インターネットの普及に関連して,それを大きく阻害していると考えるNTTの接続料(Interconnect
Rate)問題の具体的な例を元にしてこれらの社会的な基礎構造を説明する。
先ず,社会的な下部構造(インフラストラクチャ)である。まあ,はっきりというと,銅線で出来た電話線である。場合によっては,光ファイバー,CATV,ADSL,WLLなどの技術がありえる。最近は,携帯電話やPHSなどのインフラも使用されているように聞く。
また,これらの電話線上を通じてネットワークに接続されるわけであるが,この先はISP(インターネット・サービス・プロバイダー)いう業者が存在する。これらの業者が提供する基本的なサービス,付加的なサービス,さらには,最近はやりのポータルサイト,検索サイト,情報提供サイト,電子商取引サイト,オークションサイトなどがあるが,これらも一括してインフラストラクチャになる。
次いで,行動因子である。インターネットへアクセスするユーザの行動を説明する要因をリストアップしてみたい。しかし,むしろ単純にインターネットを利用する目的と考えたほうが分かりやすい。
- 情報の収集(片方向)
- コミュニケーション(双方向)
- 娯楽
- 暇つぶし(TVみたいな物)
- 情報発信
- ごくつぶし
- 商売・金儲け
これらが今考えられる全ての要因です。例のアダルトサイトなどは,いわば「ごくつぶし」だし,ワレーズ(warez)サイトも同じく「ごくつぶし」と考えて下さい。
また,インターネット利用において,利用者の行動を規定する第三の因子は
富裕度 である。以下では,一般の需要予測でも採用されている手法を採用するので,ここでその手法を簡単に説明する。需要予測は次のステップで行うのが通常である。
- 欲求(評価基準と目標)の設定
- 目的の設定
- 実施のための手段の設定と選択
これで一応の需要用が予測できる。例を「携帯電話の需要予測」に取って説明すると,次のようになる。
欲求(評価基準と目標)の設定:携帯電話を何で評価するか。どのレベルに達したものを採用するか。ある時間使用した場合の料金と,その料金の限界値。または,電子メールが受信できることと,その受信文字数やら,送信するときの容易さなど。これらがこの第一の項目になる。
次いで,目的の設定である。携帯電話の採用する目的は何か? 当然,ボイスによる通話,電子メールの送受信,ウェブの閲覧?? ただメールの送受信?? 情報検索?? などなど。これから,人それぞれに目的を設定しても良いし,あるメーカが自社で開発する携帯電話の機能設定を行う場合に,どのような目的に設定するか前もって定める必要がある。
最後に,実施のための手段の設定と選択である。これは,携帯電話を設計する人のとりえる手段である。どのような携帯電話に設計するか,その設計要素がここに来る。
これらの要素が定まると,ある特定の携帯電話を「設計」した時にその携帯電話に対する評価が定まる。木曜とする欲求度に合致するか否かでその携帯電話が度のような所得層,度のような階層の人たちに受け入れられるかが定まる。そして,その中で,全体としての需要をいくつかの競合する機種でシェアをする。そうすると一応,その機種がどれくらい売れるかということが前もって想定される。需要予測というのは,通常は全体枠が押さえられている必要がある。その全体枠を度のような競合する機種や競合するサービスで分割するかで決まるのであるが,ここで述べたことは,その機種が特定の社会的階層の人にとって受け入れられるものであるか否かを決定するだけであり,どの程度の割合で受け入れられるかを決めるために,次の富裕度が必要になってくる。
<続きます>>