第五十一話「わははっっっ、やめろ〜〜目が回るぅ」 1999年8月8日12:30 日本 珠洲 ヘミングウェイ海岸其の録 |
足の裏がヒリヒリしていたのもあって、異常に冷たく感じた。長閑な風景とは裏腹にココはやはし日本海なのであった。 体全体の熱がグングンと海水によって冷めてきた。浅瀬に飛び込んだ勢いで鼻から塩分の濃い海水が入ってきた。 潮の香りはヒトを野生に呼び戻す。 すぐ側で、バシャバシャと水しぶきを立てて、MBXが錦鯉のように泳ぎ回っていた。 昨日の疲れなど吹き飛んだようにKMが潜っては、イルカのお姉さんの餌を求めるシャチのように水面にジャンプしていた。 この時、ヘミングウェイ海岸のカニカニ団は総勢10名になっていた。 男は、辺り窺うと、音もなく草の上を選んでテラウハスにたどり着いた。 2Fの更衣室に至る階段の物陰からそっとテラスをうかがうと、彼らの姿はすでになく、男の視線は砂浜を走っているカニカニ団の姿に視線が移った。 運良く波打ち際に近いところに海水浴基地HQがあったので、そこに缶ビールやおつまみも展開していた。 燦々と降り注ぐ真夏の太陽の下で、ひと泳ぎしては渚でビールを飲む、そんな生活だった。 そのうちにずうずうしくなり始め、海の中でパピコアイスはしゃぶるわ、タバコは吸ってるわ、酒はのむわで、まるで温泉に来たお猿のようだった。 その前の海は、いつしか当然のようにカニカニ団専用となってしまい、目に見えない不可侵の異様なエリアを形作っていた。 Sakaがキティちゃんの浮輪をあつこから借りて、その上に乗っかりながら海面を漂っていた。 次第に潮に流されて、沖合の方に向かっていった。 それを追うようにしてカニカニ団が水しぶきを上げる。 遠浅のヘミングウェイ海岸では、水深1.5m に達するには砂浜から50mは離れなければならない。 かなり沖合でも実はそれほど深くはなかった。 たいした努力をしなくとも簡単に身体は浮いてしまうので足がつかなくてもどうと云うことはない。 平泳ぎをしながらクロネコがSakaの浮輪を押していた。 どうりで流されていくスピ〜ドが速いと思った。 それにたつゆきとheadsが加わった。 「わははっっっ、やめろ〜〜目が回るぅ」振り向くとグルSakaがグルグルと浮輪ごと回転していた。 海中に潜ると、またそこには別世界が広がっていた、驚くほど明るくなだらかな海底の砂が筋状に流れていくさまが見て取れた。 ミケくんは素早く潜るとその砂を手に取ってみた。 ほとんど真っ白といっていいくらいの安山岩の砕けたものだった。 水面に漂いながら鮫のように回遊するカニカニ団、たつゆきとKMがビ〜チボ〜ルの周りを暢気に遊弋しているのが見えた。 ドガ〜〜ン! その時、近くで何か大きなものが海面に飛び込んでくる衝撃と耳を劈くような炸裂音がたつゆきを襲った。 近くを泳いでいたKMとMBXも巻き添えをくった。 大波が彼らを飲み込んでいった。 しこたま、海水を飲んだたつゆきが叫んだ 「おわあ〜何だ、なんだっっっ!?」狼狽した虚ろな視線がその正体を探っていた。 すぐ近くの海面からはボコボコと異様な泡が浮き上がり、得体のしれない物体が海中をこちらに向かって突進してきた。 「うわぁ〜〜、た・・・助けてぃ〜」三人は逃げ場を探してパニックになっていた。 謎の物体が白波を吹き上げながら海中から飛び上がってきた。 咄嗟に身構えるカニカニ団。 その物体が正体を現した・・・・・・・ミケくんだった(*^¬^*)/あぃあぃ。やはしそゆコトをするのは 「Ψ(`o´)Ψやめろよぉ〜〜ミケくん。塩水飲んじゃったやんかぁ〜」珍しくたつゆきが声を荒げる。 「どだ?サメかと思って驚いたべ?(* ̄∀ ̄)ニァ」相変わらず性格の悪いミケくんであった。 「サメなんかいるわけないじゃんよっっっ」KMが叫びながら、ミケくんに水を浴びせかける。 それが引き金になって周りの団員を巻き込み水掛け大戦争に発展してしまった。 その光景は、まさに夏休みの小学生なみであった。(観光客談) 「勢いよく飛び込んだときに、海パンが脱げそうでマジであせりました(;^_^A アセアセ」(ミケくん談) |