第三十八話「でたっっっっっ!!、こ・・こりが狼煙館なのね(゚〇゚;)はぅっっ」 1999年8月7日23:00 日本 珠洲 狼煙館其の弐 |
彼らが曲がったのは道ではなかった。 海岸道路より少し引っ込んだ所に建ってる狼煙館は前庭を駐車場に利用しているのだった。 いかにも旅館という佇まいを見せており、名前から勝手にとんでもないモノを想像していた面々にとっては普通な印象を受けた。 木造二階建ての狼煙館は古くからあるここら辺の老舗旅館だそうだ。 造りはゆったりと広いし、目の前は大海原だし、格安であるしほぼ望み通りの宿だった。 なにしろ廃屋満タン荘にまた泊まりたかったくらいなのだから・・・・(床が抜けて今年は泊まれなかった:編集部注) 「なんだ・・・もっとコキタないんかと思ってたわ」車を降りながら、うそぶくミケくん 「おお!なんかマトモだわな〜意外と、こりゃ〜結構いいよねぇ風情もあるし」Sakaも少し驚いた表情だった。 いきなり旅行前日に頼まれて、ちゃんとク〜ラ〜付の旅館を探してくれたSakaには感謝に堪えないものがある。 カニカニ団のようなワケワカな集団が宿泊するには持って来いの名称をいい、趣きといい、そして宿泊料金だった。 全員車から降りて手荷物をトランクから出し始めた。Sakaは到着を知らせに旅館の中に単身入っていった。 口々にヨサ気な旅館だと、これから二泊する彼らの宿を笑顔で品定めしていた。 しかし後述するが、まだこの時彼らは、この狼煙館の本当の実力を知らなかった・・・(<●> <●>;)ひぇええ ゾロゾロと大きな荷物をもって駐車場から、すぐに目の前の旅館の正面入口に向かった。 旅館独特のガラス引き戸の玄関にはいるとなんとも古めかしい匂いがした。 年期の入った燦にはまった切り細工風の磨りガラスや飴色に磨かれた床や漆喰、ラッパのような受話器の電話。 まるで今すぐにでも、金田一耕助が引き戸を開けて戻ってきそうな雰囲気だった。 「イイねぃ〜こういう旅館って」靴を脱ぎながらあつこが愉しそうにいった。 まず最初に玄関に入って奇妙だったのは、その旅館の床には血のような真っ赤な絨毯が敷き詰めてあった。 一瞬、皆の動きが止まって顔を見合わせた。 たつゆきが床、壁、天井の順に不安そうにキョロキョロしている。 その絨毯は不敵にも正面の階段を登り二階に延びていた。 その色を採用するときに誰か止めなかったのだろうか?(^_^;)ゞ やけに印象の薄い仲居さんがすでに待っていてくれて、軽く風呂の使い方等説明のあと、二階の彼らの部屋に案内してくれた。 団長、headsたちは、先発隊と一緒に来ていなかった。 車の中の荷物をまとめていて遅れていたのだった。 階段を登りきった所に洗面所があり、薄暗い黄色い電球に照らし出された廊下が赤の絨毯に沿ってコの字型に延びていた。 宛てがわれたのが、階段登ってすぐの「竹の間」と奥隣の「松の間」の和室の二部屋だった。 仲居さんが、ドアのノブを回して二つのうちの一部屋に入っていった。不気味な軋み音を立ててドアが開いた。 次に奇妙だったのはそのドアだった。 それは田舎の旅館の和室には不似合いな暗灰色に塗られた頑丈な鉄製のドアだった。 しかも、そのドアのすぐ内側には障子の引き戸があった。なんとも風変わりな入り口になっていた。 とりあえず、「竹の間」に荷物をまとめ、数人が部屋に荷物を広げていた。 両部屋とも畳張り12帖ほどの和室で、床の間があって押し入れがあって、そして、何故か古めかしい曰くのありそうな姿見があった。 夜も更けての到着だったために、気を利かせてすでに畳の上には布団が敷かれていた。 お湯の入ったポットや急須の載ったテ〜ブルは隅に寄せられていて、謎の掛け軸が床の間に掛かっていた。 仲居さんが出ていくと、鉄のドアがガタンと凄い音を立ててしまった。 一瞬皆の会話が止まった。 とりあえず顔を見合わせつつ皆座ってめいめい寛ぎはじめた。 あつこは、隣の「松の間」にいくことになり、ミケくんも付いていった。 途中廊下に出たところで荷物を持った団長とheadsに会ったので「松の間」に行くぞと思いつきで拉致していった。 この気まぐれが後に極悪の『カニカニ団Core』結成の引き金になるのであった。 |