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 SEの35歳の壁〜その乗り越え方〜NEWSEの心得SEの仕事SEの仕事詳細システム構築業務知識獲得ソフト業界ソフト裏話

    visitors since September 23rd, 2003.

筆者小林健三からの特別のご案内:
筆者の著作「SEの35歳の壁」〜その乗り越え方〜が4月25日にソフト・リサーチ・センターから出版されました。
あの有名なアマゾンのサイトで、下記の書物のレビューが掲載されています。また、日経コンピュータの書評欄にも掲載されました。
アマゾンのサイトで、これらのコメントをご覧になれます。
アマゾンのサイトでご購入になると、送料が無料です。

SEの心得え,マナー、心構え(公開版)

第1版投稿:2003年9月27日
最終更新:2003年10月30日
最終更新:2004年1月30日
最終更新:2005年2月9日

関連のあるサイトは下記の通りです:



2005年2月8日、NHK総合テレビで夜中に再放送された「フリーター漂流〜モノ作りの現場で〜」という、恐ろしい番組を見ました。例の、評判の2ちゃんねるで、放送と同時進行で、掲示板が進行していました。60代を迎えた私は、「これは間違っている。会社が人間を壊している。会社が壊れている。社会が壊れている。」と思いました。私は私なりに、物作りの現場で長年過ごしてきた者ですが、これほどひどい日本になっていることは、正直な話、存じ上げませんでした。以前も、2004年1月20日のNHKクローズアップ現代「オンラインゲームにはまる儒教の国『日韓』の青年達」を取り上げて論じました。

この記事に関するコメントは後日させて頂くとして、基本的に「今の若者はかわいそうな環境にある。会社は傲慢である。フリーターにせよ、派遣社員にせよ、バイトにせよ、パートにせよ、労働基準法を守り、日本国憲法を守り、労働者を人間として処遇するべき者である。フリーター達を人間部品みたいに使い捨てにしなければ会社が潰れるのが現実とは言え、労働者を人間として処遇するほうの優先順位の方が高い。」というのが、私の見解である。

SEやPGもどちらかと言うと、適切な処遇を受けていない職種である。今回のNHKの「派遣会社に振り回されるフリーター」ほどひどい状況ではないことを願うが、手に技術を持たないSEやPGは、フリーターと同じ処遇を受ける可能性は大である。そのため、このサイトのオーナー「小林健三」は、SEのサポーターを任じているわけだから、SEが必要とする情報を無償で提供することは当然私の義務であると認識している。実を言うと、このサイトを運営するに当たり相当の費用が発生するのであるが、一切の収入はこのサイトから得られていない。そのため、会員制のサイトを充実し、それによる収入を期待しているのであるが、私の運営方針の方が優先である。そのため、会員制サイトは「用語集」に限定する。また、公開しているサイトの上級の情報を提供するサイトとして、「会員制のサイト」を運営する。

そのため、基本情報である「SEの心得え」「SEの心構え」のサイトは、公開サイトに移動させました。時々刻々の上級情報が記載される可能性が高いのはもちろん、会員制のサイトでありますが、基本情報はこのサイトに公開いたします。SEの質疑応答も会員制のサイトに移動させる予定でしたが、そのまま、公開サイトにとどめます。

皆さまの相も変わらぬご愛顧をお願いいたします。それと同時に、私のサイトの情報を元にして、何らかの利益を享受し、オーナーに感謝の意を表明したいとお考えの方は、どうぞ、会員制サイトにご加入下さい。

−−−

お待たせしました。「SEの心得え」「SEの心構え」に関して、長い間、登録ユーザに対して、pdfファイルでご提供してきましたが、この度その情報を一般公開することと致しました。ただし、全20ページのうち、6ページまでです。後は、有償で、pdfファイルとしておわけいたします。もっとも、pdfファイル自体は、無償でダウンロードできますが、この文書はキーがかかっています。その文書を開くためのキーを有償でおわけいたします。

注意:特別に、2003年9月27日から当分の間、20ページのスライド全部を掲載いたします。
アクセス数が当初予定よりどんどん増えています。有償にしようとしましたが、未だ完成していないし、ご愛顧を賜っているので、ビジター数が5,000を越えた段階で元の6スライドに戻ります。<笑い>
全ての版権は、本サイトの運営者、小林健三に属します。無断でのご使用はお断りいたします。

このページでは,次のことについて述べます。

    1. 職業としてSEを勤めている人間が、必須とするノウハウを記載する。
    2. 他の分野の人が、SEとはどのような職業であるかを理解するのに役立つであろう。
    3. 今後、SEを目指す人も、どのような心構えでSE職を勤めればいいのかがわかるであろう。
    4. また、この「SEの心得」を読んで、当たり前じゃないか、と思われる方が多いと思う。その理由は、SEは何も特殊な職種ではないということ、「職業人」としての、一般的な仕事とほとんど変らない。しかし、多少は異なることもあるのではないかと思って、ここに記載したものです。
    5. また、この「心得」は、筆者小林健三の独断と偏見に基づくものであり、一般的な見解と異なる可能性もあることを認識の上、ご活用頂ければうれしい。
    6. なお、このプレゼンテーションは、マック用のプレゼンテーションソフトウエアとして非常に有名で、有力であった、しかし、マイクロソフトのPowerPointに潰された、Aldus社のPersuasion 3.0J を使用している。もし、Aldus社のPersuasion Playerをお持ちの方は、多分、ここをクリックすると、Player用のファイルがダウンロードできるか、Playerが立ち上がると思う。ためしてみてください。

    それでは、下のナビゲーションでどうぞ。しばらく、暫定運用で、内容追加・追記、および、更新を続けます。お楽しみに。これが全部ではありません。

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これは単に表紙です。あまり意味がありませんね。でも、この無料サービスは、TEPシステムズが提供していることをお忘れなく。
是非、教材などをご購入ください。
これは大切なことです。サービスを受けた場合は、それ相応の対価を支払うことは、人間世界では常識です。冥界、動物、猫の世界ではどうか知りませんが。

  


これは、目次です。SEの心得を9項にまとめたものです。これで立派なSEになれると思ってください。でも、これが非常に難しい。
このプレゼンは、この9項目だけではありません。すなわち、もっとありますが、現在の無料のサイトでは、全部で6ページです。
その他に

  • 無駄な時間の使い方はやめよう
  • 技術のおさらい
    • 技術動向、市場動向を把握しよう
    • SE、プログラマーとしての必須の知識
    • SEの基本業務についての必須の知識
    • 予測の方法--業務計画書作成に当たって必須の技術
    • 推定の誤差--計画書の計画倒れを無くする必須の技術
    • 情報操作--上司、顧客を巻き込んで成功するための必須の技術

などが書かれていますが、これは、この無償のサイトには掲載されておりません。ご希望の方は、TEPシステムズのサイトからどうぞ。

  


  

これが、SEの業務を端的に表現していることである。すなわち、SEはプロジェクトのリーダーである。リーダーでなければならない。ということです。組織上、SEがリーダーでなく、誰かの下で動くことがあろうが、その場合でも、上に書いてあるような事が、自分の権限として与えられていなければならない。

しかし、一年生、失礼、入社早々の新人に、何と彼の尊い「SE」の称号を与えるFから始まる会社のようなところでは、自分にこれを適用してはならない。まずは、数年の下積みの生活をして実力を蓄え、その後、サブの仕事をし、そして、初めて小さいシステムを任される可能性が高くなる。そのような時はまだ初心で、恐る恐る、下記のようなことを頭の中に描きながら、社内の動力学を理解することです。それらが全て把握できた段階、すなわち、入社してSEとして働いて、10年以上成功・失敗の経験をおさめたような人は、下記のような「SEの理念」を高らかに掲げて、上司と交渉すればいい。それまでは「ぼつぼつ」やらないと、即刻首を切られるよ。自分の実力、評価、実績を十分に理解し、そして、そのような立場にあるのなら、これくらいのことは言っても良いのじゃないかと、恐る恐る切り出すのが社会人として当然。

