北へ 誤


2003年07月12日〜08月07日
こんな青い海を見たのは初めてだ
神威岬を望む

 7月24日

 6:30起床。札幌に寄ってから叔父の家に行くだけなのでのんびりしたい所だが、サイトの芝刈りをする日にあたってしまったのでそそくさとテントを撤収して出発。R12で札幌へ向かう。朝だけに出勤中の車が多く、この辺は大学がいくつかあるので通学中の学生も沢山歩いる。こういうのを見るとふらふらと走り回っている自分が何か浮いているような気がする。

 市街に入り、札幌駅に行くつもりが道を間違えて道庁前へ。一応この古くて有名な庁舎は見たいと思っていたので満足。規則性がよく分からない一方通行に困りながら何とか駅前まで辿り着き、駅舎に入って札幌の観光地図を貰う。と言っても市街をゆっくり観光するつもりはさらさら無く、モンベルクラブショップに行くのが目的。これまでにペグを一本折り、一本を戻したら折れそうな程曲げてしまっていたので買い足そうと思っていた。

 店はサッポロファクトリーにあるので、ついでに札幌ビールの工場を眺める。生憎ショップにはペグは置いていなかった(商品としてペグを用意してないらしい)。同じビルにあるダイソーで細かい買い物をして、これもあらかじめ調べてあった石井スポーツへ。地図では近いのだけど、またしても一方通行のせいでえらい遠回りをする羽目に。若干長いものの、ムーンライトと同じ形状のペグを買う。

 札幌駅で調べたバイク屋でオイル交換。空冷のバイクにはこの時期固めのオイルを薦めてるんですが・・・と言う店員に「むしろ寒いし。暖かくならないでしょ?」と偉そうに切り捨てて10W-40のオイル(WAKO'S製、ex-cruise、SLグレード)で交換を依頼する。店名は忘れてしまってもオイルの種類、値段、工賃あたりをしっかりとメモって置くあたりいやらしい性格の面目躍如と言った所か。

 R12を北上して美唄へ。ここは日本で一番長い直線らしいが、交通量が多く、建物が多いのでなんかこう「うわーっ」ということがまったく無くてつまらない。そうして走るうちに美唄に着いたので、交番で叔父の家の場所を尋ねて指示通りに行く。幸い叔父の家には同い年の従兄弟が居て、何かと気を使ってくれたのでそれほど気まずい思いをしないですんだ。

 ささやかな宴会をしてもらった後、従兄弟が含みのある表情で誘ってきたので彼の車で一緒に出かけることにする。彼とは実に20年ぶりくらいで会い、その間何の音信も無かったのだがなんとなく通じるものがあるのかすぐに馴染む事ができた。R12を札幌方面へ向かいながら、下らない話を交わすうちにすすき野に話が及んだ。彼によるとすすき野は料金は安いし、若くてキレイな娘が多いと言う。少し前まで川崎で働いていた彼の言なので十二分に信用できる話だ。

 さて、この先の行動について特に男性諸氏にとっては大いに関心を持つだろうが、僕はここでこの日についてはこれ以上書くのを止めてしまうのである。

 7月25日

 客間の暖かい布団で寝ていたがツーリングの習慣で6時過ぎに目を覚ましてしまう。睡眠は不足していたがあまりの静けさに一瞬自分がどこに居るのか分からなくて猛然と起きてしまったので二度寝もできなくなった。まだ叔父の家族は皆寝ているようなので静かに外に出てバイクの整備を始める。

 チェーンのクリーニングと給脂、可動部の給脂、バッテリ液の補充と久々に細かめの整備を行う。一泊以上のツーリングには最低限のメンテナンスを行えるだけの用意はしているし、バッテリに関しては経験からそろそろバッテリ液が減っている頃だろうと昨日ダイソーで補充液を買っていた(この予想は見事に的中し、両側のセルはLOWERレベルのラインぎりぎりまで液面が下がっていた)。一通り整備が済んだ頃に朝食に呼ばれる。

夜景も見たかったなぁ
毛無山から小樽市街を一望

 僕としては直ぐに発ちたかったが、それもどうかと思い朝食後しばらく歓談してから10時過ぎに出発。札幌まで戻ってR5で小樽へ向かう。小樽でR393を南下して毛無山の展望台へ。小樽市街が一望できてなかなか宜しい。風景に興味が無くてもこのワインディングは地元の人も走り込んでいるくらいなのでお勧め。

 小樽市街に戻り運河を見る。完全に観光地化していて沢山の観光客とそれに負けないくらいのストリートパフォーマーで賑やか。運河は深い緑色の水を静かな水面に見せていて、周囲の雰囲気とのコントラストが際立っていた。

 市街から少し西にあるオタイモ海岸へ。断崖絶壁に穿たれた遊歩道を歩く。硬質な迫力があり、上を見て露出した岩石、下を見て透きとおった海を堪能する。遊歩道の終端まで行き、海水をひと舐めしてから引き返す。数年ぶりの海水は普通にしょっぱかった。

運河の水面は穏やか 露出がキツイ
小樽運河 泳げるオタイモ海岸

 R229を西進。小樽を過ぎてから雲がどんどん少なくなってきて、蒼い空と海と緑。なかでも海の色は東京出身で埼玉在住であるところの僕にしてみたら感動する以外ないと言ったところ。ま、比べる対象が芝浦の海でじゃぁ館山の海でも十分キレイに見えてしまうが。積丹に行く途中にろうそく岩というのがあるんだけど、これがちっとも観光名所じゃないらしく看板の一つも無い。トンネルのある突端の先にあって小樽側からのほうが近い。僕は気が付いた時にはトンネルに入っていたので遠くから眺める事になってしまった。

