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たらこWORKS  俗物Kaikou.特別編


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  BANDAI 1/144 Type-100  百式  旧キット使用

1985年の夢



  


  御覧の通り、最近発売された HGUC のキットではなく、1985年に売っていた最初のキットの方です。

  買ったのも1985年。これを見て、

  うわ〜〜  またまたベタな作り方やな と思ったそこのアナタ。

  今回のにはワケがある。いや無くたって作りがベタなのはいつものコトだけど。イヤ実はこのキット、こないだガンプラを再開した際に、ジャンク箱の中から発掘しちまったブツなんですな。

  あなたにも、心当たりのキットが一つ二つ、ありゃしませんか?  未完成のまま箱に入れて、忘れ去っちまったもったいないオバケに叱られそうなキットが。

  コレがまさしくそーいったブツで。

  数十年ぶりに取り出して、しげしげと眺めてみると、どうも熱心に改造しようとしていたらしい節がある。



  胸部にはていねいにプラ板加工と仕上げ磨ぎの跡があり、顔は熱心にいじくってあって、額のプレートはプラ板から削り出してあるわ、スカートは切り離してあってプラ板で整形し、いかにも可動機構を埋め込もうとしていた様子がありありと。足首なんか軸受けごと削り込んで薄ウス加工を施したままほっぽりだしてあるし。

  いかに昔の私が、このキットに執着を持っていたか、よくわかる話ですな。

  それもそのはず、昔も今も、あたしゃこの百式というヤツがキライでキライで大っキライで、もー勘弁ならんとゆーくらい嫌いなわけですよ。当時の私も、よほど気に入らなかったんでしょうネェ。一生懸命、気に入らないトコロを直そうとして、でも放り出してしまった(笑)

  それからン十年。発掘された第六文明人の遺跡は燃え上がったガンプラ中年の手によってベタにその執念を遂げることになった、というワケなんですなコレが。


註*以下、ちょっと前振りが長いデス。


  百式の何がキライだったかとゆって、それはもう、あらゆるトコロが。

  そーじゃございませんでしたか?

  ゼータ以降のガンダム世代にとっては、なんでもこの百式は「美しいモビルスーツ」なんだそーで、初代ガンダム世代の中年などから言わせると

ハァ?


  てなモンなんですが、初代のファンならともかく、ゼータのファンならいかにもそー思うんだろうなぁ、というところはわかります。

  なんといっても、ガンダムMk-2からしてすでに百式に調子を合わせたような最終デザインがなされていますし、ゼータに至ってはエルガイムMk-2とバルキリーと百式を混ぜこぜにして煮込んだ闇鍋のよーなデザインなわけですから、コレを最初に見た彼等の世代が、百式をして美しいとか思っちゃうのも、我々がザクを見て「美しい」と思うのと同じよーな刷り込みであることは同様であって、彼等のその感覚を嫌悪しても始まらない。

  でもネ。

中年はイヤなのヨ、コイツ


  そのことの是非はともかくとして。

  キライなモンはキライ。

  肩アーマーの前後に付いた小さなロケットモーターとか、妙に長いスカートとか、細い上腕部とか、リックドムのよーな不釣り合いに大きな手首とか、ゴム製としか思えない、モビルスーツとは違う方向性を強く打ち出したエルガイムの猿真似腹部とか、説明されなければ意味の分からない軽装甲の脛とか、とにかく癇に障る。

  貴様っ!
  なんだその・・・
  その・・・

  イロイロなトコロはっ!

  貴様それでも連邦軍のモビル・スーツかっ!

  なに?  連邦軍じゃない?

  ・・・・・・


  ゴチャゴチャゆーなっ!