2003年10月1日のNHKの「クローズアップ現代」で、研修医のことが話題になっていたが、医者免許を取ってしばらくは「まともに仕事が出来ない」のが当然ではないですか?そしたら、準備役に廻って、先輩の仕事ぶりを盗む、医局内の動力学を勉強する、当然、実地の、血を見るような、[血を吐くような]修羅場の現場を経験する事が重要。そして、初めて、自分もちょっと手を出させてもらおうかなと思うのが当然。東大病院の研修医が特別、頭が良くて、優れており、研修医になった途端に、先輩医師と同様のレベルで治療が出来ると思うのが間違いの元。だから、東大卒の医師とは言え、きちんとした研修、勉強を続けない限り、まともな医師としては働けないと思ったほうが良い。それを、うぬぼれて、研修医の段階でまともな診療をさせてくれないからといって不満を言うのは間違っている。入院病棟は、この新米の「研修医」が担当しているが、これがまた「大問題」で、まともな医療を受けようと思ったら、東大病院には入院しないほうが良いと、筆者は思います。まあ、35才くらいになって、ポストがないために「研修医」のバッチをつけている人は良いかも知れないけど、30才以下の研修医が主体を占めている、東大病院は敬遠するほうがベターです。[これは一般論ではありません。特定の病棟に関しての話です]

