「むかご」って知ってますか?
山芋の小さなヤツ、つまり山芋の子供なんですがね。ちょうど南京豆よりちょっと大きいくらいのサイズで、黄色や茶色や黒い色をした、マイクロジャガイモみたいなカタチのコロコロしたモノです。丸かったり、丸くなかったりします。あまり見た目の麗しいモンじゃない。
山芋は蔓に生るんですが、これが小さいころに摘んでしまうと「むかご」、大きくなってから摘むと「山芋」。
何の事はない山芋なんですが、子供のころはむかごと呼ぶわけです(全国区でそうなのかどうかは知りません)。一般にはあまり見かけませんが、田舎ではこれが食い物としてたまに扱われます。そのヘンの庭に生ってたりしますからね。
山芋に育つ前に摘んじゃって、ふかして塩かけて食う。食ってみると、まぁ、別に特別に美味かぁない(笑)
ごろごろした、粘りけのない淡白な舌触りに塩の味がするだけです。代用食品みたいなものだったのではないかと思ったりしますが、不味いわけでもありませんが、特筆するほど美味いモンじゃあない、・・んですが。
これを御飯に炊き込んだ「むかごごはん」ってなモノがございまして。まぁ、塩で味をつけて炊き込んだだけの混ぜ御飯なんですが、これが意外にですな、むかご単体で食べるよりず〜〜っと美味い。御飯の味に合ってます。少々、高級さには欠ける野趣に満ちた味ではありますが。
あっさりした味がご飯の甘味に合ってどんどん食える、田舎風味の素朴な味わいがあります。で、この「むかご」ってものは田舎でしか食わないローカルなモンかと思っていましたらば、国道に沿って最近全国に普及している地元農産物の直売店舗みたいな「道の駅」(御存知ですか?)なんかで、パックに入って売っているのを発見しました。その名も「むかご」とそのまんま。見ると黄色味がかったものから黒いものまでごろごろと入っているのはまさしく山芋の赤ちゃん「むかご」。
売っているとは知らなかった。(まぁ、なんでも商品になる御時世ですからね)
前述の通りご飯に混ぜて塩味をつけると、すごく美味いとはいいませんが、素朴で田舎風な、のんびりした味わいの混ぜご飯が作れます。
農村地帯の、あまり知られていない「秋の味覚」の一つです。広がる田んぼと点在するこんもりした森(農村ではヤマと呼びます)の形作る、田舎の夕暮れ風景によく溶け込んだ素朴なご飯ですな。やや、ざらざらした舌触りではありますが、それが田舎風味。
どの「道の駅」でも売っているのかどうかは知りませんが、たまに出かけて立ち寄る機会がおありの際には、もし見かけたら、ちょいと買ってきて炊いてみちゃいかがですか、「むかごごはん」。
癒し系とまで云うと云い過ぎですが、大雑把でだらしのない、のんびりした田舎の風味がお口の中に広がりますよ。(たぶん)
のんびり、休めるご飯です。
いわゆる珍味ですな。 (2002.Nov.10)
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