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チョコのオマケを作ろう!(なお1984年発売)
~ 森永 ガンダムチョコスナック 1/300 ガンダム(バズーカ付き)~
それは1984年前後のこと。
ガンプラ・ブームがまだ続いていたその当時(ガンダム・ブームではない)、お菓子で有名な森永製菓さんが、大流行のガンプラをオマケにつけたお菓子を発売していました。
題して森永・チョコスナック 機動戦士ガンダム(この商品はMSVシリーズのもの)。チョコレートのかかった丸いスナック菓子に高さ6cmくらいの小さなプラモデルがついて、お値段 100円。
普通のモビルスーツから始まって、何年間かかけてMSVまでが発売されました。模型店ではなく、普通にスーパーの菓子売り場にありましたな(まぁチョコなんで)。やがては続編のゼータ、ダブル・ゼータへと商品化が続いてゆく人気シリーズとなっていきますが、それはまた別のお話。
出来の具合はいろいろで、出来の良いものもあれば、頭でっかちで寸胴な今二つ似ていないものもある。
商品化権の関係もあるので、森永製菓が金型を作って生産していたとは思いにくく、噂によればバンダイが製造していたという話も聞きましたが、真相はわかりません。当時の関係者のインタビューでもとれば、歴史的・文化的価値のある本が書けるでしょうよ。それはともかく。
この森永ガンダムチョコスナック。買ってあったんですな。当時(たしかマルエツで買った)。しかもアソートなのにしっかり主役機のガンダムを引き当てていて、さらにバズーカ付きのモデル。それをパテ埋めして整形を企み、作りかけていた。
そして放置した(1984年からずっと)
なっがいよ。時々取り出して眺めてはいたけれど。決して作ろうとはしなかった。
イロイロ理由はあるのだけれど、つまるところ、上手に作りたかった。大改造もしてみたかった。でも、そんな技術は無かった。だから、できなかった。
しかしながら、近年大問題が発生していました。
老眼の進行デス。
このままでは、こんな小さなキットを作ることは不可能になってしまう。それでは惜しい。わたしにも惜しいものがある、という意外な発見でございました。しかもガンプラ。しかもチョコのオマケ。
そして手元には、なんとなく興味で持っていた拡大鏡眼鏡がありました。100円ショップのセリアで100円。ハ〇キルーペ的なアレです。100円だけど。
放っておけば老眼は進み、もうコレを作ることはできなくなる。しかし手元には拡大鏡眼鏡がある。ならば・・
やるしか!
というわけで強引に作ってみました。
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さてこのキット。さきほど出来はいろいろと書きましたが、主役機のガンダムだけあってか出来は非常に素晴らしく、プロポーションもディテールも(この大きさにしては)極めて良く出来ています。
パーツは胴体が中空の前後2パーツ、ランドセルが1パーツ、頭部が角と頭部の2パーツ(!)、腕、足がそれぞれ1パーツの凄い構成です。
胴体からランドセルこそ中空ですが、頭部、腕、脚部はムクの成形でプラスチックの塊になっています(スゴイ)。
そのため頭部、腕、足には流し込んだプラスチックが入りきらなかったり、収縮して発生する【ヒケ】が大きく表れていて、それ故に昔の私はパテ埋めをしようとしていたんですな。
このヒケを除けば、頭部には顔すら彫り込まれているという素晴らしい造形で、ルーペで見ると感動を覚える出来栄えです。さすがに若干甘いですけど。
※ ビームサーベルが非常に短いのは最初からの仕様です。たぶんこれ以上長いと型から抜く時に具合が悪かったのではないかと推測されますが、真相はワカリマセン。
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こんなに小さいのに、肩と首が回転し、足の付け根が前後に若干可動する驚異の仕様。
しかしその折角の可動部を切り離し、固定ポーズで製作することにしました。設計は素晴らしいのですが、カタカタして立っていられなくなるので。
塗装は黒立ち上げに挑戦して、最初にすべて真っ黒に塗り、それからリアルタイプカラーとプロトタイプカラーの中間みたいな色にしてみます。その方がこの小スケールでも情報量が増えて見た目が締まりそうだから。
写真はその途中。上にあるのが100円ショップの拡大鏡眼鏡。めっちゃ使えます。