研修制度というのは、必要だけど、あくまでもオンザジョブトレーニングですよ。そこから抜け出して独り立ちをするためには相当の覚悟と経験が必要ですよ。馬鹿みたいな、素人っぽい、レポートを書いてお茶を濁すようだと、クローズアップ現代もおしまいですね。こんな状況は、厳しい製造業では当たり前の話。医師のように、人間の命を預かるからには、もっと真剣に自分を鍛え、研修医を鍛えるしかるべき精度を構築しなければならないのは当然です。もっともっと世間を知るべきでしょう。もう一つの人気番組の「・・・アマリニヘイボンデ・・プロジェクトXだったわ!!・・ワスレテシモウタワ!!・・」も同じ。あんなのは、製造やその他の現場では誰でもが経験していること。何も珍しいことではない。NHKにとり、制作コストがドラマなどに比べて極端に安く付くから、継続してやっているに過ぎないと正直に記載してはどうだろうか。正直言ってつまらないことおびただしい。今の40〜60才台の人間は、ほとんどがこのような日常茶飯事を経験していることであり、馬鹿にしているはず。誰でも当然にやっていることを伝えるという意味では意味があるのかもしれないが。
  • 当然、「システム機能を主体になって取りまとめる責任者」であります。システム機能だけではありません、性能、価格なども全てでしょう。対象とする範囲などもこれに含まれます。要は、システム仕様書に含まれることは、すべて、リーダーたるSEが最終的に決める、決断する、確定する必要があるということです。顧客の要求はすでに入っていなければなりません。RFP(顧客の作成する「要求仕様書」)に書かれていることも、受注前/受注後に、顧客との長期に亘る「ネゴ」の結果が、結論として入っているべきです。これを文書の形で残し、顧客、および、社内の上司の承認を得ておく必要があります。これが、この一文の正確な内容です。ですから、このプレゼンをプリントし、誰かに説明しようとしても、このような裏の裏まで知らなければ、誰も説得はできませんね。[ですから、小林健三はこのサイトに無料で「ノウハウ」を露出しても、何も失うものはありません。これだけの内容を自分の頭の中に入れているから、私の講義を有料で受けない限り、このような実際的、実務的なノウハウは絶対に入りません。]
  • 第二に「顧客とのインタフェースを取る」とありますが、これに含まれる意味も非常に広範囲に亘っています。すなわち、システムないし、プロジェクトが完了し運用にはいるまでの長期間に亘って発生することは全て、あなた(プロジェクトリーダーであるSE)と顧客の責任者であるSEの間でホットラインが結ばれていなければならないのです。あなたと、顧客のSEはプロジェクトを完了するまでは、一心同体です。仕様がおかしい、機器の選定がおかしそうだ、機器の入着が遅れそうだ、出荷が遅れそうだ、金が相当高くなる、予算では収まらない、納期がリークする、等々のトラブルが発生します。それらの事件ごとに、あなた自身があらゆる手段、代替手段を検討した後、顧客のリーダーに相談をするべきだと判断した段階で、腹を割って、電話でも何でも良い、昔はテレックスを使用したが、直に連絡をする。そして、あなたが健闘した代替案を誠意を持って説明し、それに対して顧客社内で検討をしてもらうように要請をする。もちろん、期限を切る。この日までにこの代替案が受け入れられるかどうかを検討していただきたい。もし受け入れられないと、このような事態に陥り、あなたと私は腹を切る必要がある、というようなことをにおわすのです。絶対に、顧客責任者はあなたの代替案を受け入れてくれる。あなたの誠意次第なのです。あなたの検討する代替案がどれだけ、顧客を説得するものであるかというバックグランドのデータを付ける必要があるのです。それらのバックグランドのデータや資料がなしに、代替案を持っていっても誰もあなたの言うことを聞いてくれないでしょう。ですから、あなた、プロジェクトのリーダーであるあなたの責任、責務は重要です。そのようなことが可能となるように、あなた自身は、社内の関係者との緊密な関係を保持し、あなたの言うことを聞いてくれる人をきちんと保持をしておく必要があるし、あなたは客先責任者と緊密な関係を保持しておく必要があるのです。そして、あなた自身、技術的にも、社会的にも、あらゆる方面からの勉強を進め、この代替案を検討するときに、安価でより便利でしかも、同じ機能・性能を実現する代替案を考え出し、提案することが可能でなければならないのです。
  • 次いで、「顧客の要求するシステムを構築する」でありますが、RFPは、最低限のことが記されているのが通例です。このことは最低限実現して欲しい。それ以外の提案があれば、代案で提案をするべきものです。RFPは顧客の要求を理解するための資料であると理解するべきでしょう。そして、重要な点は、「顧客が要求するそのままのシステムを構築してはならない」ということです。お客の要求事項は、あくまでも、自分たちの業務での「欠陥」「改善点」「希望」「問題点」「実現して欲しい事項」などなど、種々な観点からの記載がなされています。それをそのまま受け取って、ばか正直に実現すると、顧客の考えている予算の倍以上のコスト(見積もり)になるのは目に見えています。だから、SEたるもの、顧客の業務に対する理解が必要なのです。なぜ、こんな要求が出てくるの?なぜ、このようなシステムではいけないの?なぜ、現在のシステムではこんなことになっているの??? などなど、通常のできるSEなら?????の連続であるわけです。そして、あるポイントを見つけ出します。通常は、DB(データベース)や、通信です。これがネックになっていることは非常に多いです。途中に変なプロトコル変換装置(コンピュータですが)が入っていることもあるし、トランザクションを変換して、別のアプリケーションに送り込む必要があったりします。また、DBの検索は、ぼろのDBを使用していると、インデックスがチキンと作られていないから、検索をかけても、結果を取り出すまでに通常考えられる10倍〜100倍の時間がかかることもざらにあります。だから、できるSEは、「ここと、これが悪いようだな」だから、「これをこんなふうにして、この処理をこのようにして、なんぼなんぼ」と勘定します。そして、自分の見積もりの通常は2倍のコストを営業に提出すると、営業は、SEの出したコストの1.5倍を顧客に出します。いや、もっとかな。もちろん、工期も、SEは3ヶ月かなと思っても、精いっぱい頑張って、6ヶ月でないとできません、と出します。営業はまた、これに1.5倍をします。それが顧客に出される見積もりと、工程です。
  • これくらい見積もっておいて十分なほどの要求を、通常の顧客は、受注後に出してきます。だから、お客の要求がきちんと理解できるリピーターの顧客でない限り、また、汎用のアプリケーションやシステムのリピーターでない限り安くはできないのです。もちろん、お客の業務が十分に理解できている場合は、非常に安価にでき上がりますが、顧客には十分な予算を確保しておいてもらうのです。そうしないと、時代が移り変わったときに、サービスをして、無償でのサポートなど出来ませんよね。また、トランザクション、通信、クエリーなどの量は、顧客の当初の見積の10倍などすぐに行くのです。なぜかって?それは、顧客のSEの上司が予算を削るからです。内容がきちんと理解できていないCIO(情報執行役員)が日本にはいないからです。日本で噂になっている、ある機種、あるOS,あるアプリケーション等々、あれを使えこれを使え、そうすると予算は安く付くはずだー。でも、全然動かないんですよね。そんな意見を聞いてシステムを組んだ場合。だから、顧客のSEを守り、自分に味方につけるためにも、顧客には予定の2〜3倍のコストを見積もりとして提出してあげるのが親切なのです。それが、我々SEが生き延びる唯一の方法です。心にお留めあせばせ。
  • 次に、「社内の技術者を集めてシステムを構築」であるが、要は、システム構築というのは、方針であり、それを最終的に現物にするのは「社内の技術者」である。すなわち、ハードウエアの技術者であり、ソフトウエアの技術者であり、通信の技術者であり、ネットワークの技術者、データベースの技術者、マンマシンインタフェースの技術者なのです。これらの人たちが、SEのリーダーが決めて仕様にそって、出来るだけ安価に、安全に、MTBFを長く取るような設計を行って現物を作るのです。そして、最終的に、顧客に対しての仕様が決定し、それが、製作仕様書になり、これで顧客の承認を得ることになります。システム仕様書レベルで顧客の承認をとったとしても、操作勝手や、応答速度、要求を提出してからの最終の結果が表示されるまでの時間など、実際の状況に応じてこれらのデータをそろえなければ、SEも安心して眠れない訳です。だから、製作を担当する技術者に対して、保証・保険を取るわけです。これこれの条件で現物を作りますという念書ですね。そして、この性能をを保証するために、これこれの手順で試験をしますという仕様書(総合試験要領書といいます)を彼らに作らせるのです。この試験要領書・仕様書は,SEはすべからく、多少遅くなっても良いから、全部に目を通しておくこと。そして、ここと、あそこがおかしい、これが抜けている、これがダブっている、ということをきちんと作成者自身と作成者の上司に正式に、もしくは、非公式に通知しておくのです。これが一番大切。非常に時間がかかっても、他人に一目置かせるためには、絶対に相手の作った文書は端から端まで読んで、コメントをすることが必須です。それさえ事前にしておけば、後日、この試験仕様書に基づいて行う試験に、実際にSEが立ち会って試験をするかどうかは、SEの腹一つです。もちろん、この「総合試験要領書」の前に、「単体試験要領書」「組合せ試験要領書」等々の試験要領書が作られており、それを終了して後、顧客の使用する環境でのシステムの動作を試験するために、「総合試験要領書」と言うのがあるのです。顧客の環境に非常に近い環境を準備し、その環境での実際の操作を想定する全てのケースについて実施するのです。だから、この時間は1週間かかる場合もあります。もちろんですよね。100億円もするようなシステムだってざらにあるわけですから。当然、「競合」の発生するような状況「輻輳」の発生するような状況を想定して、その状況での試験もその試験項目に組み入れられていることが必要です。
