日繭
記八



1996年9月

(9/1) 文学部日本語日本文学科と言うところにぼくは通っていました。 古典ゼミで、能で卒論を書いたのですが、能は一回しか見にいきませんでした。古典をやろうと思ったきっかけは馬場あきこさんという方の書いた「鬼の研究」と言う本と夢枕貘の平安時代を舞台とした作品群なんかがきっかけでした。「鬼の研究」では、日本の文献で最初に出てきた「鬼」と言う言葉から現代に続く能の中に登場する「鬼」まで幅広く紹介されていてそれほど難しい内容でもなく面白く読めますよ。


(9/2) 小学校5、6年のときの担任の先生に、日記を書くことを仕込まれて以来不定期ながらも日記帳やら手帳やらただのノートの片隅に日記らしきものを書くようになりました。 その先生にはものすごくお世話になったのですが今も元気で先生をやっているのかしらん。5年6年の2年間で大学ノート10冊分くらいの日記が手許に残りました。いまでもたまに読み返すとその頃の事を思い出します。


(9/10) 大友克洋の「MEMORIES」が借りたかったのだが、生憎なかったので、迷った結果、「マクロスプラス」の劇場版を借りる。OVAは、30分くらいで1本になっていて、全部見るのに5本も6本も借りなくてはいけないから嫌いだ。しかも1本目は大抵気合いが入っていてクオリティーが高いものだからそれが維持されているだろうと続きを借りると巻を追うごとに刊行が遅くなり質も下がりそれでも見初めちゃったものだから全部借りなきゃかなぁなんて悩まされるのが落ちだから。劇場版ならいいとこだけ2時間でつないであるのでその点評価できる。お話しはそこそこ、元がOVAで長い時間をかけて制作しているせいか、キャラクターの整合性がなかったり、顔がかわっちゃっていたりするところもあ ったがまぁいいや。戦闘シーンは素晴しかった。劇場版「マクロス」の戦闘シーンもすごかったが、良くあれだけのミサイルを動かせるものだと感動。


(9/14) 「ノートルダムの鐘」を見てきた。久しぶりに良質の『物語』を堪能できた。これまでディズニーが好んで取り上げてきたファンタジーやおとぎ話の世界はないシリアスな世界。(その芽は「美女と野獣」「ポカホンタス」あたりの作品から育ってきたものなのだろうが)パンフレットの監督インタビューでは「一番描きたかったのは人が人を裁くべ きではないということと、人間は寛容さを持つべきだってことなんだ。それと、人間が生まれ持ったものについて差別するのはマチガっているということだね。」と語っているように、究めてテーマとしては重たいものを扱っていながらも、子供も楽しめる娯楽性をも持ち合わせている作品造り。ディズニーアニメのディズニーアニメたる由縁である

日本でいえばアニメ界の押井守監督が「パトレイバー2」や「甲殻機動隊」見せたような原作の設定を借りた、物語の再構築と同じことがここでも成されている。が、押井作品のようなターゲットを絞った狭い世界を深く掘り下げるという作品の作り方ではなく、もっと一般的な面白さを追及した作品作りであったと思う。

押井守の作品も好きなんだけどね。


(9/15) 両親を成田空港まで送る。2回目のハネムーンだそうな。すっかりバカンス気分になっている。夏休みをずらして今くらいにとっている人が多いのだろうか、予想以上に海外に遊びにいく人が多い。僕も旅国にいきたい気分になってしまった。

成田の帰り弟と池袋でカメラを見た。先日たまりにたまっていた昔の写真を整理して以来自分でもきちんと写真をとりたくなって、一眼レフカメラがほしくなったからだ。キヤノンのイオスニューキスを狙っているのだが、新製品だけにまだ値崩れしてない。5、6万くらいで買いたいのだけどなぁ。まだまだ無理そうだな。


(9/16) 昼飯にはカルボナーラを久しぶりに作った。チーズを少し大目にして、牛乳も少しいれる。まぁまぁの味。

午前中「美女と野獣」を見る。「ノートルダムの鐘」を見たあとだと、少し映像的に劣りを感じてしまう。技術は日々進歩してるんだなぁ。久しぶりに見たので面白いことには面白かった。「ノートルダムの鐘」の四季晩のサントラをが買う。聴いてみるときちんと四 季節になっている。不思議なものだ。

夜「告発」を見る。ケビンベーコン&クリスチャンスレーター。ケビンベーコンの熱演に目を奪われる。すごい役者だなと思う。対して、クリスチャンスレーターには魅力をかんじなかった。インテリの役は彼にはあまり似合わないと僕は思う。「トゥルー・ロマンス」のようなやんちゃなチンピラがお似合いなのでは?


