北へ 参


2003年07月12日〜08月07日
ネガからのスキャン画像
定番のアングルで神の子池

 7月18日

 同室の斜里岳に登る人と同じ頃に目を覚まして外を見ると相変わらずの曇天。YHにカメラ以外の荷物を置かせてもらって神の子池に行く。神の子池の看板の前に来たときまだ7時過ぎだったのでそのまま裏摩周展望台へ。誰もいない展望台の霧の中でたばこを点ける。吐き出す煙の先がすぐに追えなくなるほどの霧。摩周湖は湖面どころか数メートル先も見えなかった。

 引き返して神の子池へのダートを走る。なるべく身軽な状態で走るためにYHに泊まったのだが(テント立てっ放しは猜疑心が強い僕には無理だ)カムイワッカあたりと記憶を混同していたのか、砂利も少なく踏み固められたダート。これなら荷物を預けるまでも無かった。

 このためだけに道東に来たと言っても過言ではない神の子池に着く。明らかに腕を考慮しない富士のPROVIAをカメラにセットし写真を撮りまくる。霧は摩周湖の周囲だけで少し日も射したので状況的には恵まれていた。

 YHに戻って荷物を引き取る。丁度チェックアウト後の空白の時間帯だったのか全員に見送られて、テレながらもかっこつけていつもより大きめにアクセルを開けて走り出す。ジャガイモ、ビートの畑の中を突っ切りR244に出て北上する。時期が若干遅いためやや勢いに欠ける小清水原生花園に立ち寄る。駐車場から線路を跨ぐのだが列車が来る気配が無いので線路の上を歩いていたら、それを真似した子供が親に怒られていた。

獄舎
ねぇ?

 網走から監獄博物館に向かう。久しぶりの青空。脱獄モノの小説を2,3読んだ事があるので説明はほっといて建物を見て回る。当時の様子を再現している人形が変な存在感を強調していてなかなか楽しい。史的な価値はわからないが、見物として1,050円は少々高い(僕はYHで割引券を使ったので800円だったが)。黒い獄舎の前の向日葵はあざとい演出だ。

 せっかく中途半端な所まで来たのだから、と天都山へ行き展望台に登って網走湖を見る。久々の青空は本当に気持ち良い。四方とも曇っていて網走周辺だけが切り取られたようになっているだけなのだが。近くの(今を逃したらきっと一生来ないと思われる)北方民族博物館へも足を伸ばす。静か。広いホールに受付嬢以外人間がおらず、展示室内はおっさんと僕と宿題で来てるらしい小学生しか居ない。でも、内容は300円にしてはしっかりしていて建物の雰囲気がすんごく良い。

 なぜか湯気をあげている能取湖に流し目を向けつつR238を北上。湯気が霧になっていく中、ワッカ原生花園に到着。チャリンコを借りて(\500)植物を見る・・・はずだったが、わき目も振らず終点を目指してペダルを踏む。どうも生徒だった頃のチャリ通の記憶が体に残っているため、ついつい自転車に乗ると懸命に漕いでしまう。ちなみに恥ずかしい事を考えると同様の結果になるらしい、どっかで読んだ。息を切らせてワッカの水まで辿り着き、さして美味いとも思わない水を飲みすぐさま引き返す。

 道の駅サロマ湖で焼ホタテを買い、ホタテ売りのおっちゃんにサロマ湖の夕日が一番きれいに見れるところを尋ねる。キムアネップのあたりが一番良く見えるらしいので丁度キャンプ場もあるし、今日はそこで泊まろうとキムアネップキャンプ場に行くが、そこは見事に霧の中。

 夕日は見れそうに無いので、夕食の買出しついでに計呂地交通公園ライダーハウスを見に行く。誰もいないので隣の売店で聞いてみると、鍵が開いている場合は朝に料金を徴収に来るので使えるけど鍵が閉まってたら使えないとのこと。戸締りを確認すると鍵がかかっていたので諦めてキムアネップのキャンプ場に戻る。

 丁度キャンプ場に戻ったときに管理棟が閉まってしまい、シャワーを逃す(17:30まで)。若干潮の匂いを含む霧の中テントを設置し、米を炊き夕食。寝る前にトイレに行こうと歩いて行くとテントの前で立ち話をしているライダーが居たので話に加わる。3人になったのでテントの人が炭(木炭と炭火台持参!)に火を入れてくれたので温まりながら、それでも凍えながらしばらく話していると霧雨が降り出す。

 7月19日

 夕日の代わりにせめて朝日を見ようと夜明け前に携帯目覚ましを設定して起きる。寝袋のまま外を覗くと乳白色の世界。再び寝入り6時ごろに起きてインスタントラーメンで朝食。バイクを見てみると片側のブレーキディスクだけ錆びが浮いている。潮風は凄いぜ。

 相変わらず雲は低く、頻繁に霧や霧雨が現れる海岸線を北へと向かう。道の駅オホーツク紋別に流氷科学センターという-20℃を体験できる施設があったので、鬱陶しい空の下を走った気分を切り替えるつもりで入ってみる(\300)。余計な展示は無視して-20℃の部屋に行く。備え付けのコートを着てごっつい扉を開けて中に入る。こういうのは一人だとつまらないはずだが他には誰もいなかったせいか変なテンションで楽しむ。もっとも奥の部屋の鏡になった壁に映った着膨れて無様な自分の姿を見た瞬間に一気にテンションも下がったが。

