屁理屈 Kaikou. あなたにはあなたの世界人の世界は十人十色である。世界は個人的に経験し、解釈するもので、同じ世界を生きている者は、実は一人も存在しない。 物理的に同じ経験をしても、意味の与え方が、個人毎にすべて異なるからである。 極端な話、死ぬような目にあっても、困る人と、困らない人がいるくらい、世界の受け止め方は多様なのだ。 まして人間模様においておや。 人は他人と同じでありたがる動物だ。他人と同じ出来事が、自分にもなくてはいけないと、かたくなに信じている人は数多い。(もっとも他人と同じ不幸は、かたくなに起こって欲しくないようなのだが) だが個人は個人の世界を生きる。個人に起きる出来事は何一つとして他人と同じではなく、他人と同じように自分にも起こる出来事はない。 出来事の解釈は、個人毎にすべて異なる意味の与え方をされるからである。他人に起きたのと同じ事が自分に起こっても、それは、他人と同じ出来事ではない。他人と同じ経過はたどらないし、他人と同じ結果も出ない。 個人は他人とどれだけ同じ人生を歩もうとも、他人のようには生きられない。 この世の出来事はすべて、自分にだけ起こる、自分に独特の、個人的なものである。 だから、個人は自分に生起する自分だけの世界にしか生きられない。他人と同じような出来事が、どれだけ起ころうとも、あるいは起こらなくても、である。 あなたの生きる世界は、あなたにだけ起こる、あなた独自のものなのだ。 あなたが生きている限り、あなたはあなただけの世界を生きる。あなたにしか起こらない、あなた独自の世界を生きる。 それを他人と較べることには、根底からなんの意味もない。 他人がどのように生きていようとも、あなたはあなたの世界をしか生きることはなく、そこに優劣の差はない。その差は、優劣の比較し得る差ではなく、比較のできない、絶対的な差なのだ。いいもわるいも、存在しない。 あなたにはあなただけの出来事が起こり、それがあなたの生きる世界だ。 (…なんだか新興宗教みたいだな) 個人は自分に起こる出来事をしか経験しない。世界は個人において「起こる」ものであり、他人と同様に起こるようなことはない。だから、世界は個人的な、個人独自のものでしかない。悲しむべき事でも喜ぶべき事でもなく、それは、そういうものなのだ。 ただ、人々の多くは「他人の世界」が「自分にも」ある、と思いこんでいるだけである。たぶんそれは、少し不幸なことだ。 2001/05/19 |
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