  とゆーわけで(なにが)、そのモビルスーツらしくないデザインを、作品世界が「許してしまった」こと、そのことがイヤだったんですネ。我々は、初代ガンダムの世界観が新たに継承され、物語がまた強く動き出すことを望んでいたのに、現れてきた世界は視覚的に初代ガンダムを嘲笑するかのような軽薄なビジュアルに彩られていた。

  統一感の無いデザインのモビルスーツ群に、なんだか前後が2ミリしかないよーな薄っぺらなキャラクターの作画。そしてしょーもない性格の人物造形とひねこびたストーリー。

  正直申し上げて、初代のファンから見て、ゼータに革命は感じ無かった。どきどきもしなかったし、来週見たい、ともゼンゼン思わなかった。初代の放送のときは、あれほど、他のことがどーでもよくなるほどに・・その革新的な、ロボットアニメとは思えぬ見たこともない鉄サビ臭い人間ドラマが面白かったのに。

  それはもちろん百式のせいでは無いんですが、少なくとも、モビルスーツ達のデザインがみなてんでばらばらで、どれもモビルスーツらしくなく、存在感も動きも、まるでエルガイムのよーに薄っぺらで面白みの無いものに見えたのは、コイツの存在が許されてしまったからではないのか、と勘ぐりたくもなるとゆーくらい、このデザインはモビルスーツをバカにしているように見えたのでした。

  オナカが細くくびれ、腕だけが異常に大きいそのバランスも、そして軽装甲というよりは、旧シリーズのメカニックモデルの一部装甲を外した状態を「これってカッコイイでしょ?」と同じ趣味の子供に自慢するかの如く見せたかっただけのよーな脚部も、どこまでも幼稚な自己満足のように思えてずいぶん不快だったのですヨ。

  少なくとも、こんなエルガイムもどきを見たかったんじゃないやい、というわけで、1985年の私は悔しくて涙すら浮かべたものだったのですヨ(純情だなぁ)。

  我々の好きだったモビルスーツは、永野っチの見栄を満足させるために新たに描き起こされたのでしたか?

  そーではないでしょう?

  イヤ、思わず長くなっちまいました。恨みつらみが深いもんで。だから、私はこの第六文明人の遺跡を発掘した時、当時の私の感情を熱く思い出して、

「・・・完成させてやるか」

  と缶スプレー片手に静かに決意したのでしたとサ。

  その割には出来がベタ過ぎですケド。   とゆーワケで、ン十年越しの恨みつらみを晴らした翔べ必殺!うらごろ・・・ショボ作例なわけですが(←非常にマニアックなネタ。とても笑いにくい)、なにしろン十年越しの製作なもんでドコをいじったのかヨク覚えていない。

  でもトイ風味でベタベタな初代テイストを目指した、とゆーことは間違いないかと思われます。  できることならスカートは一体感のあるとても動きそうにない形にしたかったくらいで(しなかったけど)。

  覚えている範囲では
  • 額のプレートをプラ板で新造。
  • 胸部正面をプラ板でちょこっと前に出す。
  • スカートを切り離して幅広に整形。
  • 胸、肩、足の小さなバーニア群をパテ埋め。
  • 足首軸受け、足首を幅詰め。
  • 上腕部の出っ張りを小さくして丸い腕に整形。
  • 太ももの溝を埋めて丸っこく整形。
  • 膝裏の動力パイプをカット。
  • 二の腕の露出した動力パイプをカット。
  ここまでが1985年の工作。

  んで今回、
  • 肩と足の大型ロケットモーターをパテ埋め。
  • スカートを短くして可動するプレート感を解消。
  • 臑装甲の開放部をパテ埋めしてベタに整形。
  • 二の腕のぶっとい盛り上がりを削って、なるべく細く自然なカーブに整形。
  • 燃える男の動力パイプ を追加。
  このあたりの工作をして、1985年のピュアな感性を台無しにしてみました。

  まぁ、見てすぐ分かるのは塗装と、 動力パイプ と、臑のベタな装甲、それに肩と足のロケットのパテ埋めなんでしょーが、ようするに、やっぱり初代テイストが欲しかった、と。

  背中もヘンな羽根をカットして、ランドセルを少し角張った形に整形。

  臆面も無くエルガイム用語で「バインダー」とか自己中ネーミングされたあの羽根、ハンパで存在感ないから。

  邪魔だし。



  関節の「メカ色」塗装もやっぱりヤメにして機体と同色に。

  機体の色は、あまり似合っていない金色は止めにして白っぽいグレーに塗装。

  缶スプレーでグレイ→白と薄く重ね塗りしてホワイトグレイを出したんですが、撮影の腕が悪いのか光源の設定が甘いのか、写真ではまったくの白に見えますネェ。

  一応ホワイトグレイなんデス。一応。

  全身を塗ってみたらどーもしまりがないので、胸の一部とクックの底を赤茶色に。黒ではパトカーだし、   後ろから見るとギャンみたいですな。

  製作中に見ていて思ったのは、連邦軍系のデザインと思われている百っチはしかし、連邦軍系のベタベタなデザインとは少し方向性が違う。それなら、ジオン系のテイストを足してみたら、と思ってしまいました。

