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つくづくやなタイトルだなぁ


視野率 95% Ver2.0


Part.1 視野率 95%


  数年前にデジタル一眼レフを買って以来、写真をたくさん撮って遊んでいる。
  わけても PENTAX の K10D を購入してからは、その卓越した発色が気に入って、レンズを買い増して花の写真から渓流からどうでもいいものまで、のべつくまなしに撮った。
  それらの写真は、なぜかこのサイトの写真コーナーにはほとんど掲載せずに、覚え書きのように日記コーナーの方へ次々とアップロードしているのだったが、以前から口惜しく思っている点が一つあった。

  写真が真ン中に写らないのである。

  どういうことかというと、例えば花の写真を撮ると、ファインダーで覗いた画面の中央に捉え、シャッターを切ったはずの被写体が、開いてみると右下にズレている。
  一度気がついてみると、何を撮ってもそうなるのが自分で解るので、仕方なく、ファインダーで構図を決めてから、軽くカメラを右下に「振って」、「たぶんこの位置に置くと画面の中央にズレてくる」と思われる想定位置へ、被写体の中央に起きたい部分を置いて撮っていた。
  この方法は概ね成功していて、わたしはこれをカメラのファインダー視野率が完全に 100% ではないせいだ、と思って納得をしていた。

  ファインダー視野率というのは、ファインダーに見えた範囲が、実際に撮影される画面のどのくらいの比率であるかを示す数値である。視野率 100% なら、ファインダーに見えた範囲が全部写るが、視野率がそれ以下ならば、ファインダーに見えた範囲よりも、実際はもうちょっと広い画面が撮影される。
  100%を完全として、たいていは 92〜96% であるから、その差はほんの数%に過ぎないのだが、それでもファインダーに見えた範囲が、まったく、完全に撮影される画像と一致するわけではない。
  使っているPENTAX K10D のファインダー視野率は公称 95% である。
  ファインダーには、実際に写る範囲の約 95% が見える。
  そして、K10D の「ファインダーに見えないが、実際には写る範囲」は、(わたしの場合)右と下よりも、左と上の方が大きい。その結果、撮影した画像は、ファインダーで見ていたよりも右下にズレて写る。
  そういうものだ、と思っていた。視野率が完全ではないカメラは、ファインダーで見ているよりもほんの少し広い範囲が写り、わたしの PENTAX K10D の場合、その範囲は左と上がちょっと広めだ。

  ちょっとくらいイイじゃネェか、という意見もあるだろうが、花の写真を撮ろうとすると、これは意外と残念である。写る範囲が全部見えない、ということよりも、「右下にズレる」、言い換えれば、真ン中に撮ったつもりのものが、真ン中に写らない、という点が重要なのだ。
  画面のド真ん中にコレが欲しい、と思って被写体の構図を決めているのに、撮影すると、それは実際には右下にズレて写る。一眼レフのカメラはファインダーで見たままが写る、と聴いていたのに、これじゃあ詐欺だ、「ファインダーで見たままに写る、そういう一眼レフカメラ(中には)ある」と云うべきだ、と愚痴の一つもこぼしたくなろうというものである。写真野郎などというものは、構図にこだわりのある輩が多いのである。わたしだってそうなのだ。
  だから、この仕様はちょっと残念だった。というか非常に残念だ。真ン中に撮ろうとしたモノくらい、正確に真ン中に写してくれよ、と正直思う。
  しかし、PENTAX の K10D はどちらかというと安手のカメラであるし、高価いカネを払ったわけではないから、仕様とすれば文句も言えない。イヤなら視野率 100% の、高価いカメラを買えばいいのである。買えないけど。
  だから、そういうものなら仕方がない、と撮影の度、シャッターを切る寸前にカメラを右下に微妙に振る、というヘンな撮影方法を取っていたのだったが、ある日、知人がその話を聞いて述べるには、

  そんなことはない。視野率が低いから見えているよりやや広い範囲が写るのは当然としても、その写り込む視野外の範囲は上下左右均等であるはずだ。そうでなければ構図を作ることに意味がない。当然、写真野郎達は皆文句を云うはずだが、そんな文句はインターネットの掲示板(2ちゃんねるですな)でも聴いたことがない。それは、壊れているか、不良品なのじゃないのか。

