30年前の塗料を少しは減らそう!
|
今を去る事30年前。私は帆船のプラモデルを作っておりました。ちなみに海王丸。 説明書には、船体から飛び出した錨のモールドに金色を塗れ、と書いてある。でも金色の塗料を持っていなかった。 田舎のことですから今のようにいろいろな画材が手に入るなんてこたァございません。模型用の塗料かアトムハウスペイントが手に入るくらい。 そこで模型屋に足を延ばして金色の塗料を探したのですが、当時、ちょうど田宮模型さんが「タミヤ・アクリル」という水性の塗料を発売した折でございました。水で薄められて、筆も水で洗える。 ええやん。手軽やん。と思って買いましたな。色名ゴールド・リーフ、23ml入りの大瓶を。 現在は「アクリルミニ」と銘打って18ml入り130円で売っていますが、当時は23ml入りのお徳用サイズで、たっぷり入っているのも売りだったわけです。お値段100円。お得やん。 で、ちっこい錨を塗装したわけですな。 そりゃあもうあなた、余るわ余るわ。 ほぼ全部余った。それから30年。金色を塗る機会はついぞ無く、金色のタミヤ・アクリルはドたぷん、と余ったまま。 さすがにそろそろ減らしたい。そこで模型屋の店頭ワゴンに250円で売れ残っていた最新の(?)ガンプラに塗りたくって減らすことにいたしました。 |
![]() |
というわけで鉄血のナンチャラより、投げ売りされていたHG百錬に塗ってみました。 筆塗りでぺたぺたと。 このタミヤのゴールド・リーフは金メッキの金色というより、泥臭い土のような金色なので、ちょっと重たい感じになってたいへん効果的でございました。 塗料自体もちょっと土の匂いがする不思議な金色です。発色する前の瓶の中の色もまさに泥みたいな色。でも発色すると鈍い金色になるという面白い色ですな。使い方次第では無限の表現ができるかと。 金色と組み合わせたのはアクリジョンのシルバー。期せずして新旧塗料の混合作品になってしまいました。しかも黒鉄色は新型の水性ホビーカラー。水性トリオの筆塗り三昧。 楽しい。 ラッカーは匂いが臭いから使いたくないのです。ただ、タミヤ・アクリルも匂いがあるので、マスクをつけて我慢して使用。模型用アクリル塗料も、匂いがなくなれば良いのにねぇ。 新商品(でもないか)のアクリジョンは匂いがほとんど無く、呆れるほど乾きが速く、それでいて伸びるので、手早く薄く塗り伸ばすと重ね塗りが楽にできるなかなかの性能です。一方これはまさに新商品の、生まれ変わった水性ホビーカラーは乾きがめちゃくちゃに速く、伸びもなかなか。匂いはちょっとだけある。ホビーカラーの黒鉄色はまるでメタルブラックのように黒いのがイマイチなのと、ちょっと乾きが速すぎて筆の引っかかる面すらあるのが、往年の水性ホビーカラーとは大きく変わった点でございました。昔の水性ホビーカラーはなかなか乾かなかったのにね。 |
このキット、店頭のワゴンから250円で拾い上げた時から金銀の組み合わせで塗ろう、と決めていました。。 エジプトのファラオのような頭部のデザインから金色を連想したからでもあるし、某デザイナーの Knight of Gold にちょっと似ていたからでもあります(安易)。 しかし金一色ではモノとしてあまり面白くなりそうもなかったので、情報量を増やす意味で銀色を足し、さらに黒鉄色を加えた上に彩度の高い差し色を添えることでダーク・ヒーローっぽさを出せたらいいな、ということでこんな姿に。 全部筆塗り。ゴールド・リーフはあまり色が乗らず、発色もやや鈍かったので、7回塗りで薄く重ねてから2000番のペーパーをかけ、クリアーでコートしてフェルトで磨く、という面倒くさい手間をかけています。 まったくわかりませんケド(無駄な努力)。 でも塗りたくって磨いたおかげで塗膜が厚くなり、重厚感が出て、狙い通りのファラオ風にはなりましたな。 アクリジョンと水性ホビーカラーの発色と色乗りはかなり良く、シルバーなんか光が当たるとキラッキラの輝きを放つンですから、塗料の性質にも時代の変化が見られるもンだな、とは思いましたわ。昔のシルバーって、こんなに輝いたりしなかったもンね。 ざらりとしたゴールドリーフの発色と味わいの違う発色が組み合わさった結果、色合いが立体的になって良い味わいに。 いろいろと勉強になる実験でございました。 |