    • 相手をきちんとコントロールすることは非常に大切です。それには、相手の作成した案、文書などは、自分がどんなに忙しくても、必ず端から端まで目を通すこと。そして、必ず、フィードバックをすること。「あそこは良かったが、あそこはもう一つ考え不足では、ここは一番問題で、何らかの解決策が必要」などなど、必ずコメントを出すことです。そして、それを、作成者自身だけではなく、その上司にもきちんと伝えておくことです。その人の評価を伝えることです。非常に大切です。相手だけではなく、相手の部門の上司、相手部門全体からあなたに対する評価が、いちだんと上がるのです。これは最初の数ヶ月だけで結構。最初が一番大切。最初を失敗すると、あなたは、その担当者、その部門から、こいつは「でくのボー」である、と思われ、もうあなたの言うこと、なすことに対して全く注意を払ってもらえなくなります。後から取り返そう、と思ってももう遅い。最初の努力の10倍、100倍の努力が必要になります。これは是非頭に入れておいて欲しい。
    • 私自身、このことに気がついたのが遅すぎた感じがする。極めて、唯我独尊的な生活態度を取ってきたので、自分の価値は自分が発する「オーラ」で決まる、と思っていた。そして、実際そのように人生は転がっていっていた。しかし、あるときから、極めて質の悪い集団に属するようになったため、このような、策略が必要とすることが分かった。だから、もしあなたの属する集団が極めて上質な集団であれば、あなた自身は何も自己宣伝をする必要はない。神はそこにあなたを認めるであろう。...でも、あなたが属する集団の全体的な理解力が不足している場合、声を大にして叫ぶ必要があることは、残念ながら事実なのです。私の、前半分の人生は、極めて質の高い集団に属していました。本当に。しかし、そうではない、関東人に囲まれた途端、自己宣伝が必要になったのです。そうすると、あなたは、自分を宣伝する手段として何をとりますか。その手段としていちばん有効な手段が、上記のような、「私はあなたのことを隅々から知っていますよ。理解していますよ。あなたの利点欠点まで全て理解していますよ。」ということを明示的に示すことです。これは、極めて残念な事態です。欧米人に囲まれたコミュニティの世界では、やはり一応の自己宣伝は必須ですが、一回で十分。後は、あなたの能力は十分に相手に理解されます。その風評は、コミュニティの中を風のように横断して、隅から隅まで伝わります。そうなると、そのような世俗的なことに心を使う必要はありません。まさに、神はそこにあなたを認めるであろう。....私の場合もそうであった。たった一回の論文発表がこの欧米人の作るコミュニティ入りを果たす役割を果たしたのである。これは、英語によるプレゼンをご参照ください。
  • さらに、システムがダウンする状況も試験します。その時、バックアップシステムがあれば、それに瞬時に切り替わるような試験(ホット)スタンバイ)なども実施します。また、ホスト系のシステムであれば、当然、データのバックアップを行い、トランザクション途中での障害に対する復帰の試験も行います。バックアップデータからの復帰テストなど、気の遠くなるような試験が延々と続きます。SEはこのような試験を、顧客の立ち会いの元で実施するか、顧客自身で実施するか、いずれの場合にしろ、自分は全ての試験に立ち会う必要があります。問題がなければ結構ですが、当然、1/10以上の確率で障害が発生します。そうすると、それらの状況を全て記録し、それが、システムを改善した後、全ての状況を再度試験を行い、問題が発生していないかの試験をするのです。
  • 通常、これらの試験を、人間が操作をしながら実施するとは限りません。かなりの部分は、全て、データベース化されたデータで置き換えられ、それを順次起動し、試験を実施してゆきます。通信がからむようなものは特に問題が多いですが、事前に準備したデータをネットワークに流すことにより、「輻輳」「競合」などの試験も割合簡単に実現が出来ます。問題は、このような状況が把握できない技術者が作ったようなシステムです。たとえば、某金融機関での事例でもわかるように、2つ以上のシステムを統合する場合、一方を担当する技術者は他のシステムに関して完全な知識を所有しているとは限りません。特に、セクショナリズムのまん延しているような環境では、自分のシステムを他の部門の人間に説明することを非常に嫌う人間が居るのは当然です。自分たちの設計・製作したシステムがいちばんだと考えている人間にとって、そのシステムに関して根掘り葉掘り聞かれることは非常に気に入らないことなのです。だから、このような2つ以上のシステムを統合するような場合は、相当高度な人間が仲を取り持ったSEになる必要があります。これが、すなわち、CIOです。このような実力を備えて、現物に対する知識も豊富であり、経験も豊富な人間が現場をきちんと管理していないと、日本のようなプロプライエタリーな「会社固有のシステム」が横行している世界においては、枕を高くして眠ることは出来ないですね。
  • さて、最後ですが、「工程、機能、予算、品質に対しての責任を負う」ですね。これが、SEとしてのだいご味です。リーダーなんだから当然でしょ、といって、これを易々と受け入れてはいけません。ここに書いてある意味は、SEとはこんなに責任が重大なのだから、それをコントルール出来るだけの地位と力を与えなさい、ということです。考えても見なさい。一介の技術者である、ぺいぺいのSEが、工程を守れますか?どこかのトラブルが発生すると飛んでいって、対応を命じなければ工程は遅れます。ということは、工程に遅延が発生しているか否かを常に把握できる立場にあり、全ての製造部門からの定期的な報告を受ける立場にあり、万一遅延が生じたら、その部門の責任者に対応策を策定し、それを厳守することを命じるだけの千から、ポジションがなければ、工程なんて守れません。工程は遅れるためにあるようなものです。だから、当初立案する工程は、全ての部門が提出する工程を元に構築するのであるが、きちんとこれらの工程間の齟齬(そご・食い違い)をチェックし、万一の工程遅延に対しても対応がとれるような余裕も[現場に分からぬように]保持する必要があるし、また、キツイ工程をピックアップし、この工程に特に力を入れてチェックをする必要があるのです。
  • 開発品があるとしましょう。これは、非常にリスキーであるが、受注のためには他社を差別化するために、開発項目を導入して新規性を出す必要があるかもしれません。そうすると、それの開発工程はいちばんクリティカルです。だから、この工程を担当する人間にいちばんきちんとした技術者をアサインできる必要があります。当然、開発品も試験が必要です。一番最初に一番重要な事項が完成できるような工程が必要でしょう。これを、各部門に対して納得させることが出来るだけのポジション、力、金が必要なのです。万一、社内で開発が失敗するような場合、外注でカバーする、購入品でカバーする必要が生じるかもしれません。そうすると、いつの時点でそれを判断するか。あなた自身のさじ加減です。
  • 機能、予算、品質に対しても全く同じ論理です。SEのリーダーはこれを守る責任があるのだから、それが出来るだけの、地位と、力、金、そして部下を与えることを要求しなければならないのです。そして、あなたの上司はそれを実現するために、あなたのために、汗水を垂らして働くようにさせなければならないのです。もし、あなたの上司がそれをさぼるようなことがあれば、どうどうと、事情説明書を作成し、即日、部長まで、いや、社長まであげる必要があります。そして、あなたの上司を交代するように要求をすることがあなたが今やるべき一番重要なことです。そのような条件が整わないのに、SEの仕事を続けているとしたら、まさに自殺行為です。そのようなことをしている限りにおいて、あなたの残業時間は減らないし、休日出勤も減らないし、胃潰瘍や、ガンになるストレスに毎日さらされることになります。あなたがこのようなストレスにさらされ、家族を掘り投げて仕事をしている間に、あなたのろくでもない上司は、のほほんと、ゴルフ、カラオケ、なんと優雅な生活をしているのですよ。あなたが、休日出勤をしているときに、あなたの上司は、同じく休日を出勤してきちんと仕事をしていますか?もししているようなら、まだ考えようがありますが、それをしていなければ、また即刻社長のところに往く必要があります。あなたの持っている最大のガンは、目の上のぐうたら上司なのです。ぐうたら上司が、誰であろうと、大声で怒鳴ればいいのです。「♪〜ぐうたらぐうたら....じょおおーーし〜♪」.といって、そして、最後は、墓場、そう、養老院に送ってやればいいのです。
  • これくらいの意気込みでなければ、SEは勤まりません。駄目だって??? それでは、潔く、SEを辞めなさい。それが今のあなたにとっていちばん最良の選択肢です。それでは、あなたの健康を祈りながら、今日は失礼いたします。毎日ご訪問ありがとうございます。毎日の執筆はこの程度ですから、ぼつぼつ進ませていただきます。今日はこれくらいで失礼いたします。
  • 前書きにも書いたけど、新人1年のSEになりたての人が、ここに書いてあることを適用するのは間違っている。あくまでも、SEの先輩として、これくらいの理念はもってやって欲しいという意味で記載したものです。誤解の無いように。このまま実行して、即刻首になっても当局はいっさい責任は持てません。当然、これを採用するか否かもあなた自身の判断で行うべきであり、その結果を甘受するのもあなた自身の責任で行ってください。

