北へ 四


2003年07月12日〜08月07日
こういうのみて反射的にキレーとか言うヤツはダメだ
富田ファーム

 7月21日

キャンプ風景
朱鞠内湖C場

 7時ごろ起き出すと霧。またかーと思って朝食を摂っているあいだに文字通り霧散。湖畔だからか。比較的暖かい内陸をR275で南に下るに連れて蕎麦の畑が目に付く。適度なワインディングが楽しい道道72号で旭川へ。

 旭川市街へ入り出発前に住所を調べておいた秀岳荘へ向かう・・・が、整然と区別されている所在はかえって分かり辛くて交番で道を聞く。教えられた通りに走って秀岳荘へ辿り着き、穴が空いて使い物にならなくなった空気枕と、開陽台で自慢されて欲しくなったLEDライトを購入。ここで整備がしっかりしてそうなバイク屋を訊くとすぐ近くにSBSがあるとのことだったので、これ幸とすぐに向かう。

 こちらとしてはアクスルナットを緩めてもらうだけで良いのだけど、「それだとお金取り難いですよねぇ」と自爆してチェーン調整(\840)をしてもらう。ツーリング客相手だけに話が弾み、その流れで「旭川って言ったらやっぱりラーメンですよね?」と言うと、店の兄ちゃんが地図を出してきて色々教えてくれる。ここからは一番遠いがお勧めの「蔵」に行く事に決める。

 正午を30分ほど過ぎて「蔵」に着くと、店の前で3人待っている。昼時ならこの程度は当たり前なのでおとなしく待つ。ちなみに長い行列なんかができてたらどんなに美味かろうが絶対に行かない。一人なのですぐにカウンターに案内され塩チャーシュー麺を喰う。お勧めだけあって美味い、美味いが僕はこってり味濃い系(今流行ってる味)は好みじゃないので途中で飽きた。

 少々寄り道をしてしまったが、旭川の目的である井上靖記念館へ。僕はいわゆる文学と呼ばれるジャンルは作品で読む事はあっても作家で読む事はあまり無い。井上靖はその例外の一人だ。記念館には原稿や書簡などごく一般的な内容だが、入場無料なのに充実してる。何よりも職員(?)の人たちが井上靖の事を「先生」と呼ぶのがグッときた。グッときたので栞をセルフお土産に購入。

 ここで思いのほか時間を喰ってしまったので、前にタダで設備もしっかりしてると聞いていたRHブンブンハウスへ行く事にして市街を離れる。途中のスーパーでコシヒカリの無洗米2Kgとパックの味噌汁と夕食のおかずを買い込む。普通の米は1kgから売っているで荷物にならないのだけど、使い勝手が良い事から邪魔になると知りつつ無洗米を選択。

 ブンブンハウスにつくと開陽台に居たジェベル乗りの人がいてビックリ。一月くらい連泊すると聞いていたのでどうしたのかと尋ねると、テントのポールが折れたので秀岳荘に修理しに来たとのこと。コインシャワー&コインランドリー(乾燥機あり)で洗体と洗濯を済ませ、アルコールの買出しに。数人の自炊する人達と外の炊事棟で夕食と酒盛りを楽しむ。が、寒いので比較的早くお開きになりそのまま就寝。

 7月22日

デジカメではこれ以上引けない
羽衣の滝

 5時過ぎに起き出す。まだ寝てる人を起こさないように静かに部屋を出て、もう起きている人達と朝らしい会話を交わして7時に出発。すぐ近くのコンビニでパンとコーヒーとニコチンを摂取。身が引き締まるような寒い朝に、知らない空の下でこうしてたばこを飲んでるとツーリングをしているということをしみじみと感じる。

 R39〜道道37号で旭川市街をパスしてとりあえず大雪山方面へ向かう。道道212号の分岐で柱状節理の露頭を見てみようと道道213号を進むと、木々が道を覆うように茂っていてまるで緑のトンネルのようだ。頻繁に現れる柱状節理を眺めながら行き止まりの天人峡の駐車場へ。遊歩道を息を切らせて歩いて羽衣の滝へ。それまでは晴れていたがこの辺から雲が多くなってくる。

 羽衣の滝でマイナスイオンを浴びながら(と言うほどには近づけない)写真をとった後、来た道を引き返す。敷島の滝?肝心の天人峡?歩くのが面倒なのでパス。ライダーハウス泊だとテント撤収分の時間が浮くので予定してなかった朝日岳にも行ってみる。こちらの道道は豪快なワインディング。センスタを低い位置で固定しているため早めのクルージングペースでもガリガリと擦ってしまう。仕方なくハングオフ気味に走る。かっちょわりぃ。

 駐車場にバイクを停め、旭岳ロープウェイ(往復\2800)に乗る。立派なロープウェイらしく大きくて早くて液晶テレビがある(あぁ感想が子供じみてる)。上に着いてみるとガスが出ていて旭岳は見えないし、噴煙とガスの区別もつかない。それはそれで残念だけど、これだけの事で高山帯の景観が楽しめるだけでも十分だと思うべきだろう。周遊道を高山植物を見ながら一周し、丁度一時間で下りのロープウェイに乗る。しかし周遊道の荒廃は酷かった。

