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第五十二話「Hiroko登場の巻」
1999年8月8日13:00 日本 珠洲 ヘミングウェイ海岸其の貭
海に入って一時間もしないうちに、再び腹が減り始めた。
「どうする?メシにするぅ?いったん」浅瀬にいたMaroが遠くの団員に呼びかけた。
団長がまずその声に反応した。真っ先にイルカのフリッパ〜のようにバサロ泳法も鮮やかに、音もなく軽やかに岸辺にたどり着いた。
「メシにしましょう〜(^。^)ノ ミナサン」ヘミングウェイの海に団長の声がこだました。
また食べるの?といった表情のあつこはシブシブ渚に上がってきた。
早くも、Sakaはとりあえず海水浴基地HQのビニ〜ルシ〜トを畳んでいた。
団長を先頭にゾロゾロとカルガモ一家のようにテラスハウスに向かうカニカニ団。
また来たよあいつらという声が聞こえてきそうな店内にズズイと入り込み、勢いで3つのテ〜ブルを占領すると、
例によって注文の嵐が飛び交った。
驚いた事に団長はすでに、この店のメニュ〜を暗記していた。
壁に掛かった時計の針は間も無く一時を指そうとしていた。
「Hirokoちゃん、そろそろ到着ですよね?」トウモロコシを丸ごと横にくわえた団長がミケくんに聞いた。
慌てて自分の腕時計を見るミケくん。
「そだっっ!ヤベっ〜・・・ちと迎えにいってくるわ」
飲みかけのジョッキをテ〜ブルに乱暴に置くと、店を飛びだしていった。
「1時じゃなかったっけ?もう、到着してる時間ですよ。待ってるかも」headsがテ〜ブルの端を叩きながらいった。
慣れた足取りでテラスハウスの裏手にまわるミケくん。
木材で組んだテラスの縁からビ〜チホテルに向かう小径に繋がる小さな階段があった。
いきなり出てきたミケくんの姿に、その場で身を堅くして他の海水浴客に混じって平然を装う謎の男。
ミケくんは先を急いでいたこともあって、その傍らを気づかずに通り過ぎていった。
松林を縫うようにして導かれたその小径は薮の脇を抜けてビ〜チホテルの前のロ〜タリ〜に繋がっていた。
真昼の太陽に熱せられたアスファルトが燃えるように反射していた。
裸足でココまできたミケくんは、その光景に一瞬怯んだ。
どうしようかと思案している所に、海岸通りから一際目立つカラリングの観光バスがゆっくりとロ〜タリ〜に入ってきた。
バスは大きな体を回頭するとミケくんのそばまで、じりじりと寄ってきた。
窓辺に手を振るHirokoの顔が見えた。
焼けるような足の裏の痛みも忘れ、思わず手を振りながら裸足、髪ボサボサ、上半身裸であるのも忘れバスの窓に走り寄るミケくん。
まるで『現地人がギヴミ〜チョコレ〜ト状態』であっった。
他の客は爆笑であったろう。
前のドアが開いてタラップから観光客が降りてきた。
最後の方になってようやくHirokoの姿がドア口に現れた。
「お待たせ〜〜、ココ全然携帯が通じなくてさぁ、ミンナ来てる〜ぅ?」リゾ〜トファッションに身を包んだHirokoが陽気にいった。
「すまんすまん、結構早かったねぇ」ミケくんが荷物を持ちながら前を案内する。
謎の男は、ミケくんが再び戻ってくることを予め予想していたので、今度は慌てることはなかった。
シャワ〜の影から、彼は落ち着いて観察していた。
「うん、早かったよぉ〜、空港まで45分だし特急に乗り継いで、あとこの直通のバスがすぐに来たから。」
「おお!!そかそか、意外と近いんだね」手でこちらと方向を指し示しながらミケくんは云った。
二人がテラスハウスの皆の所に着いた頃にはすっかり酒飲みグル〜プは出来上がっていた。
「をををっっっ!!こんな所までようこそっっ!\(^O^)/」SakaがHirokoの姿を見つけるや叫んだ。
「はじめましてぇ〜(=^o^=)」自己紹介を始めるHiroko
「盛り上がって参りましたぁあああああっっっ!!(●^_^●)/ わはははは」テ〜ブルの上に乗っかって酔っ払いの団長が吠える。
Hirokoの参加で気勢を吐くカニカニ団。
その後不幸にも、静かな海辺のテラスハウスは狂ったような記念撮影の嵐に見舞われるのであった。


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