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この100円ショップの拡大鏡眼鏡を使って、毛を刈って目いっぱい細くした面相筆を使い、およそ7ミリくらいのガンダムの頭部を塗ってゆきます。目と、鼻(赤い部分)と、クチバシと、マスクのダブルへの字とヘルメットの耳の穴(?)。手に持てないので余っていたランナーにくっつけて塗装。塗装後に切り離します。
ダブルへの字は失敗しました。もうこれ以上細く描けない。
耳の穴は左右で各5個の穴が開いているはずですが、どうも開いているよ言うな、開いていないような、よく判らない。一応見える範囲を塗って4つ穴にしました。拡大鏡があっても、老眼がこれ以上進んだら、たぶんこんな筆塗り塗装は出来ない。間違いなく出来ない。だからこそ、作るなら今しかなかったのです。今作らないと死ぬまで作れない。プラモは墓場へは持って行けません。墓に入れてもらっても作れないのでは楽しくない。
と、いうわけで目をショボショボにしながらルーペ越しに苦労して塗り分けました。たぶん二度と出来ない。
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そんなこんなで苦労して塗装を済ませ、100円ショップで買った木工素材の木材に乗っけ、A4コピー用紙に出力したラベルを貼って完成です。すべてアクリル・ガッシュの筆塗り。
せっかくの付属品であるバズーカは手に持たせるとぎこちない哀しい姿になるので足元に固定。出来はいいんですがねぇ。
上から見たところ。
一応墨入れもしたんですが、腕前が悪すぎて太っとい線がついているだけ、という哀しい結果に。
しかしこうして見下ろしてみると、がっしりした肩幅や適度な大きさの肩、薄いランドセル、といった見事なプロポーションが非常に素晴らしく、往年の造形の方が、近年のバンダイ・ガンダムよりもよほどガンダムの雰囲気を醸し出していることがよく判ります。
特に、前に飛び出し過ぎていない胸部中央の逆階段部分が素晴らしい。ガンダムの本来の造形について、学ぶことの多い見事なキットです。これでチョコスナックがついて100円。素晴らしい。
現在はプレミア価格がついてオークション等では2500円しますけど(哀しい)。
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襲い来る老眼の危機を文明の利器(100円)を持って乗り越え、36年の刻を超えてやっと完成。
長い。長すぎる。だがこれで死ぬまでに果たすべき思い残しは消えた。
黒を塗ってから開始する黒立ち上げという塗装手法は、挑戦しましたがヘタクソな厚塗りのせいでぜんぜん上塗りの濃度に変化が出せず、結局落ち着いた色になった以外は特にシャドウの雰囲気もなくどうということもない結果に。腕が足りません。
アクリル・ガッシュによる塗装は剥げやすいことが前々回のぺぺろガンダムで判明していました。サーフェイサーによる下地作りで定着が良くなるのではとも思いましたが、小さなディテールが潰れそうで今回もサーフェイサーによる下地作りは行いませんでした。動かさないのだから剝げないのでは、と思いましたが、どこかにぶつかったらしく、胸の角の絵の具が剝がれているのが確認できます。
やはり下地なしではアクリル・ガッシュの塗膜は非常に弱いようです。
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かくして完成。森永 ガンダムチョコスナック 1/300 ガンダム(バズーカ付き)。
実は今回、製作中に頭部のパーツ(7ミリくらい)をうっかり手元から飛ばして紛失してしまい、一時は
あぁ、結局作れなくなってしまったか・・
と諦めかけましたが、不思議なことに、本人の想像をはるかに超えてこのチョコのオマケキットへの思い入れは強かったらしく、翌日、可能性のある空間を徹底的に、懐中電灯片手に根性で捜索して発見するというミニドラマを展開していました。
指の間から飛んでいった小さな小さなパーツをついに発見した時、高らかに鳴るファンファーレと共に、ガンプラの神(誰だよ)の声が響きました。
積まず投げずに諦めず作れ。
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御意のままに。
だから、このチョコのオマケは36年の時を超えて完成したのです。諦めなければ出来ることがある。
ゆけ。ヘタクソな腕と微かな勇気をもって。
このわずか6センチのガンダム像は、そのようなことを静かに語りかけているのです。(なんつってね)
そして・・・作りかけのプラモデルは次々と発掘されるのでしたとサ(プラモ地獄)。
2022.09.26
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