  


  

さて、本題は、SEと顧客との関係に入る。すなわち、SEにとって顧客は重要な存在であるし、顧客にとっても自分は重要な存在であることを認識させることが重要であるといっているのがこのスライドである。ようするに、持ちつ持たれつ、一心同体、逃げられない関係に持ち込むことが重要である。これが、女性だったら大変であるが、顧客であれば、1人のSEは複数の顧客とこのような関係になっても良いのであるが、案外そうは行かないものである。ある会社の担当者と親しくなると、別の部門や、同業の他の会社とはあまり付きあわなくなる、というより、むしろ、SEの会社自体として、機密保持などの観点から、そのような政策(ポリシー)をとっている可能性があるし、その方が会社としては健全である。同業他社の顧客とも付きあっているSEを、その顧客が本当になって信用してくれるだろうか?やはり、あちこちにぼろが出るので、そんなことは難しいと思う。また、特定の顧客とのつきあいが深まると、もちろん、新聞や会社情報、株式の状況などを元に経営状況などもしっかりと勉強するようになるし、開発方向やら、事業の方向など、その業界、その競合他者との関係、などなど、また、その顧客独自の利点欠点、長所短所などを勉強するので、あまり、同業他社とは付き合わなくなる。

一方、同じ業務に対しての専門家を育てる会社の方針があれば、同じ、業態の同業他社を回るようなこともあるだろうが、案外、このような場合、業務の深いところまでは入り込まないか、または、同じパッケージソフトで同じ業界に対して入り込んでゆくなどの方向が正しいのかもしれない。そうすると、一つのモデルとしての資料ができ上がり、それを同業他社にも説明し、多少モディファイして、「お宅にはこのようなご使用方法、接続方法、マンマシンインタフェース、ハードウエアが最適です。」などなどと提案をして、他社を差別化することになるのである。

