現在認識されている最大の問題点は,地域回線接続料,すなわち電話代が米国に比べて,高額であり,しかも接続時間に比例することである。そのため,高額な支払いが必要と同時に,さらに積極的に利用しようとするパワーユーザの意欲をそいでいることである。テレホーダイという疑似定額料金制を利用した場合,多少安くなるが,あくまでも夜間利用での便宜である上,この時間帯はISPへのアクセスが混雑しているので応答が遅く,経済的な強者である社会人(勤労者)には利用できる時間帯ではない。
第2に,米国において,eコマースの展開・発展と,あらゆる社会的な活動に取り込んで行こうとするインターネットビジネス会社の活動を観察しても,日本におけるインターネットビジネスがどれほど成功するであろうかに関して疑念を抱かざるを得ない。なぜならば,米国における数年の実績を誇る最大のeコマースのサイトである「アマゾンドットコム」が,本年4月赤字決算を発表した。既に2,000万名の登録利用者を獲得しており,昨年に比べて売上げが倍増したとはいえ,1995年の創業以来ずっと赤字決算である。これは,eコマースがかなり厳しいビジネスであることの証左である。
日本において,インターネット普及率が米国に比べて約1/2,ユーザ当たりの接続時間が約80%であるとはいえ,ISPに対する需要(総接続時間)が米国の1/5弱である日本において,利用者がeコマースを利用するだけの必然性と,金銭的な余裕があるか疑問があるし,eコマースのビジネス(会社)にとりどれだけの大きい規模の市場を提供するものかの点で疑問がある。しかし,楽天の株式公開を始めいくつかのビジネスの萌芽が見られるのが現状で,ビジネスチャンスは多く存在する。これらのリスクを認識したうえで展開することにより,創業者利潤を享受できるのではないか。
日本における一般利用者を対象としたインターネット利用の現状と問題点,さらにこれを解決するためのアドバイスを「展望」でまとめる。