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つくづくやなタイトルだなぁ


衝撃!  視界は立体的だった!


  それが普通のことなのかどうか、よく判らないのだが、目に見えるものが、奥行きのある立体的な見え方をする、という現象がつい最近始まって、非常に驚いている。
  ある時から急に、目の前の風景が、まるで、ジオラマ模型を斜め上から見下ろした時のように、立体的に立ち上がって見えるようになった。
  おかしな言い方だが、要するに、それまでは、そのように認識していなかったのである。ある瞬間から、突然、風景は立体感を持って立ち上がってきた。そこ、つまり視界の中に【奥行き】が存在すると気がついたときの衝撃といったらなかった。
  特に我が家の周辺は、低い丘に囲まれた川沿いに田んぼが延々と横に広がっている低地で、非常に視界が開けている。見ようと思えば、6km先の丘の向こうにある高層マンションの上層部分や、はるか彼方の陸橋の上を走る電車だって見ることが出来るくらいだ。
  目を凝らすと、それらが、まさしく巨大広大なジオラマのように【奥行き】と【高さ】を持って迫ってくるのだから仰天した。
  それとも、それは、皆にそう見える、ごく普通の光景なのだろうか?
  もしも普通のことなら、そんなことをわざわざ表現する人は居ないだろうからよく判らない。
  いずれにもせよ、それまではそうと認識していなかった新緑の広大な田んぼと丘の連なりとが、はるか彼方まで続く立体の光景として見えてきたときの私の感じた衝撃といったら、どう説明していいものなのかうまく言葉にすることが出来ない。
  強いて言えば【立体感】というところで、外の風景の何を見ても、とにかく立体感!立体感!スゲエ立体感!と感動していた。
  こうなると可笑しなもので、見るもの見るもの、全てが非常に新鮮な光景になってしまう。少々目が疲れるのだけれど、それは、これまで常にそうだったような、目を開けにくくなる痛みを伴ったそれとはまったく異なる。単に、見慣れないものを見ていることによる疲労である。
  そうしてごく普通の、見慣れたその辺の風景を見ては、先日まで露ほどにも感じなかった立体感に吃驚していた。
  風景の立体感の凄さを知ったら、紙の上の写真や、画像や、絵などがつまらない物に思えてならない。立体感の楽しみたるや、平面画像の比では無かったのである。
  個人的には、たいへん感動する事件だったのだが、よく考えると衝撃的なのはそのことではない。むしろ、そうと気づいた理由、すなわち【これまではそう見えていなかった】ことのほうが衝撃的であるとは言わずもがなの理であろうと思う。
  一度立体的な光景を感じ始めると、じゃあ、それまではどのように光景を見ていたのか、よく思い出すことが出来ないのだが、無理に思い出して見ると、なんとはなし、足元以外は一枚の絵面のように見ていた記憶がある。(足元は立体的だった)
  でも、これまでのわたしが正確にはどんな光景を見ていたのかは、ほんの少し前までずっとそうだったのであろうに、もはや確実に思い出す事は出来なくなってしまった。
  いつから、なぜ、そうだったのかはわからない。昔から強い乱視で、にもかかわらず眼鏡を嫌ってかけていなかったからなのか、それとも、何年か前にものすごく小さな文字を裸眼で見ようとして目を紙にかなり近づけて、見えたと同時に目の奥に強い痛みを感じてからなのか、特に原因はないのか、判然としない。
  でも突然、視界は立体的になったのである。そして、風景を構成するものは立体なのであるから、たぶん、この、立体に見える視界こそが正しいのだろうと思う。わたしは、突然、正常な視界を回復したのである。
  最初からそういう視界を持っている人には、逆に、たぶん何のことを言っているのかお判りいただけないと思う。そうでない視界の感覚があるということがそもそも理解しがたいだろう。しかしながら、そうでない視覚の中から、この立体的な視野を獲得した感動もまた、お判りいただけないだろうと思うと、ちょっと得をした気になる。
  こんな感動的な衝撃体験を出来ないなんて、なんと残念な!
  これまで長きに渡ってへんてこな視界の中に居たのかもしれないが、それ故に、立体視の感動的な体験を楽しむことができたのだ。
  世の中は、実に、なんという立体感に満ち溢れていることだろうか!
  立体感に満ち満ちた新緑の田畑の緑は、じわりと涙が浮かんでくるほどに美しい。
  わたしはこの感動的な世界を目にするために、様々な光景を見てみたいと思う。
  この感動は希望である。
  たぶん、非常にお判りいただきにくいとは、思うけれども。

(2013/05/29)




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