家づくりのコーナー

小さな硝子制作アトリエのある自宅の設計から完成までの記録です

これから自宅を建てようかなという方の参考になればいいなーと思います♪

テレビ朝日「建物探訪」番組に紹介されます:取材風景とおはなし、放映日は10月27日(土曜日:東京朝9時半〜)です

トップページに戻る 質問をメールで送る

●いえづくりの記録トップページ● ●建設記録● ●できあがった自宅の写真集● ●テレビ取材風景● ●建築家の灘さんより● 

●灘さんの三山の家の写真集 ●灘建築研究所のホームページ●

●いえづくりのプロセス記録●

1:土地さがし・・・・・・・・・・・・・・・・1994年〜1996年

2:建築家さがし・・・・・・・・・・・・・・1994年〜1999年

3:設計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1999年12月〜2000年6月

4:施工会社の選定・・・・・・・・・・・・1999年6月〜8月

5:施工・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2000年8月〜2001年5月

6:引き渡し>入居・・・・・・・・・・・・・2001年5月1日

7:自分たちでした屋上緑化・・・・・・2001年5月12日

8:じぶんたちでした床の塗装・・・・・2001年6月

9:はじめての夏・猛暑対策・・・・・・・2001年7月

1:土地さがし

月並みですが、週間住宅情報や折り込みちらしをチェックする他、吉祥寺エリアの不動産屋で大手のところには条件を伝えて物件紹介を常にお願いしていました。条件は・・・吉祥寺駅徒歩10分以内、30坪〜35坪くらい、静かな住宅街、そしてここが大切なんですが、その場所に家族で立ってみたとき、いい雰囲気、いい気分、吉兆というか、そういう直感がある場所。非科学的ですが、占いなんかより、家族が感じる「気」のようなもののほうが信用できると思いました。

3年くらいにわたり、数十件は見たと思います。その間、親の住むマンションも探したりしていたので、不動産情報にはやたらに詳しくなりました。バブルがはじけて土地が値下がりしている中で、値段についても動向に詳しくなり、条件によって「お買い得」かどうかの判断が即座にできるようになっていました。

みつけた土地:

東西にとても長細く、南側の家は北側ぎりぎりまで壁のように建つ、日当たりの悪い土地です。冬は日が低いので地面にはほとんど直射日光は当たりません。しかも接する道路は狭く、4m計画道路でセットバック90センチという条件。でも、駅から徒歩5,6分で、道が狭くて車も通らないのでとても静か。車庫入れは更地でシュミレーションして入ることを確認し、購入を決めました。不動産屋とは交渉して、建築条件をはずし、さらに建築施工会社の指定もはずしてもらいました。家を自分で自由に設計して建てたかったので、これは最低条件。

TIPS:

●広告では建築条件がついていても(購入から3ヶ月以内に指定の施工会社で家を建てる、など)、交渉次第でフリーにできます
●いい土地はすぐに売れてしまう場合もあります。じっくり見続けて、これはというときには即断できるように勉強しましょー!

2:建築家さがし

最初は住宅メーカーの展示場にも行きました。土地の図面から間取りを考えてもらったこともあります。が、どれもいまひとつピンとこないし、東西に長くて南の日当たりは別に良くないし、何の眺望もないのに、なぜか南側に大きなピクチャーウィンドウや出窓、ベランダがあったりして・・・。建築家探しは主に本、建築雑誌のバックナンバー、気になる建築家の作品事例の見学(外からですが)などを数年くらい続けていました。なかなかこれはと思える人がいなかったり、お願いしてみたら現場が離れすぎていて断られたり、途中で話がこじれてご破算になったり・・・・。灘さんに決まる前に、実に3人とお別れ(?)しています。

灘さんについては、建物探訪でご自宅が紹介されていた(97年)のですが、その後、その内容が渡辺篤志の「こんな家に住みたい」「こんな家を建てたい」という本に取り上げられていて、詳しいことを知りました。私たちが好きな、シンプルなコンクリート打ち放しの、長細い土地に建てられた、モダンな美術館のような建物に惹かれました。内部の構造は外観のイメージとは異なり、空間がいろいろな機能を曖昧にもつという、日本の伝統的家屋のありかたが基本になっています。ご夫婦で建築家(女性の視点が大切なのです)であり、その作品がご自宅ということ(つまり、他の施主の好みが入っていない、純粋に彼らの思想を表した作品です)から、まずお電話をしました。奥様の啓子さんと30分くらいお話したあと、一度お会いすることになりました

