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第五十六話「お客様にお知らせします・・・」
1999年8月8日15:30 日本 珠洲 ヘミングウェイ海岸其の柔壱
いい気分で流されるままに、沖でハシャぐカニカニ団。
虹色のア〜チが空のかなたにかかっていた。
そのとき、浜辺の方角から、テラスハウスからと思われる拡声器の人工的な声が風にのって届いてきた。
「8番,12番,13番テーブルでお食事をされたお客様、携帯電話のお忘れ物がございますので、テラスハウスまでお越しください」
三つのテ〜ブルにまたがって食事をしていたのなんて、カニカニ団しかいなかったハズ。
しかも、携帯だということだった。
のんきに泳ぎ回っていた団長の毛が一瞬にして逆立った。
団長の周りの海流も妙に渦巻いていた。
「ま・・・まさかションベンとかしてないおね?(<●><●>;)団長」近くをお泳いでいたミケくんがあせった。
「違うでしょ〜、マスタ〜の携帯じゃないの?」あつこが海岸の方を指さしていった。
Maroも気づいて身振りで団長に叫んだ
「マスタ〜じゃないの?今の放送は」
団員たちの爆笑の中、慌てて砂地の海底を蹴って浜辺に向かう団長 (^^ゞテヘヘッ 、
一緒にMBXやSakaが砂浜に向かった。
一般の観光客もなんだなんだと中注目していた、渚で一回コケて、立ちあがるなり重たい体を引きずりながらテラスハウスへと走った。
さすがに恥ずかしそうに照れ笑いで店内に入っていく団長、ニコリともしないでウエイトレスが携帯を手渡した。
団長がビ〜チに戻ると、団員達の大半が岸辺に上がって来ていた。ビ〜ルやスナックを買い求めに行く団員たちとすれ違った。
ひと泳ぎした後のダルな時間が流れていた。
みな砂浜にねっ転がってに、めいめい陽に焼き始めた。
あつこがSakaにサンオイルを塗ってもらっていた。
「俺はサンオイルを塗らしたら日本一だぜ〜〜〜〜!!!っっっっうあはっは、貸してみろ」ゴキゲンでSakaが叫んだ。
クロネコはさんざ今年の夏はテニスで焼いたということで、Hirokoのパラソルの日陰に入れてもらってくつろいでいた。
ひとしきり吹いていた風が止まると、ものすごく日差しが強くなってきた。
無風の砂浜は、まるで蒸し風呂のようになっていた。
焼けるような砂の熱にも慣れてきていたので、最初は温度を確かめるように恐る恐る、その内に大胆に寝転がった。
Maroの巨体が波打ち際に打ち上げられたイルカのように転がっていた。
ジリジリと照りつける黄金色の太陽が、皮膚に燃えるようなエネルギ〜を浴びせかけていた。
たつゆきとheadsが昨日焼いていたところを再び焼いてしまったために、苦しそうに寝返りを打っていた。 特にたつゆきは、鼻のてっぺんの皮がムケるほど焼いてしまったので、さすはに今日の日光浴は辛そうだった。
海から吹き込む風が妙に心地よくて、ポカポほてった砂の上でいつしかミケくんは知らずに眠ってしまっていた。
傍らではたつゆきが昨日の焼き過ぎが原因になっているのか、ウンウンと唸りながらも健気に焼いていた。
波打ち際に打ち上げられたマグロのように、きれいな列になって日光浴とシャレ込んだ。
目を閉じていても、まぶたの裏の血管を通して日に透けて赤く見えていた。
一時間ほど、そうやっ焼いていただろうか?
「ちと、泳いでくるわ」KMが立ち上がって波打ち際に走っていった。
その言葉につられるように、一人ひとりまたヘミングウェイの海に戻っていった。
バシャっっ、ドシャっっ  
また、周りの客の迷惑も省みず再びカニカニ団が水掛け戦争を始めた。
そして、またのんびりと浮輪にのって漂った。
昨日とまったく同じ行動をしてるのに、不思議とまったく厭きないのである。
「ちと、ビ〜ル買いにいっちくるわ(*^¬^*)/あぃあぃ、他になんか飲むシト〜?!」ミケくんが大声で呼びかけた。
そして適当にいくつかの注文をまとめて、テラスハウスに走っていった。
ミケくんに起こされて上半身を起こしたカニカニ団が、そろそろあ客たちが引き上げ始めた青い海を見つめていた。
ゆっくりと時間が流れる間に、誰もが、ひととおり昔の思い出に浸っていたのかもしれない。
こんな落ち着いた時間はここに来なければ、きっと手に入らないと思った。
その時にミケくんが、もどってきた。首をうなだれ、その影が砂の上に異様に長くなっていた。
ミケくんの姿に気づいたSakaが聞いた。
「お、どうしたの?コラさん。食い過ぎ〜?」
ミケくんはその場に力なく崩れ落ちた。
さすがにその姿を目の当たりにしたカニカニ団は、異様な雰囲気に驚いた。
「どうしたのよ?コラさん」不思議そうにMBX, KMがミケくんの所にやって来た。
「やっても〜た・・・・、うががが(j_j)」ミケくんはただそういうと、深く深く顔を砂の中に埋めていった。


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