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小見出しでいす

飛行機はこうして飛ぶ、らしい


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(ゲームとはいえ)

飛行機はなんだって空を飛べるのか?


  フライトシミュレーターを飛んでみてまず最初にわたしがおもったのはこのことでした。理屈から入るヤツなんですねぇ、わたしは。ともあれゲームとはいえ、このフライトシミュレーターは現実を再現する「シミュレーター」、飛行自体も、演算する対象になる現実の原理を持つものなわけです。そこで不思議。
  いったいなにがどうなって、飛行なんてことが可能になるわけ?こいつらはなんで飛んでるの?
  てなわけで調べてみました。何冊かの本を読んでみたところ、どうも本によって飛行の根本的な部分の記述が一定しないのですが、どうもいくつかの考え方があるようです。

1.ベルヌーイの定理による説明

  定説となっているのは、
  "翼の上下を流れる風の流体圧力の差によって、「翼が押し上げられて」飛んでいる"
  ということのようです。飛行の原理というか、空中浮上の原理ですな。しかしこの原理こそ、飛行機の上昇だけでなく、プロペラの推進力、エルロン(補助翼)による機体の傾斜、ラダー(方向舵)による機首の回頭をすべて説明する基本原理なのです。(と書いてあった)
  いわゆるベルヌーイの定理ってやつです。

  バカみたいな図を描いてますけど。
  空気であれ水であれ、流れるものは周囲に膨張しようとする圧力を持っています。図の例は太さの異なるパイプ(のつもり)です。この中を流れるもの、たとえば水は、パイプに対して外側へ押し広げるような圧力を持ちます(流れていなければ圧力は生じません)。この流体圧力は、流れが遅ければ強く、速ければ弱くなる、とゆーのが「ベルヌーイの定理」です。

  図の例ではパイプが太いところでは流れがゆるやかで遅く、流体の膨張圧力は強くなっています。しかしその先の細くなったところでは流れが速くなり、流速は増しますが周囲への膨張圧力は減って太いところより外側へ加わる力が弱くなります。
  なんつーことはない話ですな。遅い流れは速い流れより、遅い分だけ強く横へ広がろうとする、ってだけの話です。空気の流れでも、水の流れでも。
  しかしこの「流れの速さが変わると圧力に差が生じる」ことが、飛行機の主翼を持ち上げ、飛行(浮上)を可能にするんですねこれが。





  ウルトラアバウトな図で恐縮ですが、飛行機の主翼の断面(のつもり)です。少し上向きに描いてあるのは、飛行機の主翼には普通迎え角という上向きの角度がついていることを考慮しています(りあるぅ)。図の左を前として、矢印が空気の流れを表します。

  御覧の通り、飛行機の主翼は普通、上下で異なる曲率のカーブを描くように、偏った膨らみを持って作られます。翼の上の方が、下よりも曲率が高いのです。この結果、主翼の上と下では、表面の弧の長さの違いによって前後長が異なるという事態が生じます。翼の上の方が、下の方よりも表面の長さが長いのです。

  するとどうなるか?

  翼の上面にぶつかった空気は、前縁部直後で加速され、主翼面を下り降りるにつれて減速されるそうです。翼の下面にぶつかった空気は、緩やかに加速して吹き降ろされ、結果、翼の降端で翼上面の空気流と合流します(講談社ブルーバックス「図解 ヘリコプター」より。なんでヘリの本やねん。でも原理は同じです)。




  翼の上を通る空気流は下よりも速くなり、翼の下を通る空気流は上よりも遅くなる。

  さて、どうでしょう(←ネタがふるい)
  空気流は流体ですから、上下左右360度に圧力を持って流れます。当然翼には上の空気流から下向きに押しつける圧力、下の空気流から上向きに押しつける圧力が加わっています。(翼が流体の中にある、つまり空気中を高速で移動していれば、ですが)
  あぁ、やっとでた。ここで先ほどのベルヌーイの定理のご登場です。「流体の圧力は速度の速いところで弱くなり、速度の遅いところでは強くなる」のですから、翼にかかる空気流の圧力は、翼の上で弱く、翼の下で強くなります。比較的、ね。
  つまり翼を下向きに押し下げる空気流の圧力は比較的弱く、翼を下から押し上げる空気流の圧力は比較的強く、なります。
  速い速度で移動する翼には空気の流れから上下に流体圧力がかかっており、翼を押し下げる圧力は、翼を押し上げる圧力よりも弱くなるように(翼が)作られている。