  • 「顧客は大切な情報源である」であるが、あまりに常識的すぎる。しかし、これは、上に述べたようなことを指している。顧客の担当者から直接情報を入手することばかりを意味しているわけではないのは当然である。というのは、顧客でも相当にあなた自身を信用しない限り、そんなに社内情報、業界情報をぺらぺらとしゃべるはずはないし、そんなにぺらぺらしゃべる情報自身、本当にそんなに重要な情報であろうか。こんなことは考えただけでも分かる。
  • だから、上で述べたように、特定顧客と付き合うようになると、自分自身のモチベーションとして、その業界に関する情報、その顧客に関する情報をあらゆるチャネルを通じて見聞きすると同時に頭に入れるわけです。そして、ミッシングリンク(かけたジグソーパズルの一片)に関する情報を聞いてみると全体像がはっきりとつかめるようになるわけですね。
  • また、当然ですが、情報というのはギブアンドテイクです。ですから、あなたが持っている、収集した情報を顧客に出して当たってみる、そしたら、ひょんなところから、会社の将来の開発計画やら設備投資計画などがひょこんと飛び出てくることもあるのです。もちろん、ヒョウタンから駒のような感じかもしれないし、相手が知っていて、漏らした情報かもしれないし、無意識に話してしまった情報かもしれないけど、自分の方の受容器(レセプター:受け取る能力)が高まっていると、相手がぽろっといったことがあなたの耳に引っ掛かるのですよね。「当たり前だのクラッカー!!」
  • このような状況に自分を高めなければ、駄目ですよ、お父さん、お母さん。そうすると、不思議なように情報が累積してゆくのです。そしたら、不思議なように理解力がますのですよ、お姉さん、お兄さん。だから、SEもサラリーマンも、月曜日に「少年ジャンプ」を買って食い入るように読むのではなく、電車に乗ったら、他人の読んでいる新聞をのぞき見して、どうやら株が上がり出したとか、銀行株がなぜか知らないが上がってるが、これは誰が仕掛けているのだろうとか、なんかカンカ、一生懸命眠たい頭をひっぱたいてそれらの情報をインプットし、そして、顧客との対話を楽しみましょう。絶対に「日経新聞」だけは買わないように。日本政府の機関誌が欲しくなったら、買いなさい。新聞と思わないで買いなさい。機関誌とは、その機関の意向のみを伝える、非常に偏向した出版物のことです。「赤旗」が、日本共産党の機関誌であるのと同様です。これくらい割り切った気持ちで人生を送りたいものです。新入社員になって「日経新聞」を読むようになって社会が分かったような気がする...なんてコピーがあるが、これは間違い。もしこのコピーが正しいと感じるならば、あなたは今までどれだけ勉強をしていなかったかを如実に表している。
  • ついで、「顧客は大切な仕事の手配者である」はもちろんお分かりですね。要するに、あなたと「ギブアンドテイク」の関係を保持している顧客は、あなたをキープして、自分の立場を保持し、出来れば高めるために、あなたに仕事をくれるのです。あなたに仕事をくれるために、顧客の社内で「年間のプロジェクトの提案書」を作成してくれるのです。限定された、IT(情報通信)部門の予算から、また、業務改善のために社長が工面してくれた予算から、あなたの会社、いや、あなたに仕事をして、あなたがきちんとしたポジションを確保し、あなたとの関係を正常に保つために、必死になって予算を獲得してくれるのです。当然、あなたは、顧客のために、「提案書」「改善計画書」などを作成して渡してあげる必要があります。そして、それも、相手のPCで読み取れる、汎用性のあるドキュメント形式で渡す必要があります。そして、顧客は単に、その中の提案者名をあなたの名前から自分の名前にするだけで良いのです。そして、ここが重要なのですが、顧客の担当者は、あなたの提出した予算に少なくとも1.5倍の金額を設定する必要があります。これが顧客の社内で提出される提案書、企画書、ないしは、業務改善プロジェクトの計画書です。工程も予算も、あなたの提出したものよりも長め、大目にとっているべきです。
  • なぜこのようにするか。これは、会社は、お役所もそうですが、企画部門の仕事は、現場から上がってきた予算をなるべく削ること、そして、その削った予算内で要求する内容をできる限り積み増しすることです。ですから、彼らの削りしろ、彼らの仕様の削りしろをきちんと準備しておいて、ここから削ればきれいに10%ないし、20%の予算が削れ、しかも、余分に見える仕様が削減される、ということになり、かれら、企画部門の審査する人は、仕事をきちんとしたと認められやすいのです。そうすると、これらの企画部門の責任者は、社長からお褒めの言葉を賜ることが出来るのです。これを、SEであるあなたは、顧客の担当者、顧客の企画部門の責任者に成り代わって、前もって自分の落とし所を押さえておくのです。これは、あなたにとっても余分なこと、所ですから、切られても全く痛くない。だから、「これを落とされると困りますが、しかし、お宅もご事情があるでしょうから、そのような案で進めさせていただきます。万一、不具合が発生するようでしたら、そのところの予算を復活折衝してくださいね...といっておくことが重要です。もちろん、「つーかー」の関係にある、あなたと、顧客の担当者間では、もうそんなことは分かり切っているでしょうが、これを文書で確認しておくことが非常に大切です。「発注者側と、受注社側との合意書」を作り、交渉の経緯、削除した仕様、削除した見積金額、これらから想定される「トラブル」などを明記しておくことです。この念書が効力を発揮するようなことは絶対に無いのですが、万一、そのようなことが発生したときにも、両者が痛まないで、無事業務を終了し、お互いに出世街道を上れるようにするのです。万一、トラブルが発生し、受注社側のマージンが不足して、予算が不足するような事態が発生したら、この念書が意味を持ちます。そして、この責任は、企画部門が削ったことが原因であることを証明することになります。そうすると、企画部長、ないし購買の責任者、などの首が危なくなるかもしれませんが、あなたや顧客の担当者の首が危なくなることは絶対にありません。
  • このような保険をかけておくことは、会社生活において非常に大切です。これが、今までに述べたことの帰結として顧客との間に維持される良好な関係です。
  • ついいで、「顧客には喜びを与えよう」ですね。重要なことは、「満足感」以上のものを与えよう。「それは喜び」です。顧客の担当者にとっては、このSEと付きあうことにより得られる、「達成感」「喜び」これが重要です。これを与えるようなシステムを提案できるかいなかが、SEの責務です。だから、あなたは必死になって勉強をし「喜び」を与えられるようなシステムを作る必要があるのです。何も、ゆるゆるの肥満したシステムではありません。きちんと緊張を保った、ぎりぎりの設計の、節約型のシステムですが、何となく余裕があるというようなシステムなのです。負荷が、顧客の担当者が予想した以上に上がった場合も、きちんと機能し、トラブルを起こすことは無い。そうすると、顧客の担当者は現場の「エンドユーザー」からお褒めの言葉をえることが出来るのです。これは、当然ながら、エンドユーザーの責任者からの表彰の申請になります。負荷だけではないでしょう。多少仕様が変ったとしても、たとえば、入力項目が増えた、入力桁数が偏向になった、取引先が増えて追加登録が必要になった、などなど、エンドユーザー側が「ああ困った!!」こんなになったらシステムは動かないだろう、と思うようなときに、顧客の担当者に泣きを入れます。その時、顧客担当者は当然あなた、SEに泣きを入れてきますね。それをきちんと受け止めましょう。「あーー。これは1000万円かかります!!」と一応鳴きましょう!![泣くのではなく、鳴くのです]しかし、何とか頑張ってみましょう。といって、戻ります。そして、翌日、翌週、きちんとそれに対応するようなシステムを即納するのです。これは何も手品ではありません。あなたにとっては、当然の保険を入れていて、それを発効させただけです。パラメータを一つ二ついじっただけです。そして、1000万円かかる仕様変更が瞬間にでき上がるのです。
  • これで、喜ばない顧客担当者が居たら、もうあなたはその人に付き合わなくて結構です。ほかの会社と付きあいなさい。通常は、このような魔法的、手品的なことをしてくれる会社のSEは大切にされます。だから、あなたは、予算の余裕、日程の余裕、仕様の余裕をあちこちに持っておく必要があるのです。しかもこれが、当然近い将来に発生するであろう仕様変更としてあなた自身が認識していなければ、こんなことは出来ませんね。これが出来るように、あなたは時代の先端を行く技術動向を把握しておき、時代の先端を行く、顧客の業務形態を把握しておく必要があるのです。現在のホットな話題は当然ですが「ウエブアプリケーション」です。ウエブを通じて複数のアプリケーションが動作をする。コラボレーションが実現する。データーが相互に移動する、などなど。このような重要な状況を把握せずして、SEにはなれませよ。このような現状、このようなIT部門の現状を正確に把握するにはそれ相応のコンサルタント会社にコンタクトをとる必要があります。大切です。あなた自身が勉強をすること、技術動向、顧客の業務動向、市場動向、商品、製品動向などなど。これを正確無比に判断することがあなたに与えられた任務です。もし、このあたりの情報をお知りになりたい場合は、TEPシステムズのサイトをご訪問の上、営業部門とコンタクトをとってください。
  • 最後に、「自分、および自分の会社と付きあうことのメリットを実感させよう」です。これが、最終的に、顧客をしっかりと掴み、固定顧客にする一番のポイントです。顧客、および、顧客の会社にとっての、自分、および、自分の会社がどのような関係にあるか、どのような関係にあるのがいちばん良いのかである。よく、我々(メーカーに居たときの話)は、お役所の人、学校(大学)の人にとっては、「業者」なんだよね。要するに、対等の関係ではなく、単にその他大勢の候補者の中の一社に過ぎないのです。それでないと、お役所や学校は困るのかもしれない。「随意契約」という「特命」になるのはよほどのことです。ですから、通常は「競合入札」になるのです。でも、裏道は沢山沢山あります。
    1. 一番のポイントは、顧客のRFP(提案請求)を顧客に代って作るのです。もちろん、顧客が社内で提案書を作るような具合には行きませんから、当然、非常に抽象的、かつ、一般的な形で「仕様」を書きますが、この仕様の中に、自分たちしか分からないような細かい仕様を組み込むのです。たとえば、機器巻の通信速度は、XXmsec以下であること、また、その方式は、yyの仕様に準拠すること、など、自分たちの会社しか持たないような仕様を組み入れるのです。
    2. 通常、競合会社間は、暗黙の了解があるのです。このような、特定会社の仕様が含まれるようなRFPが顧客から出された場合は、このRFPは、X社の担当になっているようなものであると理解するのです。
    3. ここまでやると露骨ですから、それ以下にとどめるのですが、開発項目が入るような仕様では、必ずしも明示的ではなけれども、この会社の特別の仕様が入っていると理解するわけです。
    4. そうすると、この注文を確保するのは非常に困難になります。
  • さて、顧客にとり、我々がメリットを提供する会社であることを認識する一番のポイントは、トラブルが発生したときの対応が迅速であるかどうかです。通常、システムは一定期間を経ると、顧客のメンテ担当になります。しかし、このように顧客のメンテ担当になっても、きちんとフォローする会社は、メンテ担当者を常駐させる、専任で貼り付けるなどを行います。そうすると、トラブルが発生した場合、多くの場合は、顧客のシステムの操作ミスに起因することが多いのですが、そのような事由は問わず、直ちに参上し、無償で対応をします。これは当然です。これだけの費用は予めもらっているのですからね。しかし、顧客はそのことを認識していない場合が多いですから、このような丁重な対応をしてくれる企業、サプライヤーは、顧客にとっては非常にありがたい存在になるのです。
  • また、ここで、専任者を常駐させる、という手がありますね。これは、何も、トラブる対応が非常にスムーズで、顧客がシステムの操作に熟練するための時間を短縮させ、トータルとして、メーカーにとっての負荷が提言するというメリットがありのは当然ですが、それ以上のメリットがあるのです。お互いにメリットがあるのです。お客にとっては、メーカーの専門の技術者が身近かに居るから、種々なアドバイスが容易に得られる、ということは、顧客の困っていること、課題、問題点が手に取るようにメーカーに入ってくるのです。そうすると、例のRFPの準備段階に入ったようなものですね。
  • また、顧客の予算の計上、企画書の提出時期などが手に取るように分かります。その時に、自社の製品、サービスを眼目とするような提案書を書いていただける可能性が非常に高くなります。
  • このような、持ちつ持たれつの関係を保持することにより、お互いにメリットが高まります。
  • もちろん、こんなやくざな関係ばかりではありません。技術専門家集団の会社としてのスタンスは、顧客に一番の利便を提供することです。そのために、顧客の課題、問題点、今後の展開の方向などを常日頃から情報収集し、観察し、それに沿った提案をいつも提出することが出来るように頑張るのです。それを元にして、できる限り、顧客の競合他社を差別化するようなパンチのある提案書を提出するのです。このような観点から申し上げると、SEはやはり、複数の顧客を掛け持ちすることは非常に難しいですね。お互いに、他の会社を差別化するような案を別々に作成して提出することは至難の業になります。ですから、SEはその会社専任がいちばん良いのでしょう。それとも、その業界、業種担当のSEとなって、その業界が他の業界に差別化するような技術を採用できるようになればいいのですね。全体的には、ROIを改善し、効率を向上し、拡張サプライチェーン、拡張受注管理などのシステムが必要になってくるのです。このような話になると、やはり、このあたりの情報をお知りになりたい場合は、TEPシステムズのサイトをご訪問の上、営業部門とコンタクトをとってください、ということになりますね。これが一番の重要なことです。IT部門に特化した戦略的なレポートを作成している、米国は、東海岸のボストンベースのコンサルタント会社を紹介いたします。