●参考:灘さんご紹介のコーナー:灘さんのご自宅の写真もあります

 

灘さんご夫婦です。(左) 右は池田夫婦・・・まだ脳天気だったころ・・・

これが灘さんの自邸。建築家のご夫婦ふたりの作品です。とても美しい、美術館のような家です。自然の光や空気をそのまま感じられるような、開放感あふれる不思議な空間はとても25坪の土地に立っているとは思えない広さを感じます。

灘さんの「三山の家」をもっと見る

灘建築研究所のホームページを見る

 

3:設計

1:灘さんのご自宅でうち合わせ。ご自宅を拝見し、過去の作品のポートフォリオも見ました。

<そのときの確認事項>

●灘さんの設計のプロセスと期間(案を複数出し、選んでからまたそれをベースにアイデア展開していくというプロセスです。期間は3ヶ月〜5ヶ月くらい)

●契約のタイミング(土地を見たあと、ラフな案を提示していただき、考え方が気に入ったら契約するということになりました)

●設計料(施工費の10%)

●土地の写真と図面、だいたいの私たちの望む家についてお話しました・・・その後見学に見えました。

そのとき望んだことは、RC打ち放しでバリアフリー、小さな美しい空間、シンプルな構成、家族の一体感がありながら、適度にプライバシーが保たれること、たて込んだ土地なので外からの視線をさえぎって裸で歩き回れる家にしたい、などです。

 

2:土地の見学のときに、小さなラフアイデアモデルを持ってきてくださいました。ゆるやかなスロープが回っていく案がいくつもあってとても面白く、シンプルで美しかったので契約を決めました。さらに希望する生活スタイルや、趣味のこと、収納のこと、などなど無数の情報をメールで交換しあいました。夫婦の快適室温が5°から10°もちがうため、寝室をなんとか区切れないか、とか夫が穴蔵のような隔離された書斎が欲しいと言ったりして、灘さんが困惑する場面も・・・!

3:その後、真冬のある日、灘さんの家に泊まりにいきました。打ち放しのコンクリートの家の寒さを体験して、軟弱な私たちにも耐えられるかどうかを実験するため、です。ご親切にも親子三人でおとまりを許してくださった灘さん、ありがとうございました。

そして、さらに、バリアフリーの重要性をみんなで実感するため、灘さんのおうちに車椅子と高齢者体験ツールを持ち込み、夫も含め、3人に家中をバリアチェックしてもらいました。

 

●テントを室内や中庭につくったりして遊びました。 ●高齢者疑似体験ツールを身につけた灘さん(ご主人)

 ●車いすで通路を通り、お風呂場へ。幅がもう少しほしいです。

 

4:ほぼ、二週間に一度のペースでうち合わせを重ね、またその間ひんぱんにメールをやりとりし、ラフモデルが10案に近くなった頃、最終形にちかいものができあがりました。途中で私が硝子制作をするアトリエスペースをリクエストしたところ、多目的空間になるように、個室の大きさをコンパクトにおさめ、玄関や廊下など余分なスペースを無くすことでこの限られた面積に10畳近い空間をつくりだしてくださいました。最終的に設計がかたまるまで、実に300通を超えるメールをやりとりしています。(これは後に倍になるのですが)。また、当初の要望だった全館道路から段差のない、バリアフリー住宅になっています。二階も直線で通路が個室からお風呂まで確保され、将来介護のための機器、移動レールなどを設置しやすくしています。

お風呂とトイレは広いひとへやにおさめて車椅子でも無理なく動けるようになっています。ドア類は全て引き戸で、釣りレールで軽く開くものにし、台所は私の背に合わせて低めの作業台、下を収納スペースにして引き戸をとりはらえば車椅子が入り込めるようにしてもらいました。小さくて使い勝手の良いシンプルなスペースになっています。カウンターキッチンですが、隙間は細く、顔が見えないけれども手元が見えるというスタイルです。

南側に壁を作り、壁のように隣接する南側からの視線を全て遮断し、細長い土地をさらに細長く切り取り、中央の壁を全て硝子にして明るさを確保するという考え方です。また、途中からエレベーターを最初からつけることに決定し、北側車線にかからない場所と高さにするため苦心しました。床暖房やペアガラスを採用し、断熱効果を高くすることにしました。また、屋上は灘さんの家と同じようにあとから自分で芝生を植えて断熱することになりました。

●最終モデル:上が北から壁を透かしてみたところ。下は南がわの塀をとりはずして見たところ

 

建設記録のページへすすむ

硝子の指輪のトップページに戻る 質問をメールで送る