ珠洲蛸島駅から一駅戻った能登鉄道の駅の近くにあった。5台になった車に分乗し引き返すような形で カニカニ団は焼き肉松玖に向かった。とはいっても一駅なので、店まではものの3分程度しかかからなかった。 Sakaのランチアを先頭に本当に猫の額ほどの敷地と、ひっそりとした駅を隠すようにして焼き肉松玖は彼らを待っていた。 なんでも、炭火を使うので早くから火をおこして準備をしていたという。 見捨てられたように人気のない木造駅に横付けして、勢いで駅構内になだれ込む、カニカニ団独特の儀式だった。 SakaとMaroは今夜の宴会の段取りをしに、少し離れた店内に入っていった。 はやる気持ちを抑えつつ、待合室をすり抜けてホ−ムに飛び出すと、そこにはまさに夢に出てきた懐かしい風景だった。 どこまでも続く線路、短い夏を迎えた能登の緑が夕日に輝いていた。 各自早速自慢のデジカメを構えて、その風情バリバリの駅舎をカメラに収めていた。 騒ぎ声にミケくんが振り向くとheadsはなんとホ−ムから飛び降りて単線の線路に横たわり、ギャグをカマしていた。 「あちちい、ヤベ〜焼けてるよ〜この線路、団長っっっ早くっっ早く撮ってアチい〜」 起き上がったheadsのウナジはハッキリと線路状に赤く腫れ上がっていた。 体を張ったギャグに一同敬礼っっっっ!(*^¬^*)/あぃあぃ 焼き肉松玖の店内にカニカニ団がドカドカと入ると店の主人が開店のために忙しく準備を進めていた。 「紹介するよ、この人が能登牛専門の焼き肉屋のご主人でMac User♪、で店の名前も焼き肉松玖」 「をを〜〜っっ!!」話には聞いていたので団員たちから歓声があがる。 「そうだっっ、ともさんのカレ〜冷やしておいてもらおう」団長がスグにゼンソン号に戻って取ってきた。 能登遠征にあたって、同行できないともちゃんは自慢のお手製カレーを秋葉カニカニ団に持たせたのだ。 ともちゃんのカレ〜は泳ぎに行ってる間に預かっててもらうことにした。 「激マカ〜のSaka兄ィに出会ったのが運の尽き」そんな声も聞こえてきそうだった(実際聞こえてきた) では後ほどヨロシクぅ〜ということで、一行は懸案のビ〜チに向かうことにした。 5台では多いので、ここで一台駅に置いて行くことにし、4台に分乗して再び金色に輝くヘミングウェイ海岸に向かった。 海岸通りに出るころには日も傾き、心持ち風が強くなっていた。 |