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第四十一話「KMさん〜、正露丸もやってねぇラッパのマ〜クの大正の」
1999年8月8日00:30 日本 珠洲 狼煙館其の伍
冗談のような話が持ち上がってからものの10分もしないうちに、すでに装備(懐中電灯)の点検に取り掛かっていた。
確実に目に見えない何か大きなモノが動き始めていた。 
最早我々の力ではどうすることもできなかった。
今回の作戦計画の発案者であり、全権を握るSakaですら後戻りできない"何かに"衝き動かされていた。
いったいあの岬に建つ伝説の狼煙灯台にはいったいどんな謎が隠されているのだろうか
皆取り憑かれたように黙々と深夜の行軍に向かう支度をしていた。
カニカニ団の精鋭13人を擁して今夜行く灯台の概要を落ち着いた口調で説明し始めるSaka
ここから狼煙灯台最先端までの所要時間はおよそ20分、足場の悪いものすごい急階段だということだった。
そして周辺には照明等は一切なく、漆黒の暗闇が続くらしい・・・
一通り説明が終わると団員たちの顔に次々と言いようのない不安と緊張感が走った。
が、歴史ある狼煙灯台の本当の恐ろしさはこれだけではなかった。
ドピキ顔の団員たちをよそに、さらに続けてSakaの口からは恐るべき事実が飛び出したのだった。
「その灯台って海に切り立っててすげ〜高いんだよ、崖が。で、毎年自殺者が絶えないんだよね」
ああ、知ってる知ってるとばかりに地元であるMaroと、エアロビ東が頷いていた。
初めて聞く他の団員たちは見る見る顔が青くなっていった。
「うそぉ〜本当なの?Sakaさん」あつこが真剣な顔つきで尋ねた。
「俺の友人がこのそばの入り江に住んでいて、飛び込みがあると、数時間後に必ずそいつん家の前の湾に流れ着くんよ」
「げげげぇ〜!ヤな入り江だなぁ〜それって」headsが笑いながら云った。
「・・・・・出るらしいよ、時々」妙な間を置いてSakaが笑う。
「まぁ〜ねぇ、そういう事もあるでしょうね」団長がヤケにしんみりといったもんで、あつこがビビり始めた。
「イヤだなぁ〜それは、できればあまり見たくないよねぇ」クロネコが笑っていった。
「そんなんワシがブッ飛ばしたるわいっっ!」Yayoiが気勢を上げる。
「その前にデジカメに収めて、ネタを新聞屋に売らないとダメですよ」MBXが笑わせてくれた。
「おれ霊感強いんだよね、なんか絶対見そうだなぁ」Rankerが不気味な事を大まじめな顔でボソリと呟いた。
( ̄ー ̄(_ _( ̄ー ̄(_ _」....zzzZZZ ミケくんはまだコックリコックリ眠っていた。
とても、気まぐれにトランペットを酔狂で聞きに行くだけとは思えないほどの危険な匂いが漂っていた。
「では、そろそろ出発しよう!」言葉短くSakaがノベると張り切って立ち上がった。
マジで行くんかぁ〜?(─┬─__─┬─) ←酒と睡魔で顔がムクんだミケくん
手早くPBを片づけると、重たい足を引きずって各自懐中電灯やらデジカメやらを持ち、ゾロゾロと階段を降りて行くカニカニ団。
フロントにいた女将が不審がるのも、モノともせずに総勢13人の怪しい団体はワサワサと自分の靴や草履を探していた。
ミケくんはその時、背後に視線を感じたような気がして振り返った。
サッっと人影が奥の引き戸の影に滑り込んだような気がした。
この旅館に到着して以来どうも誰かに見られているような気がしてならない・・・
そういえば・・・思い出せないのだが、どこかで見たような・・・
「ほらっっ、行くでぇ〜早よぉ」Yayoiに袖を引っ張られて、その疑念は中断された。
ガラガラと耳障りな音を立てて古めかしい引き戸から真夜中にカニカニ団が出てくる旅館ってのは、想像しただけで全身鳥肌ものであった。
玄関を出ると、夜気に混じってすぐに潮の香りがした。振り返ると狼煙館の脇にある勝手口に影が動いた。
「ちゃんとトランペット持ったぁ〜?KMさん〜、正露丸もやってねぇラッパのマ〜クの大正の」たつゆきが鼻歌まじりで浮かれていた。
こんな深夜にも漁船が操業しているのか、遠くの海上に仄かな明かりが点滅していた。
「おお!やってるやってるぅ、今の季節はなんだろなぁ」船を指さして先頭を歩くSakaが振り返った。
やはり思い違いではない(<●> <●>;)、ミケくんは笑い声の中ひとり背中に汗が噴きだすのを感じた。
気味悪いくらい赤く大きな月が海面に光を落とし、そして彼らの運命を眺め下ろしていた。


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