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つくづくやなタイトルだなぁ


祭半纏はおはお♪


  お祭りの法被(はっぴ)を買ってしまった(半纏じゃないのかって?  どっちでもイイじゃねェかベラボーめい←着衣で江戸っ子モード)。
  背中に「祭」と紅白に染め抜いた、黒い薄手の半纏(はんてん)である(どっちなんでしょうねェ)。
  地元の市内に、まだ町内だった頃、あるいはそれ以前の古くからある衣料品店に「祭用品」とデッカク張り紙がしてあったのを見て、こ、こ、これはと思わず見せて貰った。
  ド田舎の衣料品店、というのは、田舎の爺ちゃん婆ちゃんオッチャンオバチャンには馴染みの店でも、若い身空には失礼ながらあまり縁のない店である。どうしても郊外型の店舗に行ったり、デパートのカジュアルショップに出向いてしまいがちでなかなか入る機会がない。せいぜいが、ついこのあいだ(一部ウソ)中学の制服や指定の鉢巻きなんぞを買いに入ったくらいである。
  しかしながら祭用品と大書されていれば事情が異なる。これではのれんをくぐらぬわけには行かぬ。入ってみると、店内には広い畳が半分敷かれていて、その奥には打ち掛けが飾られており、主人はこの畳の上で、レジを前に客と商談をするかたちになっていた。要するに、古い呉服屋の形式をそのまま残した店構えなのであった。時代が時代なので店舗の半分は床に洋服掛けを並べて洋服が並んでいる洋風形式なのだが、半分は純和風で、主人はここで商談、というか田舎のコトなので常連のジジババと茶飲み話をしつつたまに洋服を売るようだ(推測だが)。
  祭半纏(まつりばんてん)があったらぜひ見せてくれ、と頼むと、モノは取り寄せですが、と奥からカタログを持ってきてくれた。見てみると高価な物もあるが、意外に手頃な値段のものもあったので、迷わず注文した。話を聞くと、以前から祭用品を商ってはいたらしく町内、いや市内の太鼓クラブや、学校の学園祭イベントなどで売りに行けば買ってくれる常得意がちらほらといるのだという。声を掛ければ市外の団体などでも買って貰えることがあると云う。
  半纏だけでなく、足袋や兵児帯、袖抜き、外套、名入れのサービスと、およそ祭にちなんだ衣料品はみなカタログに乗っている。祭にちなまなくとも、あぁ、そういえばこんな服があったっけ、と感心するような昔風の筒袖までも並んでいて、柄や模様も豊富、素材やサイズもアレコレあって眺めているだけで楽しかった。それらはみな商っているというので、ついでに甥っ子姪っ子の子供の日祝いに「キンタロさん腹掛け(1〜3歳児バージョン)」を注文してみた(わかりにくい人のために説明すると、昔話の金太郎が常時着用している、菱形の布の中央に「金」と染め抜いた腹掛けである。襟元は水平の黒い縫い取りになっている)。実用性はともかく、たぶん親にはウケるに違いない、と半分冗談のつもりである。
  実をいうと、お祭りの法被(半纏)は前々から是非欲しかったのだが、どこに売っているのかわからなかったのである。見ると長さがいろいろあって、中には一メートルを越す長いものもある。背中の模様も実に様々で、オーソドックスな「祭」の文字から金刺繍の竜虎、花札の模様などピンからキリまである。「祭」と染めた下の模様も、波模様から丸い模様を連ねたクルマなんとかというのまでいろいろとあるようだったので驚いた。
  こうした多彩な下町風俗(?)が山のようにまだあって、しかもよく売れているというのは少しも知らなかった。
  古い会などになると、こだわりがあって特別高価な物を選んで注文したりもするのだそうだ。一方学校のイベントなどでは安めの緑色や赤黄色の文字無し半纏で済ますことが多いという。
  わくわくしながらカタログを眺め、結局オーソドックスな黒地の背中に「祭」と白い縁取りの赤い文字が大きく染め抜かれた、荷車の輪を繋げたような模様の入った半纏を注文してみた。着丈は八十センチで、襟には「若睦」と書かれている。お値段四千五百円。

  ←コンなの。

  取り寄せだから、来るまでにしばらくかかった。来たというので行ってみると、思っていたよりやや大きめの、少々硬めの生地で出来ていた。丈夫そうでたいへんよろしい。
  早速着てみた。着てみると意外にも(いや当たり前なのだが)、自分ではどうなのかよくわからない(笑)
  着心地は、そう、剣道着を思いっきり薄くしたような感じである。祭半纏とはいえ、夏に着ると少々暑苦しいかも知れない。袖は筒袖なので財布を入れておくというわけには行かぬが、腕組みをすると両の手首がすっぽり入ってたいへん楽しい。
  これを着て、床几に腰掛けゆるりと煙草などふかした暁にはわたしも下町っ子の仲間入りである(たぶん)。うなぎの寝床のごとき狭く奥行きのある家に住まうのが適当であろう(なんでやねん)。そうなると四角い火鉢も欲しいし、階段の下には段々の引き出しがなくてはならぬと、なにやらよくわからない想像が広がってくる。
  正直に言って、着ているとけっこう暑いのだが、黒い法被をひっかけた己の姿には満足至極である。
  祭は好きだが、参加してわいわいという柄ではないので一人家着に着ては悦にいるだけなのだが、これが存外、結構楽しい。祭半纏をひっかけて、マウス片手にコンピュータを操る姿を御想像いただければその楽しさもうかがい知れようというものだ。
  そんなわけで、楽しい買い物をした、という、これは、自慢なわけなのである。
  機会があったら、買ってみてはいかがで?
  ごく若い向きには街など歩けば、人目を引くこと請け合いであるし、意外性があって部屋着にも良し、はしゃぎに行くのにもウケそうではないか。
  意外なモノは、意外なところでまだ売っていたりするのである。   


実は、お祭りの法被を着るのが長年の夢だったのだ!

(2003.05.07)




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