北へ 弐


2003年07月12日〜08月07日
実際はもっと陰気だった
きりたっぷ岬

 7月15日

 夜明け前、喧しいカラスの鳴き声とたまに混じる馬の嘶きに目を覚ます。日の出までそんなに無いが風でずいぶんと冷え込んでいるので6時ごろまでまで寝る。焼き鳥の缶詰とパックの味噌汁で朝食。朝は面倒なので飯は炊かない。しばらく風が止むのを待つが、収まりそうな気配が無いので風に苦労しつつテントを撤収して出発。

 道道885〜150号で裏摩周方面に向かう。ちょっと山に入ったあたりから霧、と言うか雨雲の中のような状態。これではまず摩周湖は見れないし、道東の本命である神の子池の写真をとるのも難しそうなので引き返す。神の子池を撮ったらそのまま北上するつもりだったので、どうしようかと考え行ったことの無い(バイクでは1度しか来てないが)釧路に行くことにしてR243〜道道13〜R39をどーんと走る。釧路に近付くにつれて雲が薄くなる。

 釧路といっても和商市場くらいしか知らないのでそこで勝手丼を喰う。好みが悪いので僕の具の内容は教えない。この勝手丼、その名の通り勝手に具を盛る楽しみはあるものの普通に鉄火丼を作ったら赤味でも1000円以上になってしまう価格帯って北海道の海産物系だと高価な部類に入るんじゃないかな。

 海岸線を西へ。道道142号の昆布森のあたりでは中速コーナーを楽しみながら走る。釧路を離れるに連れて天気が悪くなり、寒さが増す。天気が悪いからかタイミングが外れているからか、昆布を干す砂利場はほとんどが空いていた。道道142の琵琶瀬展望台パーキングで同じ船で上陸した人達と天気についてひとしきり愚痴りあってからさらに西に進むと、雨。

 霧多布岬は霧の中、というだけなら良いが結構雨脚がしっかりしてきた。霧多布岬キャンプ場はバンガローが840円と比較的安く借りられるので、すでに借りている人に役場の場所を聞いて観光課へ手続きをしに行く。雨と寒さで日和ってしまったようだ。バンガロー内での炊事の可否は知らないが、管理人が居ないのでさっさと飯を炊き夕食を済ませ就寝。

 7月16日

 寒さで3時半頃に目が覚める。外は雨。プロトレックで温度計を見てみると9℃、冬じゃねーか。湯を沸かしてバンガロー内と体を温めて再び眠りに就く。6時半に起き出して見ると、わずかに霧雨が降っている状態。20分ほどかけて霧多布岬の先端まで行く。波は無いけど天気の加減か荒涼とした感じでなかなか良い。カモメとカラスが一杯いて糞爆弾が怖いので写真を撮ってさっさと戻ってみるとびしょ濡れ。

 9時過ぎ、海岸線の道道142号で東に出発。森と牧場の丘の向こうに消えていく道をひたすら走る。Tシャツ+フリース(ポーラテック製)+防水ジャケットでは寒い。服を買うために釧路に戻ろうかと地図を見ながら思案していると、軽トラの兄ちゃんに声をかけられる。聞くと現在地が初田牛駅あたりで、朝からさほど進んでない様なのでR44に出て戻る事にする。国道まで先導してくれるというのでありがたく付いて行く。

 R44との交差点で軽トラと分かれ、釧路方面へ向かう。途中でカラスが車に轢かれる瞬間を目撃。なるほど、あまり車が通らないんで道にもカラスが降りてくるのは良いが、車が来たと思ったら大抵スピードが出ているので避ける間もなく轢かれる訳だ。

 厚岸辺りで湿原沿いを走る。ここはバイクよりも根室本線の方が楽しそうだ。何しろ向こうは湿原の中を走ってる。釧路に着き、昨日見つけたジーンズショップに行って、丁度ワゴンで安売りされてたトレーナーを買う。800円也。デザインはアレだが防寒具なので仕方あるまい。