  そこで 燃える男の動力パイプ を。



HGUCのザクから パイプの軸受けごと持ってきて、フンドシを加工して埋め込み。ランドセルに穴をぐりぐり開けて無理矢理繋いでみました。

  この動力パイプのおかげで、バランスの狂いを感じるほど細っこいウェストがぐっとしまって、グフのようなひきしまったオナカに。やっぱり細すぎるよ、あの腹部。
  足にはただ穴をあけただけで、HGUCザクのパイプがすんなりと。

  これもねぇ、元のデザインでは膝の裏に動力パイプがあったんだものネェ。可動の感じが台無しダヨねぇ。 邪魔っけだなぁ、とか思わなったのかネェ。

  臑前面の装甲整形は意外に形がまとめにくく、やすっているうちになんとなくこんな形に。

  もっと前方に出っ張らせて、細く角張った形状でもよかったかも。

  しかし不思議なことに、この臑の開放部を埋める工作をした百式の作例って、見当たりませんネェ。

  みんなそんなに、あの無神経な脚部のデザインが好きなんですかネェ?   
  腹と足の動力パイプの追加は意外にも効果が高く、百式のイメージを良い意味で打ち壊すのに役に立ってくれとります。

  細っこいアンバランスなシルエット、そして位置づけの不明確な百式がなんとなく初代ガンダム発の歴史に沿った、一年戦争後のモビルスーツ発展史からスピンアウトした連邦・ジオン融合系のワンオフ機に見えてくるから不思議不思議。

  なんとなく、これならシャアことキャスバル・ダイクンが乗っても許せるかも、と個人的には思えてくるから、瓢箪から駒の正解だったように思えますワ。完成度はともかく。

  面白いからいーやコレで。

  足首はヘンなところにグレイを塗って、目立たない足首関節装甲に存在感を。

  なるべく、ヘビイメタル臭を消そうと努力しております。それでもベタな瓦風味にはなりにくい。無理か。
  1985年に可動を企んでいたらしい割には、完成してみるとちっとも動かないンですが、まぁその辺はあきらめろ>昔の俺。

  というわけでゼンゼン動かない代わりに、やや一年戦争後のモビルスーツテイストを取り戻したよーな気がするこの百式。

  百式は金色、という世間様の常識にはへらへらと逆らってますが、なに、模型なんだし、ン十年も前に買ったキットでこれだけ遊べれば十分、というものでしょうゼ。

  ガンダム風、とは云いませんが、その後のガンダム世界風百式。

  やっぱりネェ。ガンダムの世界観は残しておいて欲しかったですよネェ。1985年の放映時点で。

  ガンダムの続編だったんだし。

  せめて、これっくらいガンダム世界風の味を残しておいてくれても良かったのでは、と思う今日この頃。  




  てなもんで、1985年の私が動力パイプをつけたかったのかどーかはともかく、かくして一年戦争後のモビルスーツ風味を獲得したヘンな百式の一丁上がり。

  20年の刻を越えて、ようやくストレスが少し解消されたよーな気がしますですヨ。

  そう、百式は人気があるのでしょうが、同じくらい、大ッキライだというヒトも多いのでしょうから、1985年に心のキズを負ったヒトは、かくのごとくして百式に恨みを晴らすのも人生を幸福にする手段の一つじゃネェのか、と思います。

  百式はキライだったんだ、と密かにお考えの貴兄にこのテイスト。

  あなたもそっとクラッシュ百式。

  それではまた何か月後かにお会いしませう。

  ゼータの嫌いなへそ曲がりの同胞達へ密かにメッセージを込めて。

  それではみなさん、御機嫌よう。





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