意外なところにゴン太くん
バイクに乗ってむやみやたらに印鑑を押し、また押してもらうような仕事をしていますと、おのずから日に何度も印鑑を見ますが、印鑑にもいろいろとございます。
最近流行のシャチハタから、いわゆる三文判、社判、小指の先ほどの小さなモノ、呆れるほど細いもの、田舎のばーちゃんが「ビニール袋」に入れたまま無言で差し出してくれる実印(ばーちゃん実印ぽんぽん出しちゃヤバイって。ちなみに自分で取り出して押してくれ、という意味です)、珍しいところでは異人さんが注文製作したらしいカタカナの印鑑なんてのもあります。
最近見たのは「でっかいゴン太くん」。
なにかというと、印鑑を収めるキャラクターフィギュアなんですな。ケースという意味ではなくて、人形が印鑑の持ち手になっている。シャチハタなんかを収めて、普段は可愛い人形として飾っておく。んで人形ごと持ってきて押すわけです。
米国生まれのミッキーさんからデフォルメウルトラマン等々、たしかに最近はいろいろと可愛らしい印鑑収納フィギュアが発売されてます。若いお母さんなんかが照れくさそうにデフォルメミッキーさんの人形を持ってきて差し出してくれるので、なにかと思ったら印鑑だった、というパターンが確かにありますね。
ある日、静かで上品な印象の、キレイな若いお母さんが無言で差し出した「ゴン太くん」。
おぉ、懐かしいじゃありませんか。その昔NHKテレビで放送されていた幼児番組「できるかな」に登場していたモンスターですな。巨大な頭部にどら焼きのごとき大きなぱっちりお目々がぷりちーな、全身茶色の着ぐるみです。
ゴン太くんは大きな着ぐるみでしたが印鑑人形の方もけっこう大きくて、大人の手に余るような寸詰まりのゴン太くん人形の足の裏から、ちょこんとシャチハタの先が覗いています。
なんでもないような無表情で差し出されたのがおかしかったのですが、そこでくすりと笑うのも生真面目そうな若奥さんに悪いですから、こちらも生真面目に礼を言って受け取りました。オモシロイ印鑑(グッズ)もあるものだ、と思いながら押してみました。
押してみると「もふ」と鳴いた。
印鑑を押すと音の出るギミック付き。
イキナリ鳴くもんですからツボにはまります(奥さん何もゆわないんだもん)。しかしお客さんの前で吹き出しちゃイケマセン。
冷静さを保つべくそーいえばこんな声で喋って、というか鳴いていたっけ、と思い起こしつつ、吹き出すのをぐっとこらえてゴン太くん返しましたが、上品な奥さんもさすがに笑ったかな、とちらりと顔色を拝見すると
無表情でした
なにごとも起きておりませんという平静なお顔。「オモシロイ印鑑ですね」とも言いづらい微妙な空気。別に怒っているようにも見えないまったくの無表情。フォローも何も、フォローの入る隙がない。
「御苦労様でした」という平静な声を拝聴しつつお仕事ボイスで「ありがとうございましたぁ♪」と扉を閉めましたが
奥さん。
どーしてゴン太くんですか。
てゆーかあの無表情はなんだろう。ゴン太くんはなんのためにいるのだろう?
やり場のない笑いを顔に張り付かせたまま、クエスチョン・マーク頭の上に浮かべて走り去ってみましたがしばらくしてはたとヒザを打つには、
あぁ、ゴン太くんって、そーゆーキャラじゃないのか
なるほど。いや奥さん、よくわかってらっしゃる。キャラをよく生かしてますな。って違うよ。
あぁ、やっぱり意外だ。その後また伺ったときもやっぱり無表情にでっかいゴン太くん出てきたしぃ。
あのゴン太くんはナンの役に立ってるの!? なごむためっスか?ってなごんでないやん。ぷっと吹き出したり、「おぉゴン太くんだ」なぞと言ってみたりしても、やっぱりあのきれいな若奥さん無表情だったのかしら?
謎だ(笑)
それはそれでオモシロイのかも (2003.02.05)
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