第三十伍話「紹介しますっっ!これがマダムキラ〜でエアロビインストラクタ〜の東くん」 1999年8月7日18:30 日本 珠洲 「焼き肉Mac」其の弐 |
飢えた鮫のような渣猛な視線が能登牛の乗った皿に注がれていた。 ここですかさず記念撮影が始まるのだが、皆険しい顔つきでカメラに収まっていることだろう。 カルビだハツだタンだノ〜ミソだと、能登牛のあらゆるブブンが注文されていたと思う・・・ (うなじ、ツムジ等マイナ〜なブブンは見逃していたかもしれないが) 一説には注文が早すぎて誰も何を頼んだのか把握していなかったというのが真実かもしれない。 とにかく、来たものを残らず平らげるだけといういつもの掟に従うだけだった。 もちろん、カニカニ団の通った跡にはペンペン草も生えないと云われるくらい強力な今回の布陣だった。 かねがね能登牛のメチャウマ伝説の噂は来る前からSakaに聞いていて、今夏の能登遠征の最大のタ〜ゲットのひとつだった。 なにしろミケくんのBBSでは(特に大食漢のMaroから)能登牛を守る会まで出来ていたのである。 ようやく我々の胃袋に保護することができるのだ。こんなに目出度いことはない。 色合い鮮やかな適度に脂ののったカルビにタン塩にと橋を延ばすカニカニ団。 なんて美味しいんだろ・・・・一同最初の一口のあと一瞬絶句であった。 香りが上品で、しつこくなく、しっかりとしたボリュ〜ム感があった。やはり厳寒の奥能登で鍛えられた牛は違っていた。 ビ〜ルにメチャクチャ合うじゃないすか、ゴクゴク流し込みながらパクパク。付け合わせの野菜に手を伸ばす者は皆無だった。 滴るカルビの脂が七輪の炭にパチパチとはじける音だけが、小さな座敷に聞こえていた。 猫も気づかず素通り状態であった。 興が進むうちに、なぜだか知らず知らずのうちにお互い隣のテ〜ブルとはライバル意識が生まれてくる。 向こうがタン塩を注文すれば、こっちは海鮮、こっちがロ〜スを注文すれば、向こうはロ〜スといった具合に 相手の出方を窺い、ほぼ同時に注文が當ぶのであった。 皆黙々と鬼のように食べていた、 50cmほど離して直列にテ〜ブルは並んでいたので、Yayoiがその間に座ってあっちに箸をのばしこっちに箸をのばしと、 高速に回転していたので、その姿は微かにインタ〜レ〜スがかかっていた。ウェブサイトかっっ!?おまいは状態であった。 ししかし、Yayoiには重要な役割を担っていたのである。それは2つのテ〜ブルの食品栄養バランスであった。 さすが『ヤクザ石』、肉、魚介類、野菜の黄金トライアングルのカロリ〜や成分等を括滾に把握しており。 栄養がまんべんなく皆に行き渡るように微妙な注文を飛ばしては、網の交換の手配や焼き加減、および焼き過ぎ注意の警告、 果ては空いた皿の整理までを自らの職務としていたのであった。 たんなる焼き肉奉行とも云うが・・・・ 「これでも能登牛の安い方なんだよぉ」Sakaが満面の笑みをたたえてノベる。 なんでも高い方は霜降り状態がすごくて、激ウマなのだが焼き肉には不向きなのだそうだ。 アルコ〜ルも一杯が二杯になりいつしか空いた皿もテ〜ブルにたまり始め、皆のおなかの具合も落ち着いてきた。 カニカニ団はこれでようやくまともな普通の夕食を食べる人になったわけだ。 今までのは、たんに緊急避難の状態なのであって、実はこれからが、本当のディナ〜なのだった。 さらに追加注文ゃ飛ばしまくり口も軽くなり始めヨタ噺に花が咲きだした。 その時、店内に入ってきた客らしき人の気配があった。丁度店内を見渡せる位置に座っていたSakaが手を挙げて叫んだ。 「おう〜〜っ、遅い遅い〜、もう皆盛り上がってるぞ〜(^。^)ノ 」 ひとり仕事の都合で遅れて参加すると聞いていたので、いったいどんなヤツが現れるのか興味津々であった。 息せききって座敷に入ってきたキリっとした眉目秀麗な青年に酔っ払いカニカニ団の目が集中した。 「久しぶり〜ぃ♪」奥に座っていた知りあいらしいMaroも手を上げて、その青年に挨拶していた。 青年はペコリと挨拶をすると気さくな笑みを見せた。 「始めまして〜」 すぐさまSakaが言葉を引き継いだ。 「紹介しますっっ!これがマダムキラ〜で僕が通ってるフィットネスクラブのエアロビインストラクタ〜でMac Userの東くん」 またひとり超マカ〜Sakaの犠牲者の生き証人の登場であった。 |