日繭
記八



97年5月ですよ

(5/3) 特急さざなみで一路館山へ。マップル見たりお菓子食べたり楽しく過ごしていたのだけれど気がついたらぐっすり眠ってしまっておりました。眼が覚めるとそこはもう館山。12時30分到着。駅前のパスタ屋で昼食。シーフードパスタを頼む。館山について1時間もしないうちに魚のうまさを知りました。いか、海老、貝どれもが美味しい!バスに乗りファミリーパークへ。ここはとても広い植物園で雨が降っていなければもっときれいな所なんだろうな。ラベンダーのハーブリース造りと良い匂いのするキャンドル造りを体験。レモングラスというハーブティーも飲む。レモンの甘酢っぱい香はしっかりしているのに全然甘くないのがとても不思議。美味しかったです。スターチスという花を数本とって(これもサービスのうちだそうだ)今晩の宿「五右衛門」へ。釣民宿なので少し心配だったのだけど普通の民宿でした。ここでも夕飯に出てきた魚介類が美味しい。右隣りには東京湾で今日とってきた赤貝(だっけ)を振る舞ってくれたおじさんグループ。左隣りには奇しくも船橋から来たというダイバー夫婦。美味しく食べられました。歩き回って思っていたより疲れていたらしくすぐに眠ってしまいました。


(5/4) 宿を出て、灯台に向かうも、豪雨にはばまれ(それでも30分は歩いた!?)灯台はあきらめバスに乗り城山公園へ。里見八犬伝ゆかりの場所らしい。30分くらいでささっと見て、バスに乗り館山駅へ。駅について10時少し。十字屋だったか?靴下と毎日新聞を購入して、かねてよりきてみたかった喫茶店サルビアへ。床に新聞を一枚敷いて靴紐をとき靴の中に新聞紙を突っ込み靴下を履き替える。ほんとにぐっしょぐっしょに濡れた。深入りコーヒー、トースト、お代わりでブレンドを頼む。すげーうまかった。1時間くらいの予定が2時間近くいた。陶器のコーヒーカップも購入。鴨川シーワールドに行こうと云っていたのだけれど、渋滞でバスが何時になるか分からないと云われ諦める。海女飯屋(こんな感じの名前でした)で美味しいお昼ご飯を食べ(さんが焼、なめろうが格別に美味しかった)鴨川を散歩し、(お土産用のケーキも購入平均200円は安い)海岸へ。朝の豪雨が嘘のような良い天気で沢山のサーファーや家族連れが春の海と海辺を楽しんでおりました。ここでは写真を撮ったりして過ごす。海岸から少し走って特急ビューわかしお(だったかな)で一路東京へ。東京駅では降車直後、豪雨の中も大事に抱えて東京まで持ってきたスターチスの花束を電車の中に置き忘れたのに気付き走り回って探す。掃除のおばちゃんの控室で無事花束は保護。思わぬハプニングでした。


(5/13) 村上朝日堂のフォーラムをいろいろと読んでいた。村上春樹はもう48歳なんだってね。少し驚き。Macintoshで日記をつける。


(5/14) 「ねじまき鳥3部」読了。こちら側の世界と向こう側の世界の差異はどのように言語化されるのか。井戸は何だったのか。ノモンハンの話は何だったのか。バットはなんだ。綿谷昇の暗黒の部分とはなにか。クミコをを失ってぼくが得た一種の才能は何だったのか。疑問はいくつも出てくる。でもこれらの疑問は「世界の終り」よりも本文中にロジカルに提示され、説明できるような気がする。 「第1部泥棒かささぎ編」2章の、 「ひとりの人間が、他のひとりの人間について十全に理解するというのは果たして可能なことなのだろうか。つまり、誰かのことを知ろうと長い時間をかけて、真剣に努力をかさねて、その結果我々はその相手の本質にどの程度まで近づくことができるのだろうか。我々は我々が良く知っていると思い込んでいる相手について、本当に何か大事なことを知っているのだろうか。」 という一説にはとても考えさせられたし、今も考えている。