噴煙とガス
旭平にて

 R237に出て南下。晴れてきたので美瑛で新栄の丘に立ち寄る。曇りでも雨よりかはマシだが、やっぱり晴れているほうが気分が良い。道道966号で十勝岳へ。望岳台に立ち寄るが、山手はガスっていて十勝岳は見えないが、この荒涼とした雰囲気は良い。

 白金温泉〜十勝岳温泉間は乗鞍チックな高山ワインディングで寒い。「北の国から」は一度も見たことが無いので吹き上げ温泉はパスして北海道最高所の十勝岳温泉へ。十勝岳パーキングの展望はイマイチ、と言うかここは登山口か。温泉(\800)は露天があり、ここからは十勝岳が良く見える。僕が見たのが山塊を覆うガスだけだったが。

 富良野に下りて富田ファームへ向かうと次第に渋滞。今がまさにラベンダーの見頃だから当然と言えば当然だがすごい車の量。近くの公園にバイクを停めて、少し歩く。野郎一人でお花畑って・・・。行ったという証拠写真を収めて、シャーベットのようなメロンソフトを頬張りつつ花園を後にする。

 次いで富良野ワイン工場を見学。当然飲めない。なかには飲んじゃうヒトもいるだろうけど、僕はアルコールのバッファが非常に少ないので我慢する。手ぶらってのもしゃくなので何本か家に送る。帰る頃には間違いなく家族に飲み干されているだろうから、結局自分では飲めないのだけど。

 さらに南下してブラックマークと狐の多いワインディングの道道465号を抜けてかなやま湖畔キャンプ場(\500)へ。芝のサイト、豊富な水場、綺麗なトイレと金山湖の景観となかなかのキャンプ場。その上バイクが僕一人しかいなかったので、屋根のある貸し自転車置き場にバイクを置かせてもらった。テントを設置して、向いにある温泉(\360)で入浴。この温泉では食事もできるが夜7時までだったのでアウト。えーと、ラドン温泉って紫だっけ?

 日が暮れてから風が強くなり、やたらと寒いのでレトルトのカレーを喰ってその熱が冷めないうちに寝袋に入って就寝。風除けに荷物運搬用のリヤカーをテントの風上に置いて寝るあたりが小賢しくて僕らしい。

 7月23日

 6時過ぎに起きる。朝日がテントに当たってるのを見るのは今回初めてじゃないだろうか。ぼんやりとした頭でたばこを飲みながら久しぶりの朝の晴天を楽しむ。前に道の駅で買ったカニラーメンで身体を温めてから出発。冷たい空気と朝の澄んだ陽射しひ映える緑とワインディング。ツーリングって楽しいなぁ。

 R237を南下していくとまたしても曇り。日高にかかる雲だ。R274は一部登坂車線があるものの基本的に追い越し禁止でペースが上がらない。穂高トンネルを抜けると雲の中。朝の爽やかさはこっそりとドコかへ消えてしまった。

 夕張のちょいと先にある千鳥ヶ滝を見る。特異な地形と相まって面白い。周囲に展望台や周遊道が整備されているがそれより吊り橋からが全景を一望できて良い。R452〜道道38号で黄色いハンカチ広場を見る。「虎さん」シリーズや「学校」など少々甘過ぎるものもあるが、山田洋次監督の作品は基本的に好きなので。ここの健さんはいつから、そしていつまで飯喰ってんだろう?

橋の上から千鳥ヶ滝
千鳥ヶ滝

 北上して石炭の歴史村へ。炭鉱跡に入りたい、それだけ。800円払って、展示はろくに見ないで炭鉱(再現?)へ。数十メートル降りるだけなのに、千メートル降りるだとか効果音だとかのエレベーターの演出に脱力しつつ炭鉱跡へ。穴は良い。暗いし、じめじめしてるし。

 夕張と言えばメロン。と言う事で喰いたいのだけど箱売りの店ばかり。仕方なく適当な店に入って「喰えますか?」と聞くと切ってくれるとのことなので、昼飯代わりに半個貰う、500円也。この店の一番安いのが一個1500円なので良しとしよう。客がメロンの送り先を伝票に書いている横にパイプ椅子を出してもらってひたすら喰う。変なヤツを見るような目で僕を見るな。

 岩見沢まで北上して叔父の家に電話してみると留守電。できれば立ち寄りたくないのでほっとして今日の宿を考える。札幌観光には時間がやや遅く、安い宿の情報も持ってないので札幌からあまり遠くない無料の江別市森林公園キャンプ場に決定。

 やたら奥まったところにあるキャンプ場はそれだけに静かでタダの割にはなかなか良い。シャワーとかは無いので管理人のおっちゃんに近道を教えてもらって15分ほど走って森林公園温泉(\370)で入浴。今風の綺麗な温泉で露天もあって快適。となりのスーパーで食料を買ってキャンプ場に戻る。

 夕食を終え、天気予報を見ようと携帯の電源を入れるといきなり着信。この番号を知らないはずの叔父からで、押し切られて翌日叔父の家に行く羽目に。わざわざ実家に僕の携帯番号を教えてもらうと言うのも予想外だし、使うとき以外電源を入れない携帯にあのタイミングでかかってくる事といい人智を超えた何かを感じる。ため息とともに就寝。

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2003年11月06日作成
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