![]() |
![]() |
さてこのHG百錬。 最新のキットだけにさぞかし可動するのか、と思いきや、不思議な結果になっております。 左の写真、上腕部の接続部が見えていますが、この肩側の下向きに出っ張った三角形。 これがなんと、回転する上腕部にぶつかってあまり回転できない。なんだこれ。 デザインを尊重した結果なんでしょうが、ちょっと工夫すれば回避できそうなモンなのに・・。どうしたバンダイ。 肩アーマーのビックリドッキリ可動とか、他はよく動くのにいろいろな邪魔が入って、結果あまり動かないという不思議なキットに。 肩も肘もこんなに動くのに、上腕部が回転しないことでポージングの自由度はじつはあまり高くありません。 |
腰も、いかにも動きそうなデザインでありながら、案外と動かない。不思議。 もったいない。 膝だってこんなによく曲がるのに、太もも脇の装甲があまり可動せず、無理に動かすとポロポロと外れるものだから、外れない範囲で動かすと、結局あまり足が開かず、上がらず、大胆なポーズはとれない、という不可思議さで。 足首の小さい流行のデザインのために安定性も良くはないので、足全体の自由度がないと自重を支えきれないのですがにんともかんとも。 足首自体も存外自由度は低いとはいえ、装甲を外せばもっとずっと自由に動くのにねぇ。 コストの問題もありましょうが、サイドスカートの接続を複雑な可動が可能な両端可動の棒接続にするだけでもだいぶましだと思うのですが・・・・ ってそうか。そういう改造をすればいいのか。なーるへそ。 何年かたってこのキットのことを忘れ、再発掘した暁には、その改造をして楽しむことにいたしましょう。 改造の余地を残してユーザーに楽しみを提供してくれるとはなかなかやりおる(手のひらくるんくるん)。 |
![]() |
![]() |
なにはともあれ、狙い通りに、ファラオっぽい鈍い金色のモビルスーツは作れた(なんだこのポーズ)。 そしてなにより 30年前の塗料が少し減った 。 たっぷり入っていた土臭ェ金色が少し減ったゾ!(少しだけど) そしてゆっくり筆塗りを楽しめた。 なにしろ金色は7回塗り重ねたんだから、そりゃあもう時間たっぷり筆塗りが楽しめましたわ。 タミヤのアクリル塗料は他の模型用水性塗料やアクリルガッシュと比べてしまうと少々匂いが強く、あまり快適ではありませんが、こればかりは30年前から鎮座ましましている御老体だから仕方がない。昔はこれでも臭くない方だったのだから。 差し色の緑はちょっと安っぽくなってしまって、まだ銀の方が良かったかしら、と反省点が残りましたがまぁよき。 なんならあとから塗り替えればよろし。 最近はだいたいこういう、違ったらやり直す、失敗したらやり直すからまぁいいや、というノリで模型を楽しめる境地に達しつつあり、やり直しを楽しめるというなかなかお得な精神状態で作っております。これオススメ。楽。そして楽しい。 模型はこの境地で楽しめると、非常に深く豊かな経験を味わえます。技術の成長もまだまだ楽しめてお得。 いい歳をしてようやくこの状態に辿り着きました。さぁ、模型を捨てた模型野郎ども。 ここへ来い。楽しいぞ。ヘタモデリング。 |
All Text Written by @Kaikou
for an Societic Eccentric People.
and Intellectual Man & Women.