(5/15) J&Pでアルプスのスキャプリ購入。昼過ぎに家を出たころから雨がかなり強く降りだし持ち帰りに不安を感じたのだが店で厳重に梱包してくれたのと雨がやんだおかげとキャスターを持って行ったおかげで問題なく持って帰ってくることができた。
雨が強い間パルコの本屋(今はレッツの4Fに移ってしまったので「レッツの本屋」と呼ぶべきなのだろうが習慣でつい云ってしまう)をうろつく。ここで「モンスター」5冊と「やがて哀しき外国語」を購入。6Fのカプリチョーザで昼飯。16時(位に)帰宅。 セットアップの前に部屋の片付けをする。机、本棚、テーブル、カーテンのさんを雑巾掛けし、掃除機をかけ本の並べ替えをし(本格的にやりだすときりがないのでちょっとだけ)部屋の準備を整えてからプリンタの梱包を解く。新しい機器を購入しセットアップするのはなかなか楽しい。楽しみながらやっていると必要以上に時間がかかってしまう。 箱から出してコードをつなぎ、ドライバをインストールする。バンドルされているソフトのインストールも済ませてテスト印字ができたのが22時。楽しんでいたのだか、要領が悪いのかわからない遅さだ。なかなかきれいな印字結果でプリントのくせ(色の出具合)がつかめればかなり本格的な美しいアウトプットが期待できる。


(5/20) 「村上朝日堂 はいほー!」購入。「村上朝日堂の逆襲」読み終える。帰中古CD屋で「パルプフィクション/オリジナル・サウンドトラック」「KEITH JARRETT/FACING YOU」の2枚を購入。帰宅してすぐに「パルプフィクション」をかける。こいつは前から欲しいなと思ってはいたのだけれど、「今日は買って聞くぞ。」という気分になかなかなれなまま年月が流れていた一枚。合間に入るせりふが雰囲気を出している。ビンセントとボスの奥さんがツイストを踊るシーンの曲と、ツイストコンテストから帰ってきて、ビンセントはトイレで自問自答して、奥さんは一人踊り狂い強すぎだヤクで飛んでしまうシーンの曲。この2曲がいい。思わず歌って踊れるようになりたいぞとつよおく思ってしまった。

キース・ジャレットのアルバムはあれはいつごろかなぁ、韓国からの留学生ハンビョンゴン(北京で大学出て兵役済ませてから留学してきたと言っていたから7歳くらい年上なのかな)にライブアルバムをダビングしてもらったことがあって、しびれたピアニスト。村上春樹のここ1週間良み漁っているエッセイ集のどこかに(余りいい印象は持っていなかったみたいだけれど)名前が出ていたのと、村上春樹の文章にはすぐにジャズの話題が出てきて、僕も何か一枚聞いてみたいなと思っていたところに発見した一枚。


(5/21) 今日はNHKの20時からの「ためしてガッテン」の研究対象(!?)がスパゲティであったので珍しく食事を終えたあともテレビを見ていた。取り立てて新しい発見はなく、どちらかというとおいしく料理を楽しむというよりは科学的に分析してだから伸びてしまったのです。だからまずいのです。という教育番組のようで興味をそそらなかった。

「村上朝日堂 はいほー!」読了。柔らかいような真面目であるような、ふわふわとその間を漂っているようなエッセイ。「ジムモリソンのための『ソウルキッチン』」や「チャンドラー方式」などは特に興味深く読めた。


(5/22) 中野にある喫茶店「クラシック」発見。かわせみ座の人形劇を下北沢「北沢タウンホール」で見る。


(5/23) 喫茶店「クラシック」に行く。聞き覚えのある心地よい旋律が流れ、曲名がなかなか思い出せず(思い出せそうで思い出せないのが一番辛い)そうだ!「亡き王女のためのパヴァーヌ」だ!!と店を出る前に思い出せたのがとても嬉しかった。出口前に「ただいまの演奏」5曲くらいが黒板に書かれていたのだけれどそこで確かに「亡き王女のためのパヴァーヌ」であることが確認できた。ふう。

  博文堂でグインサーガ56巻「野望の序曲」購入。まっすぐ家路につき着替えるとすぐに布団にもぐりこんで約2時間のキレノア大陸クム、ユラニア国境付近の旅に出る。昨晩のかわせみ座の劇のときには感じなかった圧倒的な力で物語世界の中へ読者を引きずり込む力を話には感じる。強烈な魅力を放つ多彩なキャラクターたち。ミステリィで、スリルとサスペンスと、ファンタジィとSFがまじりあった圧倒的なエンターテイメント。この物語を現在進行系で読むことができてものすごく幸せだ。