  ・・・・え?
  とわたしは驚愕した。そーなの?
  これが普通なンじゃないの?
  いわれてみれば、視野率が 100% に達しないカメラは、撮影した画像が上下左右いずれかにズレる、という話を、定番のように初心者に語って聴かせるような情報は、ネットでも既存のメディアでも聴いたことがない。カメラの雑誌によく載る初心者 Q&A のような記事でも、写真の入門書でも、そんな記載は読んだことが無い。ということは・・・。
  それはひょっとして、当たり前のコトじゃ無かったンですか?
  がーん。
  というわけで、実験してみた(←ヒマ人)。

  PENTAX K10D の画面比は縦横が3:2であるから、ファインダーから見える範囲も3:2であろう。そうと仮定して、ドローソフトで A4 の用紙に 270mm×180mm の四角形を描き、インクジェットプリンタで普通紙に出力して、その紙を家の壁に貼り、その前に置いた三脚にカメラを据えて、比較的歪みの少ないであろう 50mm のマクロレンズを付けておく。
  なるべく中央から見るようにファインダーを覗いて、(水平を確認する試験ではないので)カメラの水平とは無関係に、ファインダー内の外枠いっぱいに、貼り付けた紙の上に描かれた3:2の四角形の枠線が接するまでチマチマと三脚を前後させ、カメラを傾け、あるいは三脚を伸ばして調節する。
  ファインダーの、外枠一杯に四角形が接したら、レリーズを使って静かにシャッターを切る。
  そうして撮影したのが、↓の写真である。   




PENTAX K10D D-FA50mm f2.8 Macro
※掲載用に縮小しており、Exifはついていません。




  視野率以前に左上方向に スゲェ歪んでる のがかなり哀しいが、ファインダーで見えなかった範囲、つまり赤い枠の外側にある白い部分は、やっぱり左と上のほうが比率が大きい。
  四角形はファインダーで見ても少し歪んで見えていたので(こんなに歪んでは見えなかったが)、左上と右下の角を、ファインダーの各々の角に接するように撮影している。線の一部は、ファインダーでは曲がって両端を(ファインダーの)外枠に接しているように見える。
  やっぱし右下にズレて写る。

  そこでペンタックスのヒト(お客様相談センター)に、写真のオリジナル画像を添付してメールを出し、これは正常ですかと訊いてみた。いただいたお返事は、

「直接調べてみないとなんともいえないが、画像から判断する限りは仕様の範囲内だと思う」

  といった内容であった。
  なんだ、やっぱりコレが仕様なンじゃないか。
  でも待てよ、と思い、K10D 以前に使用していた CANON の KissDN を持ち出して、同じコトをやってみた。CANON KissDN の視野率も、同じく公称 95% である。     




CANON Kiss Digital N EF50mm f1.8
※掲載用に縮小しており、Exifはついていません。




  ・・・・やっぱし歪んでる。・・のはまぁ良いとして(良くは無いンだけど)、なるほど、これも上下左右の枠外の白の比率は均等じゃない。そして、やっぱり左と上の方が比較的大きいのはなンでだろう。ファインダーを見る位置にクセがあるのだろうか。と思うがよくわからない。一つだけよくわかったのは、
  視野率 95% のカメラの視野外の範囲、「見えないけど写る範囲」は(少なくともこの2機種に関しては)、上下左右均等ではない。
  つまり ズレて写る。これは、やっぱり、どうやら仕様であるらしい。ファインダー視野率 100% のカメラでない限り、真ン中に撮ろうとしたモノは、真ン中には写ってくれないのだ。
  ・・哀しい。
  という結果が出たのは無益な実験であったが、ファインダー視野率 100% 未満の一眼レフカメラでは、撮影画像はファインダーで見たよりも上下左右いずれかにズレて写る、という情報が滅多に聴かれないのは不親切だ、と思うので、カメラのファインダー視野率に興味を持った向きのために、アップロードしておく。御参考になさって、納得するなり、ガッカリするなり、高級なファインダー視野率 100% 機を買おうと決意するなりしていただきたい。
  皆様のお役に立てるなら、わたしもこの哀しみを乗り越えて強く生きてゆけるというものである。
  ていうか、画像の四角形が2機種とも スゲェ歪んでる のは強烈にショックでございました。2機種とも単焦点の 50mm 標準レンズで、しかも D-FA50mm の方は6万円もしたのに(泣)

  ところで、ファインダー視野率 100% のカメラなら、撮影画像は、ズレたりしない、よね?(笑)>高級カメラのメーカーさん(2009.04.02)

Part.2 視野率 100%?