(9/17) 2度目の新婚旅行と洒落こんだ両親から連絡がちっとも来ないので野暮なのは承知でこちらからフランスのホテルに電話をかける。フランス語で女の人が出る。日本語か英語か話せますか?とうろ覚えの英語で聞く。がーん、英語しか話せないって・・・。

「お宅のホテルに泊まっているであろう僕の両親と話しがしたいんだけど、僕は彼等のルームナンバーがわからない。だからあなた調べてくれないかなぁ。」と言うことを伝えようとがんばったのだが、じぇんじぇん駄目。あきらめて切ってしまう。

で、フランスのおじさんのところに電話する。おばさんが出てきて(フランス人の)このおばさんは少し日本語がしゃべれるので助かった。うちの両親に日本まで無事の便りを知らせろと伝えてほしい。と伝言を託す。いやはや、かなり疲れた・・・・・・。

深夜「クリムゾンタイド」を見る。ジーンハックマン演じる頑固艦長とデンゼルワシントン演じる考え深げな副長の主導権争いが一番のみどころ。展開はすぐに読める陳腐なものなのだがデンゼルワシントンがかっこよかったのでいいや。


(9/18) 仏からの電話で起きる。メッセージはきちんと伝わったようで嬉しい。が、朝の7時前にかけてくれと言うのは少し無理があったようだ。寝ぼけていて何を話したのかよく覚えていない。あちらはとてもにぎやかで楽しそうな雰囲気だったのは覚えているな。

少し早めに帰ってきてゆっくり風呂につかる、柄でもなくそのまま風呂の掃除を始めてしまった。勢いづいて洗濯、洗い物に突入する。家に自分一人だとやはりこういう家事もやらなくちゃならないという気持ちになるみたいだ。


(9/19) 昼飯に寿司を食いに行ったのだが、真っ昼間から若い兄ちゃんが、ビール飲みながら赤貝だのうにだのサバだのぱくぱく食っていて驚き。優雅なものだ。こちらはしがないランチ盛り合わせを食っているというのにねぇ。


(9/20) 親父のNEC98を借りて作成していた昔の人形劇の資料を3.5インチFDにコンバートする作業を午後いっぱいかけて行った。「影との戦い」「桜の森の満開のした」、卒論用に入力していた文章等98方式で保存されていた文章をDOS/Vを通してMacintoshに持ってくる。昔の文章でなんかしようというわけではないのだが、5インチディスクで保管 しているといざというときにすぐに読めないかなぁと思っての作業だ。夜は酒をのみにいく。久しぶりに楽しく飲んだねぇ。


(9/21) おはよう。が夕方3時だった。9時間寝ただけで自然に起きたんだから、昔に比べたらたいへんな進歩かもしれない。いつものようにE-mail確認して船さの巡回。朝昼兼用のめし食って、今は昨日飲みにいっちゃって中断していた日記をつける。ゆうべ見はぐった「スピーシズ」「パルプフィクション」を見る。

「スピーシズ」は、ギーガーがクリーチャーのデザインをしていると言うことのほかには魅力のない話し。ギーガーのデザインもありきたりになってしまっている今、何の衝撃もない。クリーチャー役のねぇちゃんが色っぽかったくらいかな。

「パルプフィクション」は、2度目なのだが、今回も面白く見ることができた。破天荒なストーリーの展開に今回も浸りきって見ることができた。ジョントラボルタもかっこよかったが、女性人がどれもきれいで色っぽくてよい。BGMのセンスも、もろ好みだったりして楽しい2時間30分だった。


(9/22) 前夜から雨は強くなりはじめていた。台風17号が関東地方に近づき、この日は朝から大荒れの天気だった。11時ごろ起きると宅急便の不在通知がポストに入っている。何だ?と思って見ると先日インターネットで注文した珈琲の豆である。10時半ごろ配達に来 ましたがどなたもいらっしゃらないようなので荷物はもって帰ります。だって。ちくしょーあと30分早く起きていれば煎りたての豆で朝の一杯目の珈琲が飲めたのにーと地団太をふむ。

宅急便に電話すると、台風のせいで、現在配達をやめているという。あーあ。配達できるようになったら配達してほしいと頼む。台風の影響で交通機関大いに乱れ、出かける予定もポシャリ、珈琲が来ないか来ないかと車の音を気にしながら過ごしたいちにちだった。 結局珈琲はお預け。


(9/24) 帰宅すると1週間振りに門灯がついている、両親が帰国したのだ。鍵を開け、居間にはいるとあたり一面長旅の荷物だらけ。親父の弟がフランス人と結婚しその息子の結婚式に行くのがメインだったのだが、それ以外の観光もとても楽しかったようだ。日本の結婚式は、新郎新婦が何度もお色直しをするが、あちらでは、新郎新婦は、朝からずっとタキシードとウェディングドレスで、招待されているお客さんのほうが場所に合わせて (教会、パーティー)衣装を変えるのだそうな。


(9/30) しんや、えすわいと、はらと、はらの弟と4人でラーメンを食いに行った。習志野第中学校そばの小さなラーメン屋。深夜までやっていて、遅い時間にもタクシーが列を作ってならんでるという店で、腹も減ったし、うまいかどうか一遍食べにいこう!と、なったのだ。あいにく僕らが家を出た深夜12時近く、またもや台風が近づいてきている影響で雨が強い。にもかかわらずラーメンやはお客でいっぱい。「ちょっと待ってもらえます?」と、雨の中10分近く待たされた。やっと入れた店内は15人も入れば一杯というほどに小さな店で、厨房に二人と運ぶのに一人のけい3人の店員でやっているようだ。 僕は塩バターラーメン。えすわいはとんこつベースのにんにくラーメン。 はら兄弟はトン骨チャーシューラーメン九州育ちのはら兄弟にも少し物足りなかったようだが、とてもうまかった。ラーメンに満足してすぐ寝てしまった。満腹満腹。



繭八庵
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