  


  

さて、今までに説明したことで、顧客とメーカーとの関係は、発注者と業者の関係ではなく、同列の、ギブアンドテイクの関係、パートナー企業としての関係であることがよくお分かりでしょう。そして、本当は、SEたるもの、顧客の先を読み、顧客の先を進み、顧客の要求を先読みし、そして、顧客の抱くであろう課題を先読みし、それを解決するようなソリューションを提案するのです。だから、本当は、顧客より上に位置するべきものです。でも、ここは「じっと我慢の子」 です。お金をくれるのはお客です。お金をもらってなんぼの世界です。いくら、当方の技術がしっかりしており、提案が立派でも、お客が買ってくれなければ一銭の値打ちも無い。だから、お客は大切にしなければならない。お客の対応する担当者がきちんと偉くなり、出世し、社長とまでは行かなくとも、CIO(Chief Information Officer: 情報技術執行役員)か、CTO(Chief Technology Officer: 技術統括役員)になるように陰ながらご支援をすることです。それが、このスライドの中心課題です。

  • それでは、最初の「顧客はSEとともに育ってゆく」ですね。これは、メーカーのSEは、顧客の担当者を育ててゆく必要があるというのです。誰でもそうですが、「噛んで、含めて、栄養を与える」事で育つような「もやし」は意味がありません。きちんと、「骨のある魚」「しがむような堅い肉のステーキ」「噛めば噛むほど味の出るするめ」などをきちんと与えましょう。そして、それを解釈、消化できるような人を相手の会社の担当者として選びましょう。これが大切ですが、貴方次第です。「類は類をもって集まる」ではありませんが、貴方自身が「然るべき存在」であれば、相手の会社も貴方の相手は然るべき人間を与えます。そうしなければ、貴方の顧客は貴方に蹂躙(じゅうりん)されることを十分に知っているからです。「じゅうりん」という言葉が難しければ、「貴方の会社に良いようにあしらわれて、品質のまあまあのものを非常に高額な代償を支払って購入させられ、あとは、ぽいと捨てられる」ということです。そんなことになれば、顧客は目も当てられませんね。だから、貴方自身が然るべき人間であれば、貴方が相手にするべき会社ならば、絶対に貴方にふさわしい人間を貴方の相手に選んで来ますよ。少なくとも、私の場合は、ほとんどの客は「とても骨の折れる」「歯の立ちようの無いような」「目から鼻に抜けるような」すごい人材を投入してきましたね。[非常にまれでしたが、レベルの低い二流、三流の会社の時はそうは行きませんでした。お陰で、私がここで書いているようなことはほとんど当てはまりませんでした。ひどい目に遭いました。だから、ひょっとして、私が書いているのは、一流企業を相手にした場合に限定されるような話かもしれません。そのような危険性があることを誤認識の上で、読んでください。]それで、私は毎日「開眼」ですよ。そのような相手に対してどのように対処すればいいのかということを毎日勉強するわけです。それで、上に書いたようなことを勉強したわけです。
  • ですから、ほうっておいても相手は育ってゆくものです。しかし、きちんと、「骨のある魚」「しがむような堅い肉のステーキ」「噛めば噛むほど味の出るするめ」などをきちんと与えましょう。そして、それを栄養にして育ってもらいましょう。当然、SEたる貴方も、同様に育たなければなりません。会社の人材育成計画や、教育制度など「くそくらえ」です。会社が自分を教育してくれるなど思わないことです。技術は盗むものです。自分で自分が勉強して育ってゆくのです。教えてもらうのは、学校卒業までで十分。後は、自分が育つのです。厳しい環境において、厳しい顧客と付き合うことにおいて、学会などで恥ずかしい目にあうことによって、自分の至らなさを認識し、自分の未熟さを反省し、自分の不勉強を悔い改めて、つまらぬことに時間を使うことをやめて「一心不乱」に社会勉強をするのです。経済の勉強をするのです。経済を勉強せずに、技術の動向など分からないですよ。今や、「技術プッシュ」ではなく、「需要プル」ですよ。需要は、社会、経済界の中に存在しているのです。
  • まあ、くどい話はこれくらいにして、自分で勉強し、それを種に、相手に勉強させ、ギブアンドテイクで得るものも得ましょう。相手と一緒に育ってゆきましょう。それが、今後の貴方、貴方の相手にとって最も重要なことです。幸せな時代はこれですよ。育ち盛りは、20台の後半から30台です。40歳になったらもうおしまい。いくら勉強しても、「俺の給料は安い」「俺よりも若いヤツが上になりやがった」「あいつは出来ないのに、俺よりも偉くなった」「若いものは勉強しないし、仕事もしない」「ぼつぼつ、おしっこが近くなった」.....なんて愚痴ばっかりこぼし、「毎日毎日会議ばかりで、自分で何も仕事が出来ない」...うん、そうなんです。貴方は、どんな環境においてももう駄目なんです。早く早期退職制度を利用して、会社を辞めなさい。それが「老害」を振りまかない最大の方法です。
  • でも、60才台になってもぴんぴん現役でいられる方法もあります。それは、「プレイングマネージャ」となることです。馬鹿なことに時間を潰さず、ゴルフもやらず、カラオケもやらず、銀座通いもせず、きちんとやるべきことをやっていると、相手の会社の担当者が貴方を引き上げてくれますよ。[時間の有効利用に関しては、こちらをごらんください。]だから、必ず、顧客が、「この仕事の担当は貴方」と指名してくれるのです。こうならなきゃ、うそですよ。何で、馬鹿みたいに勉強ばかりしていたの? 何で、ほかの人が「ゴルフ」「マージャン」「カラオケ」「銀座通い」にうつつを抜かしている間、自分は何をしていたの???? いったいいくつ「疑問符?」を続ければいいの?だから、そのように貴方の顧客からきちんと貴方自身に指名がかかるような仕事の進め方をするのですよ。それが貴方の「使命」です。
  • ついで、「今の担当者は将来の部門の責任者、部長、社長」の意味はおわかりですね。お互いに助け合い、そして育ってゆくのです。当然、IT部門でしょうから。IT部門の長へ、部長へ、IT部門の長が社長になることはまれですが、CIO(Chief Information Officer: 情報技術執行役員)か、CTO(Chief Technology Officer: 技術統括役員)なら十分に可能性があります。そのようになるべき人と付き合いましょう。
  • また、「顧客には貸しを作ろう。将来のために」という文言は、私自身は好きではないことですが、どうも、会社間の関係は、このような関係になっているようです。第一線の営業などは、顧客の購買部門の担当者とは、「お互いサラリーマン、助け合ってやりましょう」なんですよ。そのような関係を保持していないと、とんだところで足をすくわれるのです。お互いに、厳しい世の中ですから。自分もある程度のマージン(余裕)は確保している(上記ですでに述べたように、顧客の方は、予算獲得の段階から、ある程度の[予算的、日程的]な余裕を持っておかないと、エマージェンシーは必ず起こるものと思った方が良いですね。だから、その「エマージェンシー」が発生したときは、その「余裕」の中で処理をするのですが、それが出来ないほどの「エマージェンシー」も起こることがあります。その時は、お互いに穏便に済ませる必要があります。ですから、「同じ船に乗った運命共同体」であるという認識が重要です。ですから、今回は「借りておく」が、次回には「借りを返す」必要が生じます。これは、例のH社の「1円入札」などという、非常識な世界とは全く異なる世界です。非常に「人情味あふれる」世界です。この世界でSEは生きてゆく必要があります。「1円入札」は会社ぐるみの政策です。汚いです。こんなひどいことを平気でやる台会社があることが、SEの地位をおとしめているのです。SEは会社の横暴から身を守る必要があります。だから、このような会社ぐるみの横暴な政策に対しても、敢然と戦う必要があります。そのために、「顧客担当者と、SEは運命共同体」を構成します。そして、相手の担当者が、偉くなるまでじっとこちらも成長して待っている必要があります。
  • 「顧客は大切な金ツルである」は、少々下卑た表現で、筆者は好まないのであるが、まあ、分かりやすく表現するとこのようになる。これはすでに「心得-2」でも記述している通りであり、「売れてナンボノもの」というのとも同じ。顧客に購入して頂かなくては、いかに良い製品、良い提案、良いシステムでも「無価値」である。筆者は、非常に難しい開発に携わっていたことがある。たとえば、「摂氏1,500度程度の溶けた溶銑(溶けた鉄のこと)の流量をリアルタイムで測定したい」という希望が顧客から提出されたことがありました。それに対して、極めて斬新な方法で測定に成功し、実験もほぼ完ぺきまででき上がった。当然特許も取得し、学会の論文賞も取得した。しかし、その測定器があまりにも精密にでき過ぎており、リアルタイムで実際の流れのふらつき(当然流れだからありますよね)まで、チャートに表示するほど敏感であったので、顧客は「おかしいんじゃない?」といっておしまい。全体の溶銑の重量と、測定した流量*比重=全体の重量、の合致は極めて正確なもので、正しい測定器を開発したのであるが、顧客の常識(溶銑の流量なんてリアルタイムではかれるはずは無く、どうも、チャートのふらつきも計器の不安定さを示すものではないか?)という判断一つで、お流れになってしまった。3名が1年ほどかかって開発したものが一瞬でおしまいになるのはこのような場合である。この測定装置は、この特別な官庁の顧客のみであったので、その後陽の目を見ることなく終了した。だから、どのような物であれ、顧客を十分に意識した開発、プロジェクトが重要であり、顧客からの入金があって初めて完了です。このことは絶対忘れてはならないことです。
  • 最後に、「顧客の注意心的な人物とは、人柄、能力全ての面で親密な関係を保持する必要がある」というのは、今までの総復習です。相手は、顧客の重要な、中心的な人物、そして、その人とは、自分の人となりの全てをかけて親密な関係を保持しなさいということです。男女の関係を言っているのではありません。当然、同性愛を言っているのではありません。師弟関係でもなく、対等であるが、顧客に重点を置いた、親密な関係を意味します。それは、「こいつは頼りになる」ということを顧客に思わせることと同時に、「こいつは敵に回さないほうが良い」「こいつに逃げられると困る」などなど、貴方のメリットを十分に認識させるほどの重要なポジション、プレゼンス(存在感)を提供することです。
  • これは、このサイトでも同じです。皆さんが、私のサイトを訪問してくれる、それは、たまたまかもしれないが、調査では、リピート率が非常に高い、Bookmarkに記録して、すぐに訪問できるようにして、再度訪問してくれる人が非常に多い。文章が多いため、一回では読み切らないから、数回に亘って訪問してくれる。1回の訪問で、1時間程度の滞在をされる方が非常に多いのも、同じことです。私のサイトが、訪問される方にとって有益であればあるほど、私のサイトが意味を持ちます。そして、私自身も、私のノウハウを皆さんに提供しようという気にもなります。しかし、無償のサービスのみに限定されて有償サービスの購入が無ければ、私自身このサイトの運営を継続することは出来ません。しかし、これは「強制」出来るものではなりません。実際、かなりの方が有償サービスを受けられていることが、私を勇気づけてくれています。有り難うござ居ます。ますますのご愛顧をお願いいたします。今回、この「SEの心得え」のサイトを無償で提供しているのも、これらの有償サービスのかたがたのお陰です。どうも有り難うございます。有償サービスの中には、寄付も含まれます。ご有志の方々には会社の口座番号をお知らせいたします。TEPのサイトをご訪問の上、主宰までメールをお送り頂ければ幸いです。

  


  

さて、SEの心得-4であるが、主題は「顧客のアドバイザーたれ」です。これは、上で書いてきたことの繰り返しになるが、本質的なことを言っています。銀行業は、以前は、というか、本来は、単に「企業に金を貸す」だけではなく、企業経営に対するアドバイザーとしての地位を確立していたものです。いまでも、欧州の銀行業はそのような機能を保持しているようです。日本は、単に「貸しはがし業」に成り下がっています。しかも、ずいぶん前から、抵当を確保して、それに応じた融資を行うに過ぎなかったのです。だから、10数年前に土地バブルで、地価が下落始めた途端に担保の価値が下がり、大損をしたのが、金融業者から金を借りていた「医師」「弁護士」などの裕福層でした。これらの人は、担保の土地(不動産)の価値が上がり、それに応じて担保価値が上がり、それに応じてさらに融資を受け、その融資で不動産を購入して、...と言う、プラスのサイクルをまわしていたのですが、それがマイナスのサイクルになっています。銀行が、本来の業務に精鋭努力しておれば、このような馬鹿なことは起こらなかったのですが。

さて、第一は「ご用聞き」です。顧客の困っていること、欲しいこと、希望を聞くわけです。これが始めです。困っていることを相談するには、それ相応のつきあいを保持しておかなければ、誰もそのようなことを相談はしませんね。困っていることを赤の他人に話をすることはあり得ません。だから、これが出来る状況に持ってゆくまでに相当の時間・努力が必要です。そして、今までにこのような「困っていること」を話して、それに対する回答・提案が得られ、その提案に従って顧客が何らかの施策を実行して成功した例がなければそのような関係に持ってゆく個てゃできませんね。これは至極当然なことです。このあたりは、すでに記載の通りです。

ついで、「これを解決する方法を提案する」です。困っていること、希望をそのまま叶えてやれば、それで済み、と言うほど事態は単純ではありません。これもどこかで書いたような気がしますが、困っていること、希望すること、などを自分たちの中で消化して、提案を作成するだけの能力を備える必要があります。顧客の業務に精通し、その業務に対する一般的なアプローチ、今後数年間の間のトレンド(予測)を立て、それを実現するための技術的なバックグランド(背景)を調査し、そのトレンドも踏まえて、少なくとも数年の間は使用可能なシステムを提案します。その中には、顧客の希望する案と全く異なる案を提案することもあり得ます。業務の改善案を提案することもあり得ます。単に、通信システムだけの改善であることもあり得ます。かなりに頻度で、DBの再構築などの必要性があり得ます。もちろん、MS社のまがい物のDBを使用するなんて事は、禁物です。きちんとした金を支払って、RDBシステムを提案しなければなりません。