 20時から夕食を食べながらNHKの「半七捕物帳」を見る。面白い。岡本騎堂の原作も読んで見たくなった。真田広之演じる岡っ引き半七親分がそこらの時代劇に出てくる良い人ではなくてちょと崩れた柄の悪い感じを醸し出しているのがいい。姿形が整っているというのとは違うレベルでの存在感とでも言うか風格、貫祿というようなものをもっていると感じた。何年か前の「足利尊氏」以降それを感じる。今日で8回目だそうで、こんなに面白い番組を7回見逃していたのは非常に惜しいことをした。来週からはきちんと見よう。

金曜20時からのNHKの時代劇は何年か前からとても面白みのある番組を作っていると思う。「小林薫と萬田久子」「神田まさきと池上季実子」「阿部寛と黒木瞳」思い出せるのはこの変まで。順番もたぶんあっていると思う。「真田広之とまきせりほ」こうやって並べて見ると牧瀬りほがここにカップリングされて出てくるのは少し違和感があるな。今日見た感じではそれほど変でもなく十分かわいらしかった。渋くけれんみの無い堅実な配役の織り成す人生の通低音。人生機微を描いた作品群といえるのではなかろうかねぇ、ぼく如きのおこがましい断定ですが。神田まさきの時の絵描きのはなし。雪夜に真っ赤な花びら散らせて倒れた姿やら、小林薫の時の小林薫の父親役(あれは誰だっけ思い出せないぞ)とのからみやら萬田久子に子供ができたかもしれないというエピソードやら断片的に覚えているものですな。フジテレビ「鬼平犯科帳」「御家人斬九郎」等とは違うおもしろみがある。この時間帯ファンになってしまいました。


(5/26) 博文堂でちょっと考えた末「ダンス・ダンス・ダンス」上、下を購入。珈琲館で「ダンス・ダンス・ダンス 上」を読む。初めて読んだのは読書ノートを見ると91年11月1日だから約5年半前になる。このときはどちらかというと否定的な印象を持ったのだけれど今回の再読では逆に「そうなっていくこともあるものな」という好意的な感想を持った。


(5/27) 珈琲館によって今日は「アンダーグラウンド」を読む。購入したのが4月14日、買って2、3日は少しずつ読んでいたけれど読めなくなって6週間ばかり放置していたことになる。「アンダーグラウンド」にたどり着くまでにそれまでの村上春樹の作品を読み込んで彼の作品の文脈をつかんでからでなくては読むための準備が整っていなかったということだったのかと今では思っている。

「総理と呼ばないで」を2週間振りに見る。ただのミーハーなのだが鈴木保奈美がたくさん出てくるとうれしいです。だから今日はとても面白かったです。


(5/30) 夜からの文教大学児童文化研究会の新入生歓迎コンパに参加。終業のチャイムと同時にそそくさと出発しました。中央線快速で神田まで行きそこから山の手線で上野まで上野から常磐線で北千住に出て東武伊勢崎線の区間準急とか言うものに乗って19時ちょいには北越谷に到着。追い出しコンパ以来だから3ヵ月ぶりくらいの大学です。センターハウスが完成していて今度は3号館、11号館を取り壊すそうで眺めもまた大きく変わってしまうんでしょうね。  会場は最近定番の森田屋でした。2階の座敷が急に使えなくなったとかで狭い一階に変更。OB4人、4年生も4人。1年生は男が一人女一人の二人だけ。驚いたことに男のほうが猪年の今年26歳。そういう人が本当に入ってきたりするんだなぁと驚いてしまった。今回ラッキーだったのが1年生のサークルネームが僕の出したのが通ったこと。「ちゃんらーん」「めんつゆ」たいしたことではないのだけれどとてもうれしい出来事でした。

 1次会が終わったのが22時ちょっとでそのままセブンに移動。セブンではあちこちから懐かしい顔が集まっておりました。ちっとも飲まずにあちらこちらで喋ってばかりだったな。その後カラオケ。ここを出たのが明け方の4時30分。



繭八庵
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