  するとどうなるか?
  押し下げに勝る押し上げの圧力によって、飛行機の翼は、上に向かって浮き上がっていく。
  飛ぶわけです。
  この、空気の流体圧力の速度差による「浮き上がる力」、<揚力>は、翼の移動速度が速ければ速いほど大きくなります。翼が非常に速い速度で移動すると、この揚力が、翼(とそれを持つもの、飛行機)を下に押しつけている重力の力にうち勝つようになり、結果飛行機は、重力よりも強い力に支えられて空に舞い上がるのだ、とこーゆーわけ、なのだそうです。
  こうして飛行機は飛ぶことが出来るのだ、ということなんだそうですわよ、奥様。
  (↑実はよくわかっていないので自信がない)


  しかしまったくこの原理だけで飛んでいるというわけでもないらしく、高速で流れる空気流に挟まれることで、(ちょうどサーファーが波に乗るように)揚力によって浮いた翼が支えられ続けるのだとか、迎え角を持っていることで、主翼がちょっとした凧のような働きをして浮き上がる力の一助になるのだ、とかいろいろと複合的な要因も絡み合っているようです。


2.空気流が翼にぶつかる反作用による説明

  →こちらの素晴らしいサイトをご参照ください。社団法人 日本機械学会流体工学部門様のサイト


  私のアホな説明よりよほどわかりやすいです。そして、

3.流線曲率の定理による説明


  空気流の流れが曲がるとその部分では外側から内側へかかる圧力が減少し、結果、上図と同様に上向きの力(空気流の圧力)が発生する、という説明です。この説明の場合、ベルヌーイと異なる原理によって、結果、空気の流体圧力に差が生じて揚力が発生する、という同じ現象を揚力の正体と定義することになります。



  ・・・等々、イロイロあるらしいンですが、日本で読まれている教本の多くはベルヌーイの定理を主眼として飛行の原理を説明し、ちょっと聞きかじったところではアメリカの飛行教官はこれに加えて上記のような要因も説明とするのだ、と聞きました(ソースは忘れますた)。
  してみると、まったく完全に、飛行機が浮上する理論的な根拠が説明し切れているのかどうかは疑問に思えてきますが、まぁライト兄弟以来動力飛行機は実際に飛んでいるのですから、ともあれ「こう作れば飛ぶ」というノウハウがあって、そのように作った飛行機は実際に飛ぶ、ということだけは間違いがありません(怖くなってきました?)。たかだか百年足らずとはいえ、しかし、このノウハウの積み重ねは膨大です。

  気が遠くなるような数の人々が、気が遠くなるような回数の飛行を繰り返して、現在の飛行技術は培われてきたのです。トップページにも書きましたが、そこにはらわれた数多の努力を思うと、人間の営みに感動せずにはいられません。

  そして、確かに、飛行機は飛んでいるのです。雨の空も、嵐の空も、南の空も、北の空も、凍るような空も、暖かい空も、海の上も、街の上も、はなはだしきは成層圏さえも、人間の飛行機は飛ぶことができます。そりゃあ人間のすることですから、完璧というわけには行きません。飛行機が墜ちる可能性は、いつだってあります。しかしそれは、人間の扱う道具にはいつだってついてまわる危険に過ぎません。なんでもない車が、いつだって人を殺せるように。

  ノウハウを築き、理論を携えて、人間の飛行機は空を飛びます。危険なものでもあるとはいえ、それは、ずいぶんとすごい事実ではないでしょうか。(飛んじゃうんですよ?)

  ともあれこのようにして飛行機は飛ぶわけですが、理屈を知ってさえ、わたしはそのことにまだ感動し、そしてまた呆れます。よくもまぁ、そんなことが出来るもんですよね、人間は。


  ちなみに、極端な場合、飛行機は片翼で飛ぶことができるそうです。理論家たちは、後からどうしてそれが可能だったのか、さんざん考えて理屈を解明したのだそうですが、最終的には、たぶんよくわかっていないに違いありません。この話はレシプロ、ジェットを問わず戦闘機の場合に幾つかの例が知られています。他にも隠れた片翼飛行の話があるのかも知れません。いずれそんなとき、パイロットは理屈を考えて飛ばしていた訳ではないでしょうから、やはり飛行技術というものは、理論より経験則の占める部分が未だ大きい、といっちゃっていんじゃないでしょうか。

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