第五十話「アジガドヘ(^^ヘ) (ノ^^)ノアジガド、ミナサマのトカゲで五十話まで来ましたぁ♪」 1999年8月8日11:30 日本 珠洲 ヘミングウェイ海岸其の伍 |
さすがにこの空腹には耐えられずに、団長の目に涙が滲み始めたころ最初のカレ〜ライスがカニカニ団のテ〜ブルに到着した。 やはり皆、おなかが空いていたのだろう、鬼のように注文の嵐であった。 口の中にカレ〜のスプ〜ンを入れたままメニュ〜のラ〜メンの文字を無言で何度も指さす団長。 その訴えかけるような団長の円らな瞳がウェイトレスの心を揺さぶった。 黙って何度も頷くと後ずさりするように厨房に消えていった。 たくさんの伝説ができて、またこれからも出来ていくであろうヘミングウェイ海岸。 雲一つないゴキゲンな真夏日だった。 団長が恒例のゆで卵に手を出し始めたころ、一台の黒塗りの車が松林の駐車場にゆっくりと入ってきた。 そして、慎重にゴミの集積場の傍らに場所を見つけると、手慣れた運転で車をそこに入れた。 一方カニカ団は、空の器のとっ散らかるテ〜ブルを囲んで、カメラを取り出して記念撮影。 クロネコが珍しい小型のポラロイドを構えて団員だちを撮っていた。 エンジンを切り、用心深く駐車場の黒塗りの車のドアが開くと、一人の小柄な男が砂利道に降り立った。 頭を巡らして、テラスハウスの位置を窺うと、足音を忍ばせて松の大木に身を隠し松林を透かしてヘミングウェイ海岸を見つめていた。 ちょうどその時、昨晩遅く一旦前田写真館に戻っていたMaroの愛車ビッグホ〜ンが急いで駐車場に入ってきた。 Maroの車が視界に入るやいなや、慌てて男は下生えに身を伏せた。 Maroはその近くに車を停め、いそいそとサイフを確認しセカンドバッグだけを掴むと、勢いよくドアを閉めた。 待ち合わせのテラスに出るとカニカニ団の姿は見えなかった、・・・が屋内から異様な笑い声が響いてきたので、すぐにその所在が知れた。 「お待たせぃ〜」目ざとく空いた椅子を引き寄せながらMaroが仲間に加わる。 「おお、Maro早かったやん、仕事大丈夫なの?」現場監督を首から下げたSakaが振り返った。 「ん、適当ぉ♪。お姉ぃさむ中生ねっ」Maroは簡単に答えると、片手をあげてウエイトレスを捕まえた。 「いよぉいよぉいよぉ〜〜盛り上がって参りましたっっっっっ(●^_^●)/」完全にデキあがった団長がひときわ大きく叫ぶ。 カニカニ団はゴゲキンだった。お腹もいっぱいになり、ビ〜ルもしこたま飲んだ後、いよいよ念願の海水浴Part IIの始まりだった。 Sakaから海パンを受け取るのを待つようにして、カニカニ団は着替えるために2階の更衣室に走った。 着替え終わって、下のテラスに降りてみると、すでに海水浴基地HQは砂浜に移動しており, その中ほどにビニ〜ルシ〜トが広がっていた。 どうやってそこまで移動したのだろうか、砂浜からは辺り一面にゴムの焼けたような匂いが立ち登っていた。 まさに、灼熱地獄とはこのことだろう。とうてい裸足では、海水浴基地HQまでたどり着けない状況であった。 しかし、ビ〜サンなどとても買っている時間もお金もないカニカニ団であった。 ビ〜サンを持っているあつこ、そして地元のSakaとMaroを除いて砂浜の際にみんな集まっていた。 海水浴客でごった返したビ〜チには子供たちが走り回っていた、去年と変わらぬ風景がまたここヘミングウェイ海岸に展開されていた。 昨日同様、抜けるような晴天に恵まれ、ヘミングウェイ海岸は大勢の家族連れやカップルの海水浴客で賑わっていた。 波が穏やかなせいもあって、波打ち際に寄せる様も水晶を思わせるような透明な流れを見せていた。 砂浜の遠くの方を睨んでいたでいた団長が覚悟を決めて呼吸を整えると、黙って一息に飛び出していった。 団長は一気に砂浜にヴァンヘイレンのようにジャンプした。・・・・そしてすぐに無言でダッシュで戻ってきた。 おお!さしが団長!!と歓声を上げる間も無くスイライディングして戻ってきた、「あぢぃ〜地獄っすぅ(j_j)/まぢで」 とにかく死ぬほどメチャメチャ熱かったそうだ。 昨日の教訓を少しも生かすことの出来ないカニカニ団であった。 それにしても、SakaやMaroは地元のせいもあって熱砂には慣れていたので余裕であった。 彼らは恐ろしいことに、いとも簡単に砂浜に海水浴基地HQを建設し、シ〜トを広げて早くも寛ぎの宴をあげていた。 ジタンダを踏んでいる他の団員たちがいる砂浜の縁から、海水浴基地HQまでは約20mほど離れていた。 それでも、知らずしらずにいくぶん足の裏が強靱になっていった頃を見計らって、全員で砂浜を潮風を切って走り抜けた。 周りの海水浴客の白い目もはばからずに奇声を上げながら走りまくるカニカニ団。 もはや誰も彼らを止めることはできなかった。 寛いでいる渚の人々をよそに、カニカニ団は海を目指して走った、灼熱の砂浜のできるだけ温度の低いところを狙って。 砂煙をまき散らしながら海水浴基地HQを通り越しエメラルド色のヘミングウェイの海になだれ込むカニカニ団、 ドダドダドダっっ、レミングの集団自殺のように一斉に渚に倒れ込んでいった、そこにはロマンもへったくれもなかった。 |