もっとオレンジだったのに
夕方なのにそうは見えない積丹

 積丹町に入ってハイヤー会社でウニ丼の店を確認してから道道913号で積丹岬へ。駐車場の直ぐ上のトンネルを抜ければ海が見えるのでそれを一目見ただけで、残りは明日にしてキャンプ場を探す事にする。地図を見ていると、途中で何度か見かけたDT250WRの人が来たので話し掛ける。ここにも有料のキャンプ場があるがこの先の道営のキャンプ場が無料らしいのでそちらへ行く事にする。

 野塚野営場は海水浴場直結のキャンプ場でファミリーキャンパーが沢山居たが、悪くは無かったので先ほどのDTの人と隣り合って(というかスペースが無かった)テントを張る。道路向こうにある温泉(\600)で塩臭い温泉に浸かり、一緒に夕食を摂る。2ストでのツーリングは珍しいので理由を尋ねると、ずっと全日本のGP(125と250のどちらかは失念)でレースをしていたため2ストの方が良いとの事。

 この兄ちゃんとは気が合って、イカ漁の漁火を眺めながら実に多くのことを語り合ったが結局僕は彼が誰であるかということを確認しなかった。こうした配慮の足りなさはまさに子供の付き合いと同じだが、僕らが子供だったからか、または童心に帰っていたからなのかはよく分からない。今思うと少々残念だが、もし後者の理由であればそれでかまわないと思う。

 7月26日

 6時過ぎに起きて外でコーヒーとたばこを飲んでいると、おばちゃんからサラダとゆで卵を恵んでもらう(あれ?書き方が卑屈になってる)。これをDTの兄ちゃんと分けて喰ってから、もう少し日が高くなったら泳ぐという彼と別れて積丹岬へ戻る。

逆光です
萌える緑の遊歩道

 岬は遊歩道を延々と歩かねばならないらしい(積丹岬そのものは見えなかったかも・・・)。意外とアップダウンの激しい遊歩道を歩いて武威岬を見て、さらに先を目指すがいい加減なところで面倒臭くなって引き返す。道道913号を戻って昨日ハイヤー会社で聞いた丸正食堂でウニ丼を喰う。ムラサキウニと馬糞ウニと両方あって、馬糞ウニの方は「時価」。聞いてみると\3,800という何回分と言うより何日分と言った方が正しい値段。一生分と考えて敢然と注文する。美味しゅうございました。

 R299をキャンプ場まで戻るとまだDTとテントがあったので覗いてみると、上半身裸でまったりしてる。「この気温でホントに泳いだのか!」と驚く。暖かく感じるがあくまで相対的なもので実際には20℃を幾らも越えていないのだ。彼も水が冷たくてほとんど泳がずに水に入っていただけだと言う。方向は同じだが身体を暖めてから出発するというので先に出る。

着色せずにこの色
神威岬から

 10分ほど乗って神威岬の駐車場へカタナを停める。ここもまた歩かねば岬は見えないのだが切り立った岩の尾根にある歩道は楽しそうだし、何より先が見えるので我慢できるだろうと歩き出す。ここもアップダウンがきつくてたばこと運動不足に汚染された身体はたやすく悲鳴を上げる。汗だくになって何とか岬の先端まで辿り着くと、お釣りが要るほどスバラシイ青い海。その青さといったら後で写真を見たら加工したんじゃないかと疑うくらい嘘っぽい色だった。

 海沿いを南に下り、岩内から内陸へ向かいニセコパノラマラインを走る。これは北海道にいる間ずっとそうだったが非常に雲が出やすくて、晴れていても山では低い位置から雲が掛かっていた。パノラマラインもそうでワインディングを楽しむには問題なかったが景色を楽しみたくてもそれだけの視界は雲に遮られてしまっていた。

 道道58でニセコアンヌプリを掠めた後、羊蹄山の南を抜け洞爺湖へ向かう。洞爺湖の北にある武四郎坂パーキングからは距離が近い(というか洞爺湖がデカい)のと木が育ってしまっていて全景を見渡す、というわけには行かなかった。洞爺湖北岸のとうや公園キャンプ場に行くが、すごい人出でスペースが確保できない。曙公園キャンプ場も同じ状況だったので、東岸にある仲洞爺キャンプ場(\300)に行く。

天気は下り坂
キャンプ場からの洞爺湖(中島)

 こちらの混んでいたがまだ余裕があったので湖畔からは一番遠い位置にテントを張る。側にある温泉(\350)に入ってから、テントを設置しているときに話した札幌のBMW乗りの一緒にささやかな宴を張る。お互いにパックのジンギスカンで向こうはフライパン持参だったので一緒にやっているとこちらも道内のGSX-Rの兄ちゃんも合流。

 BMWの人はツーリングで嵌って、というのが主な理由ではないけど大阪から移住してきた人でGSX-Rの人は道産子の人。札幌あたりからだと洞爺湖のあたりは一泊ツーリングに丁度良いそうな。上陸ツーリングの人は少なかったが、あまりのファミリーキャンパーの多さに敬遠したのだろうか?

 なんにせよこうして道内のライダーと話す機会はあまりないので、この機会を存分に楽しむ。向こうが気を使ってくれて11時頃にはお開きになったが、あちこちで宴会が続いている。近くには発電機を持ち込んでいる輩もいてうるさい。そこまでするくらいならキャンプなんてしなきゃいいのに。

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2003年11月13日作成
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