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第六十四話「お待たせ うううっっ梅の間登場なのね(* ̄∀ ̄)ニァ」
1999年8月8日22:00 日本 珠洲 狼煙館其の柔参
「ドコでやるんだろ?」運転席のMaroに話しかけてみた。
「ん?ドコ行くんだろSakaさん」Maroもどうやら予測しあぐねているみたいな様子だった。
Sakaの後をついていく各車。ランチアはどうやら駅の方に戻っていくコ〜スを辿ってる。
小学校の角を山に向かった時に狼煙岬に向かうコトが判明した。
「なんだ、いったん戻るんか、あの狼煙館前の浜辺でやるのもイイねぃ」闇夜に紛れながら山道を縫うように4台の車がすりぬけていった。
Sakaの先導していることもあるし、何度も走った道なので不思議なほど早く狼煙海岸に出た。
下り坂に差し掛かるとフロントガラスの向こうに満点の星空が広がって見えていた。
ゲシュケは配膳を終えると、猫の額ほどの庭にでて煙草に火をつけた。
満月が雲に隠れるやいなや、かき消されたように辺りが闇に包まれていった。
足下の小さな黄色い花をつけけたヒナゲシに目をやった。
小さなため息が煙とともに胸をついて出てきた。
どうして、はるばるこんな所まできたのだろうか、彼は自問してみた。
ふと月が雲間から顔をだした瞬間に、道路の向こうから一条のヘッドライトが差し込み、続いて幾つかのライトが加わった。
奴等が帰ってきた・・・ゲシュケは取って返して、裏口の木戸を開けると足早に持ち場に戻った。
まもなく、数台のエンジンの音が近づいてくる。
狼煙館の前に次々と滑り込んできた。
「とりあえず部屋に戻って一息入れよう」擂り戸の向こうから脳天気なSakaの声が聞こえてきた。
「シブいじゃないココ、イイっっイイっっ!」初めて狼煙館を目の当たりにしたHirokoがテンション高く旅館を見上げた。
一様に遊び疲れた顔をして、車から荷物を抱えたカニカニ団の団員達が降りてきた。
街灯も所々にしか無いようなココ狼煙岬では、輝く本当に星が降るように夜空に貼り付いて見えた。
「東京ではこんなに星がデカくないよなぁ〜、奇麗だなぁ〜しかし」MBXがため息を漏らして見上げていた。
元気いっぱいのSakaを先頭にドヤドヤと磨りガラスの向こうに近づいてくるカニカニ団の不気味なシルエットが見えた。
ゲシュケは緊張して引き戸が開く瞬間を見守っていた。
外の物音を察したのか台所につながっている脇の戸から女将が顔をだした。
ゲシュケは一瞬表情を堅くして女将の方へうなずいてみせた。
「お客様が帰ってきたようですね、ゲシュケさんは下がっていていいですよ」女将はニコリともしないで奥の部屋を指した。
ゲシュケは不承不承というていで、奥の座敷に下がった。
ガラスの引き戸が荒々しく開けられると、日焼けしたカニカニ団が入ってきた。
「花火ドコでやるのぉ?」Hirokoが退屈そうにSakaに聞いた。
「さぁ〜ドコでやろうか?ここらの海岸で探してみようか」暢気なSakaの声がゲシュケの耳にも聞こえてきた。
「しかしなんだおねぇ〜ココらへんって花火やり放題やんかぁ〜」ミケくんが、もうゼンソン号事件などドコ吹く風という風におちゃらけていた。
カニカニ団はとりあずということで、階段下にぞくぞく集まって来ていた。
Sakaと女将が愛想笑いを浮かべてガラス仕切りの向こうで話をしていた。
今晩はHirikoが一人増えたために、女性だけの部屋を用意してもらうためだった。
「しかし今夜イキナシ頼んでも大丈夫なん?」headsが心配そうに呟いた。
「ん〜どだろ、なんとかなるっしょ〜♪」Maroが相変わらず動じていない口ぶりでいった。
奥の戸を細く開けて、その様子を眺めていたゲシュケは、出ていくタイミングを見計らっていた。
お腹が一杯になったカニカニ団はSakaたち数人を残して余裕の表情で我が家のように階段を上っていった。
それぞれ荷物の置いてある部屋に戻ってみると布団がすでに敷かれていた。
「おぉ〜い、大丈夫だってよ〜よかったねぇ」Sakaの叫ぶ嬉しそうな声が階下から聞こえてきた。
「おお!!よかったやんHirokoちゃん」MBXが八重歯をのぞかせてニッコリした。
Sakaの交渉の甲斐あってか簡単に彼らの隣の部屋が取れた(そりってば空いてたんじぇねぇ〜のかいっっ(^_^;)ゞ
階段からすぐの所に彼らの「竹の間」「松の間」に並ぶようにその『梅の間』があった・・・・
それは数々の伝説を生んだ梅の間事件の幕開けだった。


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