そして、「我々と付き合っていることのメリット」を認識して頂くわけです。これも長い間のつきあいの結果得られるような性格のものです。

特に「協業他社との差別化手段を提供する」事は非常に大切です。これは顧客の担当者のポジションを向上させるためにも必要なのです。ですから、貴方自身はそれを上回るだけの能力を備える必要があります。もちろん、業界に通事、技術に通じ、あらゆる方面での将来予測、そして、提案力、企画力が勝敗を決します。もちろん、開発が必要なこともあるでしょう。競合他社に差別化するには、最近皆さんが経験しているような、標準の世界では、行った移動すればいいのでしょうか。組合せだけでも相当な数の組合せがあります。だから、将来に対する展望が得られるならば、標準に対する展望も得られるでしょう。そのような展望無しには、貴方の提案は意味がありません。他社を差別化するようなことはあり得ないでしょう。ですから、トップレベルのSEとしては、日々精進です。まことに大変な世の中ですが、無駄な時間を潰している時間は無いのです。貴方は、貴方の人生を大切にしようと考えるなれば、貴方の時間の使用方法を一生懸命に考える必要があります。

  


  

さて、SEの心得-5である。主題は「SEは営業と仲よくなろう」です。各項目に記載されている通りです。SEが自分で仕事を取ってこれると思わないほうが健全です。もし、そのように思っておられるなら、営業に力を軽視しています。むしろ、蔑視かもしれない。 自分たちは毎日遅くまで、会社に残って仕事をしているのに、営業は付き合いだといって客と酒をのみ、休日にはゴルフ接待だ。あれで、売るもの、顧客に提出するものは我々が作成したものに表紙をつけ、我々の計算した価格に単に2倍をかけて提出するだけ。 それでいて、顧客と会った時に言われた要求を全てSEに丸投げする。「工程を縮めろ」「安くせよ」「もっと機能を充実させよ」「明日顧客の所に行って説明せよ」「これこれの機器を使用するように変更せよ」などなど、こちらの都合も考えずに顧客の要求をそのまま受け入れそれをスルーでSEに流すだけだ。無駄な間接人員だ、と思わないほうが健全です。ほとんどは間違っています。

まず、「SE一人で出来ることは限られている」ですね。営業がしっかりとして社内の人間を確保していると、自分の所の部署に閉じたシステムではなく、社内、社外に広がったシステムが構築できる。これは本当ですよ。小さい、PC数台の仕事ならそんなことは必要がないかも知れないが、少なくとも10億円、100億円を超えるようなシステムになると、営業無しですまないです。貴方が一人でやるって??そんなことは無理です。営業部門も、これくらいの規模になると、組織を利用して複数の人間が、営業の他の部門との連携をとり、初めて商談活動に入れます。そして、全体工程を抑え、必要な部門、企業にも声を掛け、そして最終的に10億円、100億円の商談にまとめ挙げて、営業の相当偉い人を担ぎ出して、顧客のトップクラスの人野挨拶に行き、話を通して、初めてあなた達SEに、このような要求仕様書が来ているが、これに対応するシステム設計をやって欲しい、これに対応する、システム提案書を作成して欲しい。予算はこれこれだけど、また、工程はこれこれだけど。という話しになります。ですから、SE一人でやれるような規模の仕事で満足できる人はこのような他の部門、特に営業の部門と親しくする必要はないかも知れません。しかし、そうでないならば、通常の仕事のやり方として、営業を中心に動いてもらうほうがベターでしょう。

「常にお客とコンタクトをとってくれる人は営業です」。まさにその通りです。SEさんが、毎日お客と酒を飲んでいては、その会社は危ないですね。しかし、営業が毎日5時の定時に帰るような会社は危ないです。営業は、午後5時からが仕事です。それから、初めて顧客と腹を割った仕事をするのです。また、他の関連会社の担当者ともあう必要があるかもしれません。社内の、貴方の部門以外の反対派を説得する必要があるかもしれません。また、上司である社長に金を出してくれるようにお願いをする必要があるかもしれません。そのような仕事は、大抵は、午後5時以降になりますね。そして、その人は、大抵午前様になり、体を壊します。もちろん、近代的な業務フローに従って業務をやっている会社はそのような必要はないでしょうが。このように、お客の懐の中に入り込んで、お客の本当に悩みを聞き、予定・予算などを聞き出し、それを社内SEに投げる。これが本当の営業の仕事。そして、この顧客に対して「提案型のセールス」が出来るようになる。このような営業とSEのスムーズな関係が必須です。

「受注案件の真の責任者は営業である」。そうなんですよ。いくら、顧客に約束した価格や工程が厳しいものであってもそれを実現させるのが営業の仕事です。営業に飴とムチは、当然、お金です。人事権を持っているわけではないから、きちんとした仕事をしてくれる部門に対しては、なけなしの予算をはたいてでも、予算を付けます。ということは、その部門は収益が改善するわけですね。しかし、部門によっては、なんだかんだと言って言うことを聞かない場合があります。その時は、その部門が担当するべきシステムを丸まま、他の部門や、他社に投げることもあります。そうするわけは、顧客に対する約束を刺繍すると言う使命が待っているからです。ですから、この案件では大赤字になるかもしれないが、その後は、決して馬鹿なまねはしないね。なんだかんだと言っていた部門は今後は切り離されます。そして、そのかわりを果たしてくれた他の部門や、他の会社は今後の恩恵を受けることが出来ます。このようなプロジェクトのブレークダウンが出来るのは営業の力です。ですから、受注案件の真の責任者は営業です。

「営業を味方につけないと仕事は出来ない」。その通りです。少々無理を言う営業でも、きちんと対応していると、だんだんと好条件での仕事をまわしてくれるようになるのです。これを、「営業を味方につける」ということです。これをやらずして、SE部門や開発部門は成り立ちません。仕事が来て南保の物です。いくら技術力が上でも、営業に反抗ばかりしていたら、仕事が来なくなります。一方、代替案として仕事をまわしてもらった部門は、徐々に実力を上げてゆきます。そうすると、もう、「鬼に金棒」です。逆説的に言うと、営業を味方につけないと仕事は回ってこないし、その部門はつぶれますよ。

最後に、「営業が受注した案件のお金を握っている」です。一つの受注金額が100億円とすると、それの配分の役割を果たすのは当然営業です。だから、通常、当該営業のご贔屓の部門があるかもしれませんが、その部門は、見積金額に対して十分すぎるほどの予算を付けることも可能です。しかし、営業職の担当期間は、1年やそこらではありません。ですから、このようなご贔屓の部門にばかりお金を回していると、他の部門が謀反を起こします。そして、この営業は失職します。金だけが人生ではありません。体を張って仕事をするのが企業の人間です。やりがい、達成感、収益、利益、成長、組織拡大、守備範囲の拡大、などなどがその「生活規範」になるでしょうが、長期的に見ると、営業もご贔屓の部門にずーっとお金を回しすぎていると、だんだんと仕事の成果がおかしくなってきます。そうなると、顧客からの信用が急激に落ちます。社内では、実力が全てです。以前実力を持っていたとしても、社会の動向、技術の動向が激しいのが常です。ですから、部門内での利益を投入して自社開発をし、技術力を磨くことがその組織に与えられた使命です。ですから、このような努力を続けている部門との関係を密に保つことが、営業にとり必須のことでしょう。まさに、「持ちつ持たれつ」、「ギブテイ」です。

このような当然のことを長々と書いてしまったが、これは非常に大切なことです。やはり、企業では、種々な実力が全てを制すると考えましょう。変な政治力を発揮するような管理職がいる可能性もありますが、そのような管理職は、無視をしましょう。きちんとした技術的な方向付けをしてくれる、SEの親玉みたいな人を大切にしましょう。小林を大切にしましょう。

 

  


  


  


  


  


  


  


  


  


  


  


  


  


 


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