日繭
記八



1996年11月

(11/1) 朝からの雨です、しかも寒い。こんな日は家から出たくなくなります。会社につく頃には結構濡れ濡れで肌触りが非常に気持ち悪い。それでも昼飯は外で食いたくなるのが不思議なもので少し強くなった雨のなか傘をさして表に出ます。中野区役所が会社のそばにあって今日はなぜか区役所の食堂で飯を食おうじゃないかということになりました。区役所のなかにはおじちゃんおばちゃんおじいちゃんおばあちゃんばかりたくさんいて、食堂も職員はあまりいなくそのおじちゃんおばちゃんばかり。食堂にはいるとすぐに食券売りののおばちゃんと食券の自動販売機とか並んでいて、なぜかみんな食券売りのおばちゃんのところに並んでいるのです。大学の学食みたいだと僕は迷わず自動食券販売機のほうへとすたすた歩いていき、今日のお薦め定食。「かじき鮪と天ぷら定食」670円を購入。お盆もお皿も安っぽいビニールのテーブルクロスのかけられたテーブルも学食そのもの。違いは学食にはなかった爪楊枝がテーブルの上にあるくらい。味もそんな感じで何だか懐かしい気分になりました。お値段は学食よりも少々お高めだったけどね。そしてまた冷たい雨に降られながら会社へと戻るのでありました。 


(11/2) 僕の所属していたサークルでは学園祭で、グランドに巨大迷路を作ります。(人形劇や紙芝居や素話しもやるのですが)21メートル×35メートルくらいの巨大なものです。机を大体1000個近く並べてそのうえに段ボールを180センチ位まで積み上げてコースがわからないようにします。この積み上げようの段ボールを大体9月の後半から集め始めます。大学近辺のコンビにやスーパー、電気やさんや自転車やさんよくわからない卸しの業者さんのところを回り膨大な量の段ボールを集めるのです。その段ボールは大学のプール管理棟と呼ばれる小さな建物に集められるのですが、最終的には8畳くらいのスペースが床から天井まで段ボールが積み上げられているという状態になるのです。この段ボールを狭いスペースに積み上げていくのは結構技量を必要とされるもので、さしずめ立体版積んでも消えないテトリスと言った感じ。後輩たちの学際準備を手伝いに行き、今日箱の段ボールを狭いスペースに積まれている段ボールをもう少し効率的に積み直すという作業をしてきました。外は結構寒かったのですが、作業をしているうちにだんだん暖かくなり、暑くなり最後にはTシャツ一枚で肉体労働に従事しておりました。この段ボールの山と1000個もの机とが11月9日10日には巨大な迷路となって文教大学越谷校舎のグラウンドに出現します。どれほどすごいものか皆さんぜひこの巨大迷路に迷いにいらしてください。


(11/3) 映画「ジュマンジ」をみた。ロビンウィリアムズ主演の暴走するサイやゾウが車を踏み潰していくコマーシャルで有名なCGを駆使した映画です。ストーリーはお気楽な、イベントが本当に起きてしまうすごろくのせいでもう町中パニックパニックというエンターテイメント作品。確かにCGはすごかった。あんな双六が本当にあったらちょっぴりやってみ たくなってしまうと思わせる映画でした。でも一度みればもう満足。特殊効果ばかりが先行しているのでもなく、ストーリーだけで見せるのでもなく、ストーリーに特殊効果がばっちりはまって、みる側に「あぁ、ここがCGね」と思わせる余裕も与えないようなバランスのとれたすごい映画だれかつくってくれないかな。(ディズニーの「ノートルダムの鐘」はかなりいい線行ってる)


(11/7) 一分でも早く学園祭の手伝いで北越谷にいく事しか頭になく、そそくさと帰宅。大急ぎで何日分かの泊まり支度をして友人Gのところへ。さて、明日からお祭り騒ぎの始まりです。