  と、書いたら、知人が公称視野率、約 100% のカメラを貸してくれた。これでも確かめてみたまい、というわけである。
  ニコンの誇るフラッグシップ(だった)デジタルカメラ、かつてのプロ用機「D2X」である(どど〜ん。なんでそんなの持ってンねん)。
  うひゃあ。
  さっそく三脚に乗せて、同じように壁に 3:2 比率の四角形を描いた紙を貼り(前回使用時のものと同じ枠。ただしサイズ表示が枠の外に出ています)、ずりずりと三脚を動かして可能な限りファインダーいっぱいに四角形を入れて撮影してみた。
    




Nikon D2X Nikor 50mm f1.4
※掲載用に縮小しており、Exifはついていません。




  ・・・なるほど。
  多っ少〜歪んでるし、ファインダーで見ていたよりもごく僅かに枠の外が写りこんでいるが、ほぼ一杯、外枠に非常に近い。
  直線の傾きは、わたしの視点のせいであるらしくて、オーナーである知人自身がファインダーを覗いて撮影したカットは底辺がぴっちり合っていたりする。撮影者の、ファインダーを覗く視点にもクセというものがあるようで、わたしは少し傾いて覗き込むクセがあるようだった。しかし左右に少し空白が出るものの、愛機 K10D よりはさすがにグッと正確に写っている。伊達に(発売当時は)クルマが買えそうなくらい値が張るわけではないようです。これ以上を望むとなると、視野率 110% とかが要りますな。
  それでもちこっと枠外が写っているし、ほんの少しですが歪みがあるのは、ペンタプリズムとレンズの性質上、そして工業製品であって大量生産を前提にしている以上は止むを得ないところでしょうから、この限界を超えるには視野率完全100%の大型液晶ビューファインダーと、これまでのレンズの常識を覆す非球形構造の撮像レンズが開発される遠い未来を待つしかないようでござんす。
  でもこれくらいなら納得してもイイかも。やるじゃん D2X (←最高性能機なんだってば)。
  納得したところで、知人がついでに持参してきたキャノンさんのちょい前のデジカメ、EOS 40D に、KissデジタルNのテストに使った 50mm f1.8 のレンズをつけて、同条件で視野率と歪みをテストしてみました。40Dの公称視野率は約 95% です。
    




CANON EOS 40D EF50mm f1.8
※掲載用に縮小しており、Exifはついていません。




  ・・・・。
  あらあら?
  視野率はなるほど PENTAX の K10D、KissデジタルN と同じなので、同じくらい枠の外が写っております。ただし上と右の余分に写る率が高い。これは固体の差としても・・。
  歪んでないじゃあーりませんか。KissデジタルN に同じレンズをつけたときは盛大に歪んだのに・・。   同じレンズを付けているのだから、同じくらい歪む、と思うじゃありませんか普通。レンズのせいならば。しかし 40D の撮影画像は枠がほとんど歪んでいない。カメラが変わるだけで、撮像素子に届く画像が変わるの?(ンなこたぁない)。それとも、KissデジタルN の撮像素子が歪んで写る素子なの?
  そこでしばらく悩んで、ふと思ったのは、
  1.レンズの歪み特性はカメラが変わっても変化しない。
  を前提とすると、
  2.デジタルカメラは取得した画像データをデジタル情報にする際、アナログ/デジタル変換とともに色情報等を補正して記録している。
  ことから、40D の歪みの無さの謎が解けるのでは、と思いまスた。つまり、Panasonic さんの大好評な小型デジタル一眼カメラ「 G1 」が、標準付属ズームレンズでの撮影時に盛大な歪み補正をしていることで知られるように、キャノンさんもまた、40D で撮影直後の画像データに歪み補正を施して画像を記録しているのでは・・・というカラクリです。
  素人考えですから根拠は撮影した画像にしかありませんが、上記のように考えないと、同じレンズで撮影画像の歪みが変わる現象を納得できません。
  キャノンさんも、最近の機種では撮影直後に歪み補正をしているのでは・・・。とふと思ったことを付け加えておきます。
  いずれにせよ、視野率公称約 100% のニコン D2X はバッチリそれに近い視野率を示してくれたので、なるほど厳密な構図を求めるなら視野率 100% 機を買うか、トリミング前提で撮るか、将来現れるであろう極めて優れた液晶ビューファインダーを待つしかないな、ということでこの話はオチるンですよ。

まあねぇ、どの機種であれ、デジタルカメラの撮影画像は、ありとあらゆる補正がかかった結果なワケですから、
ついでに歪みを補正していたからって、
別にイイじゃねぇか
という気はしますがねぇ。(2009.05.03)




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