 戻ってしまったのでちょいと予定が狂ってしまったが、通ってないR272で開陽台に向かう事に。牧場や森が続く丘陵を抜けて行く、いかにも北海道らしい道が延々と続いている上に、道道14号との交差点以外は釧路-中標津間で信号無し。信号だけでなく休憩できるような店も無いのでひたすら走るがさすがにこの距離となると飽きる。昨日もそうだったが釧路近辺は雲が薄いが離れると天気が崩れる。

 中標津に着き、時間的にも開陽台でキャンプする事して地図にあるマルエー温泉(\370)へ。寒さで凍えた体を温め、2日分の汚れを落とす。近くのセイコーマートでレトルトのカレーを買ってから開陽台へ。道道150号を進むと路面が濡れていて、行く先は雲が厚い。嫌な予感を抱えて着いてみると、ガスってて展望は無いもののとりあえず雨は降ってなかった。

 一足前に着いていたV-MAXのヒトと僕のカタナ以外にバイクが無い。「開陽台に誰もいないとはねぇ」などと話していると、身軽なZRXがやってきて、オフ車は奥に入れてるし連泊組みは丁度みんな買出しに行っているとのこと。荷物を降ろし、すっかり忘れていたチェーンの給脂をしてサイトまで荷物を運ぶ。開陽台は展望台の向こうにサイトがあって、駐車場から展望台まで階段なので結構つらい。

 テントを張り、食事の用意をしていると飲み会に誘われたので手ぶらで参加。夏休み前のため、若いのが居らず早めの夏休みか訳ありの連中ばかりで楽しい。非常に寒く、座って話しているだけで髪が濡れるほどの霧。日付が変わったあたりでお開きになり、霧の中駐車場のトイレまで行くがこれが意外と怖かった。

 7月17日

雲厚く、萎える
開陽台

 ツーリングの習慣で6時ごろ一度目を覚ますが昨晩遅かったの言い訳に一時間ほど二度寝(しかしよく二度寝してる)。摩周湖の方は雲が厚いのでどうしようかと思いつつ、先に発つ人達を送り出す。11時頃まで待つが雲に動きが無いので知床を目指して走り出す。

 R272〜R335を北上し羅臼の道の駅で実家にカニを送る。寄生して遊んでる身としては付け届けは欠かせないのだ。ウトロ側の温泉は行ったことがあるし、カタナでカムイワッカはシンドイので却下。で熊の湯へ。熱ぃ。熱い湯が好きではあるがこれはたまらん。

 知床峠は3合目あたりから10m位しか視界が利かないほどガスってる。しかも寒いので、体が赤くなるまで湯に浸かっていたのに、峠の駐車場に着く頃には体がすっかり冷えてしまった。展望が全く無いので、バイクのそばでたばこを一本灰にしただけでウトロへ下る。海が見えるあたりまで降りてくると日が射してきた。

 知床自然センターあたりで鹿を見る。僕はどうもケモノには警戒されるらしく、近付くと逃げられる。他のヒトには近付かれて写真を撮られてても、だ。そんなわけで見掛けても素通りするしかない。ちなみにバイクで通り過ぎても犬に吠えられたりする事も良くある。そんなに殺気立ってバイクに乗ってないと思うんだけど。

 ウトロの食堂でウニイクラ丼を食す。この丼一杯でこれまでの食費より高いのでありがたくいただく。本当はウニはさして好まないのでイクラ丼で十分だったのだが店のおばちゃんに押し切られてしまったのだ。変なところで弱気が頭を擡げる。

 斜里へ走り出して10分ほどでまた曇り空。斜里市街から南下し、清里のユースホステルへ。着くなり洗濯と洗車と入浴。ペアレントにここ最近の摩周湖周辺の天気を確認。あまり良くないが一日中雨という事はなく、僕が道東の中心に据えている神の子池のあたりは摩周が雨でも降ってない事が多いと聞きやや安心して寝る。

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2003年09月22日作成
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