 引き続き宗谷岬を目指して走る。休憩の度に小便をし、暖かい缶コーヒーで暖を取る事の繰り返し。道の駅おこっぺでコーヒーに飽きて牛乳を2本ほど一気飲み(実は牛乳好き)。この後しばらくは体の中と外から冷えてしまってかなりしんどかった。

 浜頓別あたりから風が強くなり、よく視界に止まるようになった風力発電の風車も景気良く回っている(気温11℃、風速7m)。この風でこれまでに集めたホクレンの旗が全部飛んでいってしまった。ぱっとしないクッチャロ湖を通過し、ただそれだけの宗谷岬に到着。

天邪鬼なんで後ろから
北端モニュメント(裏)

 宗谷岬はくだらない写真を撮っただけで稚内方面に向かう。「オホーツク海の影響があるところは天気が悪い」と誰かが言っていたが、それを証明するように西に向かうほど天気がよくなり、利尻富士まで見える。宗谷岬〜稚内は地の果てっぽい雰囲気だ。

 納沙布岬に着いて、ようやくこれ以上北に行かなくて済むとほっとする。同じキャンプ場から出発してニアミスを繰り返していたRaidの人が居たので話し、サガレンはバイクをガレージに置いてくれると聞き今日の宿泊先確定。腑抜けだから風が強いのはヤダ。


 南下してホクレンで最北端の旗を貰い、夕日が丘パーキングで利尻富士をじっくり観賞。翌日も利尻富士は見れたけどここ場所が一番良く見れる。日本海側を北上し、童夢温泉(\600)に入る。値段に見合ったえらく立派な、というか巨大な施設で(こっちとしては小汚くてもリーズナブルな方が幸せだが)やたら混んでる。またしても二日分の垢をしっかりと落としてから、納沙布岬経由でサガレンへ。この高々5km5分程度の走行で湯冷め状態。

写真ではぼんやりしてる
利尻富士

 サガレン(\1500)に荷物を置き、夕日の写真を撮るため岬へ歩く。寒い中、じっと風に耐えていたというのに、撮り頃になってから雲が出てくる。一時間の苦労が水の泡。RHに戻り情報交換を含む雑談を楽しんだ後、就寝。

イマイチ
ノシャップから

 7月20日

 6時過ぎに目を覚まし、出歩いてたばこを何本か灰にしてから出発。オロロンラインをひたすら南下する。好天の下、良い道を走っているのだが何分長距離過ぎてツライ、と言うか10分くらいで飽きる。道南に上陸してとりあえず北上、という人が多いのか対向車線にバイクが多くピースサイン出しまくり。海岸線を反時計回りするのはつまらないからか南下するバイクはほとんど無かった。

 退屈なので地図を見て目に付いた下サロベツ原野園地で湿原なんかを歩いてみたりする。花の時期は外れているが、緑に囲まれた静かな沼は良い。沼といえば不気味、というのを期待していたが天気が良かったので残念ながら風光明媚。湿原を歩かなくても展望台からの風景は一見の価値あり。

 天売国道には風力発電の風車が多い。時速3桁でも通過するのに分単位が必要なほど連続して設置されている風車は圧巻だ。そんなものがあるくらいだから当然風が強い。そしてその風よりもトラックとすれ違うときの巻き込み風はボケーっとしていると危険なほど強い。

実際はすんごいデカイ
風力発電風車群

 苫前町からR239で士別方面へ。このルート、道内ナンバーのバイクが多く、それなりに楽しいワインディング。走っているとチェーンがやたらとスタンドに干渉するようになったので、チェーン調整をする。が、タイア交換のときに思いっきりオーバートルクでアクスルナットを締められたらしく車載工具ではナットが変形するだけで一向に緩まない。ナットをナメるのは拙いので、干渉するスタンドを何とか下にずらして対応。チェーンの干渉はなくなるが浅いバンクでスタンドが接地してしまうのが少々気に障るが仕方が無い。

 士別市街に入りコンビニで市営墓地の場所を聞く。ここには父方の墓がある。ちなみに親戚なんかも居たりするのだが、20年以上まともに接触していないので今回は遠慮さしてもらった。風が強く、線香に点けた火で火傷を負った手を墓前に合わせる。

 朱鞠内湖のキャンプ場に向かうためR40を北上。昨日RHで朱鞠内湖は「出る」と聞いていたので、そういう雰囲気を楽しむつもりだった。名寄で適当に食料を調達し、道道688〜R275で朱鞠内湖キャンプ場へ。朱鞠内湖は湖南にある朱鞠内パーキングより陰の沢橋からの方が良く見える。見えたところで変な形の人造湖でしかないんだけど。

 朱鞠内湖キャンプ場は\500の割には林間のサイトは道が荒れ気味で、乗り入れは可だったがカタナではちょっと難儀。コインシャワーとコインランドリーがあったので、洗濯と洗体を済ませてからぼそぼそと食事。沢山のファミリーキャンパーの明るい雰囲気で出るも出ないも無い状態。

 うるさくて眠れないかと思ったが、ビール一本で呆気なく就寝。

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2003年10月30日作成
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