(11/8) 明け方5時過ぎ希少。Gと共に大学へ。朝から作業開始。グラウンドに巨大な迷路をつくるのが僕のいたサークルの学園祭の売りの1つ。大量の机とビールケース、ダンボールを使うのだが、前の比に運び込まれ迷路のコース上に並べられ土台となる机同士、机とビールケースを結び付けていく。子どもたちが押したり蹴ったりしながら通るので机はきっちり結んでおかないとすぐに崩れてしまう。午前中はひたすらこの作業。サークルのメンバー80人くらいでこのひもで結ぶ作業に3、4時間かかるのだからその巨大さが理解してもらえると思います。出来上がった土台のうえに今度は段ボールを積み上げて壁にするのだが、午前中のはやくから降り出した雨のためにこの段ボールが積み立てられない。雨の中この作業をしても頑丈な迷路にはならないから。強い雨が無情にも降り続け、グラウンドへの立ち入りも一時禁止され、皆いらだつ。

グラウンドでの迷路だけが出し物ではない。我々のサークルはもともと4つの部会に別れていて、全体でやる迷路の他に、それぞれの部会でも発表や出し物がきちんとある。雨で迷路の作業ができないあいだ、それぞれの部会の準備に移る。僕は自分もいた人形劇部会の手伝い。明日からの公演のリハーサル。

結局雨は止まず迷路の作業は止まったままこの日は終わり。明日の昼にはオープン予定なのだが・・・。


(11/9) 6時には大学についていただろうか、雨はなんとか上がった。ぐずぐずのグラウンドの整備に時間をさく。人形劇部会公演。夜全体のOB会「石ころ会」劇部会のOB会「竹の子会」迷路はこの日、オープンできたのだっけ?記憶がない。本来ならOB会で酒飲んだり、懐かしい顔ぶれと馬鹿話したり、近況報告したりするのだろうが、気持ちはすっかり現役に戻りOB会がひと段楽した辺りで迷路の作業に戻る。


(11/10) この日も朝早くから迷路の作業。6時過ぎには着いている積りがつい寝坊7時になってしまった。土台のうえにダンボールを積んでいく作業。天気もなんとか良くなり、作業も知先が見えだして皆の顔も明るくなる。昼前には迷路オープン。今かまかと待っていた子どもたちが我先にと迷路に入っていく。「こっちだ、あ、行き止まりだ。じゃぁあっちだ」と声があちこちから聞こえてくる。

劇部は2公演。こちらも沢山のお客さんが楽しみに見に来てくれ大盛況。夕方バナナを大量購入して現役に差し入れる。学園祭は昨日今日の土日でお仕舞い。出来上がったばかりの巨大迷路をもう壊す。雨に悩まされ昨日完成したばかりの迷路だ。ほんの数時間しか迷路として機能できなかったものだ。でも壊す。完成させた充実感は昼味わった。この迷路を楽しみにしてくれていた子どもたちの笑顔も見られた。この数カ月こいつの為に犠牲にしてきた時間を返せとばかりにただひたすら壊す。明日の月曜はこの迷路の残骸の片づけだ。どこかすっきりした顔になった現役の連中と銭湯に行きさっぱりする。


(11/11) 6時起床。後片付けの為大学へ。つわものたちが夢の後。そんな言葉がぴったりの学内。ただただ辛い片づけ。昨日は降らなかった雨が夕方あたりからまた降り始める。片づけを終わらせて教室に集まり最後のセレモニー。夜から打ち上げコンパ。6時間くらい飲み続ける。酔ってはいても明日からの仕事の事は頭から離れず、たまった着替えやらを宅急便で家に送り、スーツを用意し眠る。Gの家は実に5泊したことになる。


(11/12) 7時起床。なんとか出発する。いつも以上のラッシュアワーにもまれ出勤。


(11/16) 昨晩からMacの調子が悪い。電源を入れても立ち上がらない状態が続く。パフォーマホットラインに電話をして状態を説明すると引き取り修理になるとの事。あらら。


(11/17) 有楽町まで「戦火の勇気」を見に行く。いつもと違うメグ・ライアンだった。


(11/29) 仕事の帰りに池袋に寄る。まずはパルコ。ポストホビーでサーフェイサーを探すが品切れ。しょうがないので巨大ヤクトミラージュの載っているホビージャパンの11月号を購入。次にサンシャインへ。「アップルウェルカム2マッキントッシュ」を見にだ。日本の社長やら各雑誌の編集長やらが集まって、座談会&プレゼントをやるというのでそれ目当てでいったのだが着いたころにはもうプレゼントの抽選大会になっていて面白くも何ともなかった。



繭八庵
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