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つくづくやなタイトルだなぁ


昔、暗い森の中で



  夕食に安ーい鳥の手羽先が出まして。
  山盛りになって一山50円、とゆー激安商品。添え物のように並んだんですがガツガツと喰ってしまいやした(基本的に安っぽい料理が大好き)。
  ところがですな、これがあ、見事に、肉がない(笑)
  ちっこい上に骨ばかりとゆー、安さも納得の一品でした(文句をいってるわけじゃござんせん。好きなんです)。
  歯で皮を剥ぎ、骨を三つに解体し、ほとんどついていない肉を歯と歯の間でこそぎ落とすよーにむさぼり喰うこと一時間。
  ばらけた骨の山を築きながらふと思ったのは、その昔、中世暗黒時代の東欧の森の中。旅人達が、小さなナイフでこの肉を削ぎ落として喰う光景でした。
  ナイフ。なるほどナイフで食事をするというのは、こうやって骨付き肉を喰うところから始まった習慣なのかも(かもかも)、ってね。
  元々ナイフで食事をするというのは、私たちにはイマイチピンとこない食事法ですけれども、それは皿に乗っけた平たい肉を切り分けるようにしか考えていないから、そういう風にしか使ったことがないからなのねん、と思いましたぜ。
  骨付き肉を、それもろくすっぽ肉の付いていない骨付き肉を一片残さず胃に収めようと思ったら、それはもう、ナイフこそ 最良のツールですわ。切断力の鋭いナイフではなく、削ぎ落とす道具としてのナイフ、それが欧州の食事用ナイフの姿なのではないかと。そう考えると、私たちにはこれまたピンとこない、ナイフでそのまま肉を口に運ぶ習慣、というのもうなずけます。
  私たちがナイフとフォークで欧風に喰う肉はせいぜいが柔らかいステーキですから(貴族並ですな)、肉はフォークに刺して喰うもの、と考えがちで、欧州の人たちが時折ナイフで肉をそのまま口に運ぶのを見たりすると「えぇっ」とか思っちゃいますけど、(食事用の)ナイフは肉を削ぎ落とすための刃の鈍いもの、と考えると、実に納得がゆきます。
  まして、それがタンパク質の補給しづらい、古い中世の森の中だったとしたら?
  まして、芸人などの当時頻繁に旅をしていた人たちが、肉を得ようと鳥などとっつかまえたとしたら?
  まぁ、中国人じゃないんですから中華鍋常備でもなし、揚げはしないでしょうが、羽根と皮を剥いで火にかけて焼くか、煮るかしてその鳥さんから肉を得ようとするならば、そりゃあどんなに肉が少なくとも、その肉を一片も残さずたいらげようとするでしょうなぁ。肉、レアなわけだし。
  そこで瞼の裏に浮かんじゃったりしたわけですよ。たき火を囲んだ彼らが、手にした肉の少しもついちゃいねぇ鳥の手羽をですな、取りいだしたる小さなナイフで大事に大事に、肉を残してなるものかとばかり一切れの肉も余さず刃を滑らせてこそぎ取り、さも旨そうにナイフを傾け、口に運んでゆく光景が。ナイフの先の一切ればかりの、あるのかないのか判然としない肉片を、宝物のようにね。
  なるほどなぁ、と安い手羽先の肉のない骨を歯の間でこそぎながら、こーゆー時はナイフだなぁ、と、思っちゃったりしましたですよ。お肉の補給に血眼になっていたなら、そりゃあもう器用にナイフを操って、執念込めて肉を喰うだろうなぁ、とね。で、食い残しの骨は、肉の一切れも残っちゃぁいないそれはそれはキレイな骨になるんだろうなぁ、ってね。
  なるほど、西洋人はナイフの扱いがうまいはずだわ、と納得してしまいましたわ。イヤ、もちろん全然根拠になってないんですけど(笑)


って食事中に妙なこと考えてんじゃねぇよ(笑)
(2001.Aug.14)




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